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ママに負けたくない!
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ママに負けたくない!
おれ、コウジ。40歳の会社員。
街で、同じ高校・同じ水泳部だったレナと偶然再会した。
当時のレナは、マドンナ的存在。でも今は少しぽっちゃりしていて──それでも可愛さはまったく変わっていなかった。
それをきっかけに、週に一度レナとウォーキングを始めた。やがて一緒にプールにも通うようになり、自然と距離が縮まっていった。
そして俺たちは結婚し、娘のユキ、さらに息子のショウスケを授かった。
ある日、ユキと2人でウォーキングをしていると、突然こう言い出した。
「私、水泳習いたい」
理由を聞くと──「パパのことが好きだから。ママに負けたくない」らしい。まいったな。
その夜、リビングでくつろいでいると、子どもたちを寝かせたレナが降りてきた。
「まだ起きてたの?」
「うん。ユキがさ、水泳習いたいんだって」
「聞いたよー。私に負けたくないから、でしょ?ライバル視されちゃった」
「いやもう、女の子ってすごいな。あんなこと、あっさり言っちゃうんだね」
「ふふっ、でも今だけよ。大きくなったら“パパ臭い”とか“汚い”とか言われるんだから」
「……それはそれで寂しいけどね」
「水泳、いいんじゃない?家でゴロゴロしてるより健全よ。じゃあ水着も買わなきゃね」
「来週、買いに行こうか」
「私も買い物あるから、みんなで行きましょう」
すると、2階からショウスケの泣き声が聞こえた。
「じゃあ、行ってくるね。おやすみ」
「うん、おやすみ」
次の休みの日。
家族みんなで大型スーパーに行くことにした。店に着くと、レナが言った。
「パパはユキと水着見てきて。私はショウスケの物を見てくるから」
「わかったよ」
俺たちはスポーツ用品売り場へ向かった。
女の子用の水着がずらりと並び、可愛いデザインから本格的な競泳タイプまで揃っている。帽子、ゴーグル……あとはセームタオル。いや、まだそこまではいいか。
ふと見ると、ユキが真剣に品定めしていた。
「ねえ、パパはどれが好き?」
おいおい、そんな基準で聞かれても困るって。
「ユキが気に入ったのにすればいいよ」
「でも、パパが好きな水着を着たいの」
……聞く人が聞いたら問題になりそうだ。
「じゃあ……このピンクのなんてどうかな?」
「ほんと?でもこの前ママの水着見たら、もっと違う感じだったよ?」
「ママのはママが選んだだけで、パパは関係ないよ」
「ほんとに?じゃあ、これにする!」
サイズも問題なさそうだったので、試着してみることに。
更衣室で手伝うと、水着はピッタリだった。
「いいじゃん。可愛いよ」
「ママより可愛い?」
「……うん、可愛いよ」
「ありがとう!これにするね」
試着室を出ると、そこにはレナが。
不敵な笑みを浮かべていて──もしかして聞かれてたか?まぁ、問題はない……はず。
水着を購入し、夕食を外で済ませて帰宅。
ユキはさっそく水着に着替えて、上機嫌だった。
「このまま寝ていい?」
「だめだめ。ちゃんとパジャマに着替えなさい」
本当に嬉しかったんだろうな。
その夜、レナが子どもたちを寝かせたあと、またリビングに戻ってきた。
「ユキ、テンション上がりすぎて、なかなか寝なかったわ」
「まぁ、それだけ嬉しかったんだよ」
レナは俺の隣に腰を下ろし、ふと聞いてきた。
「ねえ、ユキの方が可愛いってどういうこと?」
「えっ……そんなこと言ったっけ?」
「言ったわよ。試着室で、聞こえてたの」
「いや、それは……勢いというか、場の流れというか」
「ふふっ、嫉妬しちゃった」
「やめてくれよ……」
「じゃあ、今度は私の水着も選んでくれる?パパの好きなやつ」
