マドンナからの愛と恋

山田森湖

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ふたりで歩く、これからの道

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ふたりで歩く、これからの道

俺、コウジは33歳の会社員。高校時代、同い年で同じ水泳部だった“マドンナ”ことレナと、先日の街コンで再会した。それから毎月、給料日に一緒に食事に行っている。

レナは高校の頃よりぽっちゃり体型になっていたけれど、当時の明るさや笑顔はそのままだ。月に一度のその日が近づくたびに、俺は少しずつ自分の見た目を気にするようになった。会社帰りに会うため、Yシャツは少しオシャレなものに着替え、洗剤や柔軟剤も香りの良いものを選ぶようになった。遅れてやってきた青春、という感じだ。

レナとは毎日、昼に1往復だけメッセージのやり取りをしている。内容はお昼ごはんの写真や日常のこと。そんなやり取りが、今の俺の楽しみになっている。

俺自身も少し気を引き締めようと、毎週市民プールに通い始めた。ちょっと出てきたお腹をどうにかしようと努力中。まだ効果は出ていないけど……。

今日はレナとの食事の日。最寄駅が一緒なので、駅で待ち合わせをした。

「レナちゃん、遅くなってごめん」
「私もさっき着いたところ。たぶん一本前の電車に乗ってただけだよ」

今日は居酒屋でごはんだ。お酒はお互いに嗜む程度だけど、月に一度の報告会みたいなもので、愚痴をこぼしたり、楽しかったことを語ったりするこの時間が、俺にはかけがえのないものになっていた。

「コウジくんって、運動してる?」
「最近だけど、週一で市民プールに通ってるよ」
「水泳かあ……。ちょっと今の体型だと水着はね……」

レナは少し照れたように笑った。気持ちは分かる。

「運動したいの?」
「うん、でも三日坊主で終わっちゃうの」
「じゃあウォーキングは?ゆるくて始めやすいよ」
「やってみたけど、続かなかったなぁ……」

少し考えた後、俺は言った。

「じゃあ、俺と一緒にやってみる?」
「……え?一緒に?」
「うん、一緒なら続けられるかもよ?」
「うん……うん!コウジくんとなら、続けられるかも!」

そうして俺たちは、ウォーキングを始めることにした。

「でも、ウォーキング用の服持ってないな」
「私も……入るかなぁ」
「じゃあ、明日一緒に買いに行こうか」

自分でも驚くほど自然に口から出た言葉だった。

「ほんと?うれしい。行こう!」

次の日、俺はレナを車で迎えに行った。仕事着以外のレナを見るのは、街コン以来だ。ピンクのワンピースがよく似合っていて、思わず見惚れてしまった。

「レナちゃん、かわいいね」
「ありがとう。これ、この前買ったんだ」

スポーツショップでは、何を買えばいいか分からず迷ったけど、俺はシンプルなウェアを選んだ。

「レナちゃん、これかわいいと思うけど、どう?」
「そうかな?じゃあ、それにしようかな」

会計のとき、俺はレナの分も支払った。

「俺から誘ったんだし、今日はプレゼントさせてよ」
「でも、悪いよ……」
「いいって。かわいいし、これで一緒に頑張れるなら嬉しいから」

「ありがとう。ほんとに、ありがとう」

その後、ファミレスで“作戦会議”。ウォーキングのスタート地点まで歩いて10分くらい。俺がレナの家に迎えに行って、そこから一緒に歩く予定だ。

「レナちゃん、楽しみだね」
「うん、なんだかワクワクしてきた!」
「二人だから、きっと楽しく続けられるよ」
「うん、そうだね」

家に帰ると、レナからメッセージと写真が届いた。今日買ったウェアを着た姿で、「来週、楽しみにしてるね」って書いてあった。

やっぱり、かわいいな。

俺も着て写真を送ろうかと思ったけど……やめておいた。誰が得するんだ、それ。

来週が楽しみだ。スポーツドリンク、用意しておこう。
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