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枕終わりに
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最終話です。
***
数ヶ月後。
あれから何回か田中さんと枕営業の練習と、枕営業をした。
練習では、もう思い出すのも恥ずかしいくらいの姿を田中さんに見せまくってしまった。
それなのに本番の枕営業のほうは、散々だった。なぜか田中さん以外とだと上手くいかない。そのせいで、毎回枕営業のあとは田中さんのスマホにクレームの電話が来ているみたいだ。
なんでだろう?
田中さんと練習するときは大丈夫なのに。
今日は四回目の枕営業! せめてクレームが入らないように頑張らないと!
そう意気込んで、オレは目の前のドアをノックした。
枕営業が終わった。
今は呼んでもらったタクシーで家に帰っている。
それよりも……喘ぎすぎて声がガッスガスになっちゃった。
てか、……めっっっっっっちゃ気持ちよかった。しかも、オレ最後ちょっと漏らしちゃったし……。
今まで枕営業の相手はオジサンばっかりだったのに、今日の相手は田中さんと同い年ぐらいのめっちゃイケメンだった。
なんか雰囲気もちょっと田中さんに似てたかも。
ブーッブブッ。
ポケットに入れていたスマートフォンが通知を知らせるように震える。
スマートフォンを出して見ると田中さんからメッセージが来ていた。
メッセージを見ると『今から家に来い』とだけ書いてある。
? なんだろう?
「すいません、行き先変更で。新宿の──」
田中さんの部屋に着いてかれこれ三十分は経った気がする。その間、田中さんはずっと黙ったままだった。
オレが部屋に着いてからずっと何かにイライラしたようにソファーから立ったり座ったりしたりしている。
もしかして
「また、クレーム入っちゃった?」
立っている田中さんの顔を見上げながらおそるおそる聞く。
オレのほうを向いた田中さんは、たっぷり間を空けてから口を開いた。
「……いや、逆だ。とてもヨかったから、また頼むって」
「なんだ~良かった~」
てっきりまたクレームが入ったのかと気が気じゃなかったので、ホッと胸をなで下ろす。
「良くないだろ!」
「えっ」
いきなり大声を出した田中さんにびっくりして固まる。
「律が好きなのは俺だろう!! 気持ちよくしてくれるなら誰でもいいのか!!」
「なんで知って……あっ」
無意識に言葉が出て、急いで口を閉じる。
なんでオレが田中さんのこと好きなの知ってんの!?
「気付いてないみたいだから言うけど、練習のとき挿入れてイッたあと、ずっっっっと俺のこと好き好き言ってるぞ」
「マジ?」
確かにイッたあとの記憶はいつもないけど、で、でも、恥ずかし過ぎる……。
「あと、俺も律のことが好きだ」
「ええ!!」
「……スカウトしたとき、一目惚れだったんだ」
マジ?
「本当は枕営業もやらせる気はなかった。……練習とか言って俺とセックスしようとしたら「やっぱり、ムリ!」って言い出すと思ってたのに。やってみたらノリノリだし、男が好きとか言うし、すんなり挿入ったし。誰でもいいのかと思えば、枕営業ではクレームだらけだし」
まるでひとりごとを言うみたいに田中さんがブツブツ喋っている。
てか、これオレ説教されてるの?
「なんでだ? って考えてたら、俺のことが好きとか言い出すし。それを聞いて、なんだ俺だからこうなるのかって、気分良くなってたんだ。それなのに、プロデューサーから連絡が来て、律は俺じゃなくてもいいのかって……」
「えっと、つまり田中さんはオレのことが好きで、今まで枕営業のときは上手く出来なかったのに、今日は上手く出来たから嫉妬してるってこと?」
田中さんは何も言い返さなかった。
図星みたいだ。
なーんだ。
「今日の相手は、雰囲気が田中さんに似てたからだと思う。オレ、田中さんじゃなきゃダメだよ。枕営業のときも頑張ろうって思っても、全然上手くできないし、気持ちよくないし」
ちゃんと伝わるように田中さんの手を握って続ける。
「オレ、田中さんじゃなきゃ気持ち良くないよ」
「……はっ、すごい告白だな。俺も、もう律に枕営業させるのはムリだ」
言い終わると同時に田中さんに抱きしめられた。
それに答えるようにオレも田中さんの背中に手を回してギュッと抱き着いた。
ハッピーエンド! おしまい!
となろうとしたところで、オレはあることに気付く。
「でも、枕営業しないとヤバいんじゃ……」
そう。それだ。
「律、最近よくバラエティーの収録やラジオ番組に出演したよな?」
「え、うん」
「実は、もう枕営業しなくてもいいくらいの仕事のオファーが来てるんだ」
「マジ!? え、なんで!?」
「最近、律が前の事務所を辞める前に出したシングルが、音楽チャートを逆走してる」
「えっ!」
「当時は事件のこともあって全然売れなかったけど、最近海外のアーティストがライブでカバーして、それが海外で話題になってるんだ。今、日本でもジワジワ広がり始めてる」
「えー!(そういえばラジオで聞かれたかも)」
『チャート逆走なんてすごいね~』
(チャート? 逆走? ……車のことか?)