「だからさ、聞く人が聞いたらヤバいって……」
──家の女性たちに、からかわれてばっかりだ。
でも、なんだかんだ悪くない。そう思える自分がいる。
おれ、コウジ。40歳の会社員。
街で、同じ高校・同じ水泳部だったレナと偶然再会した。
当時のレナは、マドンナ的存在。でも今は少しぽっちゃりしていて──それでも可愛さはまったく変わっていなかった。
それをきっかけに、週に一度レナとウォーキングを始めた。やがて一緒にプールにも通うようになり、自然と距離が縮まっていった。
そして俺たちは結婚し、娘のユキ、さらに息子のショウスケを授かった。
ある日、ユキと2人でウォーキングをしていると、突然こう言い出した。
「私、水泳習いたい」
理由を聞くと──「パパのことが好きだから。ママに負けたくない」らしい。まいったな。
その夜、リビングでくつろいでいると、子どもたちを寝かせたレナが降りてきた。
「まだ起きてたの?」
「うん。ユキがさ、水泳習いたいんだって」
「聞いたよー。私に負けたくないから、でしょ?ライバル視されちゃった」
「いやもう、女の子ってすごいな。あんなこと、あっさり言っちゃうんだね」
「ふふっ、でも今だけよ。大きくなったら“パパ臭い”とか“汚い”とか言われるんだから」
「……それはそれで寂しいけどね」
「水泳、いいんじゃない?家でゴロゴロしてるより健全よ。じゃあ水着も買わなきゃね」
「来週、買いに行こうか」
「私も買い物あるから、みんなで行きましょう」
すると、2階からショウスケの泣き声が聞こえた。
「じゃあ、行ってくるね。おやすみ」
「うん、おやすみ」
次の休みの日。
家族みんなで大型スーパーに行くことにした。店に着くと、レナが言った。
「パパはユキと水着見てきて。私はショウスケの物を見てくるから」
「わかったよ」
俺たちはスポーツ用品売り場へ向かった。
女の子用の水着がずらりと並び、可愛いデザインから本格的な競泳タイプまで揃っている。帽子、ゴーグル……あとはセームタオル。いや、まだそこまではいいか。
ふと見ると、ユキが真剣に品定めしていた。
「ねえ、パパはどれが好き?」
おいおい、そんな基準で聞かれても困るって。
「ユキが気に入ったのにすればいいよ」
「でも、パパが好きな水着を着たいの」
……聞く人が聞いたら問題になりそうだ。
「じゃあ……このピンクのなんてどうかな?」
「ほんと?でもこの前ママの水着見たら、もっと違う感じだったよ?」
「ママのはママが選んだだけで、パパは関係ないよ」
「ほんとに?じゃあ、これにする!」
サイズも問題なさそうだったので、試着してみることに。
更衣室で手伝うと、水着はピッタリだった。
「いいじゃん。可愛いよ」
「ママより可愛い?」
「……うん、可愛いよ」
「ありがとう!これにするね」
試着室を出ると、そこにはレナが。
不敵な笑みを浮かべていて──もしかして聞かれてたか?まぁ、問題はない……はず。
水着を購入し、夕食を外で済ませて帰宅。
ユキはさっそく水着に着替えて、上機嫌だった。
「このまま寝ていい?」
「だめだめ。ちゃんとパジャマに着替えなさい」
本当に嬉しかったんだろうな。
その夜、レナが子どもたちを寝かせたあと、またリビングに戻ってきた。
「ユキ、テンション上がりすぎて、なかなか寝なかったわ」
「まぁ、それだけ嬉しかったんだよ」
レナは俺の隣に腰を下ろし、ふと聞いてきた。
「ねえ、ユキの方が可愛いってどういうこと?」
「えっ……そんなこと言ったっけ?」
「言ったわよ。試着室で、聞こえてたの」
「いや、それは……勢いというか、場の流れというか」
「ふふっ、嫉妬しちゃった」
「やめてくれよ……」
「じゃあ、今度は私の水着も選んでくれる?パパの好きなやつ」
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