『今のお気持ちはどうですか?』
『えっと、逆走は良くないと思います』
『はい????』
「俺も前の事務所のときのことだったから情報が遅れて悪かった。そういうわけで、もう枕営業しなくていいんだ」
「よ、良かった~」
「それと今度、音楽番組にも出るから」
「ぅええええ!!!!」
***
数ヶ月後。
あれから何回か田中さんと枕営業の練習と、枕営業をした。
練習では、もう思い出すのも恥ずかしいくらいの姿を田中さんに見せまくってしまった。
それなのに本番の枕営業のほうは、散々だった。なぜか田中さん以外とだと上手くいかない。そのせいで、毎回枕営業のあとは田中さんのスマホにクレームの電話が来ているみたいだ。
なんでだろう?
田中さんと練習するときは大丈夫なのに。
今日は四回目の枕営業! せめてクレームが入らないように頑張らないと!
そう意気込んで、オレは目の前のドアをノックした。
枕営業が終わった。
今は呼んでもらったタクシーで家に帰っている。
それよりも……喘ぎすぎて声がガッスガスになっちゃった。
てか、……めっっっっっっちゃ気持ちよかった。しかも、オレ最後ちょっと漏らしちゃったし……。
今まで枕営業の相手はオジサンばっかりだったのに、今日の相手は田中さんと同い年ぐらいのめっちゃイケメンだった。
なんか雰囲気もちょっと田中さんに似てたかも。
ブーッブブッ。
ポケットに入れていたスマートフォンが通知を知らせるように震える。
スマートフォンを出して見ると田中さんからメッセージが来ていた。
メッセージを見ると『今から家に来い』とだけ書いてある。
? なんだろう?
「すいません、行き先変更で。新宿の──」
田中さんの部屋に着いてかれこれ三十分は経った気がする。その間、田中さんはずっと黙ったままだった。
オレが部屋に着いてからずっと何かにイライラしたようにソファーから立ったり座ったりしたりしている。
もしかして
「また、クレーム入っちゃった?」
立っている田中さんの顔を見上げながらおそるおそる聞く。
オレのほうを向いた田中さんは、たっぷり間を空けてから口を開いた。
「……いや、逆だ。とてもヨかったから、また頼むって」
「なんだ~良かった~」
てっきりまたクレームが入ったのかと気が気じゃなかったので、ホッと胸をなで下ろす。
「良くないだろ!」
「えっ」
いきなり大声を出した田中さんにびっくりして固まる。
「律が好きなのは俺だろう!! 気持ちよくしてくれるなら誰でもいいのか!!」
「なんで知って……あっ」
無意識に言葉が出て、急いで口を閉じる。
なんでオレが田中さんのこと好きなの知ってんの!?
「気付いてないみたいだから言うけど、練習のとき挿入れてイッたあと、ずっっっっと俺のこと好き好き言ってるぞ」
「マジ?」
確かにイッたあとの記憶はいつもないけど、で、でも、恥ずかし過ぎる……。
「あと、俺も律のことが好きだ」
「ええ!!」
「……スカウトしたとき、一目惚れだったんだ」
マジ?
「本当は枕営業もやらせる気はなかった。……練習とか言って俺とセックスしようとしたら「やっぱり、ムリ!」って言い出すと思ってたのに。やってみたらノリノリだし、男が好きとか言うし、すんなり挿入ったし。誰でもいいのかと思えば、枕営業ではクレームだらけだし」
まるでひとりごとを言うみたいに田中さんがブツブツ喋っている。
てか、これオレ説教されてるの?
「なんでだ? って考えてたら、俺のことが好きとか言い出すし。それを聞いて、なんだ俺だからこうなるのかって、気分良くなってたんだ。それなのに、プロデューサーから連絡が来て、律は俺じゃなくてもいいのかって……」
「えっと、つまり田中さんはオレのことが好きで、今まで枕営業のときは上手く出来なかったのに、今日は上手く出来たから嫉妬してるってこと?」
田中さんは何も言い返さなかった。
図星みたいだ。
なーんだ。
「今日の相手は、雰囲気が田中さんに似てたからだと思う。オレ、田中さんじゃなきゃダメだよ。枕営業のときも頑張ろうって思っても、全然上手くできないし、気持ちよくないし」
ちゃんと伝わるように田中さんの手を握って続ける。
「オレ、田中さんじゃなきゃ気持ち良くないよ」
「……はっ、すごい告白だな。俺も、もう律に枕営業させるのはムリだ」
言い終わると同時に田中さんに抱きしめられた。
それに答えるようにオレも田中さんの背中に手を回してギュッと抱き着いた。
ハッピーエンド! おしまい!
となろうとしたところで、オレはあることに気付く。
「でも、枕営業しないとヤバいんじゃ……」
そう。それだ。
「律、最近よくバラエティーの収録やラジオ番組に出演したよな?」
「え、うん」
「実は、もう枕営業しなくてもいいくらいの仕事のオファーが来てるんだ」
「マジ!? え、なんで!?」
「最近、律が前の事務所を辞める前に出したシングルが、音楽チャートを逆走してる」
「えっ!」
「当時は事件のこともあって全然売れなかったけど、最近海外のアーティストがライブでカバーして、それが海外で話題になってるんだ。今、日本でもジワジワ広がり始めてる」
「えー!(そういえばラジオで聞かれたかも)」
『チャート逆走なんてすごいね~』
(チャート? 逆走? ……車のことか?)
『今のお気持ちはどうですか?』
『えっと、逆走は良くないと思います』
『はい????』
「俺も前の事務所のときのことだったから情報が遅れて悪かった。そういうわけで、もう枕営業しなくていいんだ」
「よ、良かった~」
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「ぅええええ!!!!」
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