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「シャーロット様、こちらの方向でよろしいのですか」
森の入り口付近で従者の一人が声を上げる。シャーロットは地図を広げながら、険しい表情で方角を確かめていた。
「ええ、ここを更に北東へ進めば、小さな小屋があるという話を聞きました。でも、魔物が出るかもしれないので注意してください」
数日前から続けている捜索の結果、シャーロットは森の奥深くに隠れ住む人がいるらしいという噂をつかんだ。そこにグレイスがいる可能性はわずかかもしれないが、望みをつなぐほかはない。
「お嬢様、日が暮れると非常に危険です。暗くなる前に一度野営地を作りませんか」
別の従者が提案するが、シャーロットは首を横に振る。
「もう少し進みましょう。お姉様がこんな森の中を一人で過ごしているとしたら、早く見つけてあげないと……」
シャーロットの声は切羽詰まっている。姉が今どのような状況に置かれているのか、想像するだけで胸が苦しくなる。悪役令嬢として非難された上、婚約破棄という大きな痛手を負ったグレイスを助け出すのは、自分しかいないと思っていた。
「お嬢様のご決断なら、私たちも従いますが、どうか無茶をなさらないように」
従者たちが懸命に周囲を警戒しながら進む。森の木々は濃密で、昼でも薄暗い。その上、落ち葉の積もった地面は滑りやすく、足元を何度も確認しながら慎重に歩を進めなくてはならない。
「シャーロット様、そちらは危険かもしれません。少し遠回りしてでも安全なルートを」
「いいえ。時間が惜しいの。少しでも早くお姉様を」
シャーロットは焦燥感を抑えられない。もしグレイスが森で傷ついていたらどうしよう、もし誰かに襲われたら――そんな不安が頭をよぎるたびに、足を止めることができなかった。
「……そろそろ休息を」
従者の提案に、シャーロットはようやく足を止める。見ると、もう陽が傾きかけていた。彼女も限界まで歩き続けており、体力的に相当きついことは否めない。
「そうね。日が暮れる前に最低限の野営地を確保しましょう」
暫定的にテントを張り、焚き火の準備を進める。しばらくして、火が起こされると、周囲にオレンジの光が広がり、ほんの少し安心できる空間が生まれた。
「お嬢様、お水と乾パンをどうぞ」
従者が差し出す簡単な食糧を受け取るシャーロットの瞳には、悔しさがにじむ。王都の贅沢な食卓とは比べものにならない。しかし、こうして姉を探すためならば何も苦にならないのだ。
「お姉様、どうかご無事でいて。必ず見つけるから」
火の揺らめきを見つめながら、シャーロットは小さく呟く。遠くで何かの鳥が鳴いた。森が闇に沈む前に、少しでも手がかりをつかみたい。そんな思いが、彼女をさらに先へと駆り立てる。
夜の森での捜索は危険だ。シャーロットもそれは十分承知している。しかし、姉を救えるのは自分以外にいない。そう確信しているがゆえに、彼女は決して引き返さないのだった。
森の入り口付近で従者の一人が声を上げる。シャーロットは地図を広げながら、険しい表情で方角を確かめていた。
「ええ、ここを更に北東へ進めば、小さな小屋があるという話を聞きました。でも、魔物が出るかもしれないので注意してください」
数日前から続けている捜索の結果、シャーロットは森の奥深くに隠れ住む人がいるらしいという噂をつかんだ。そこにグレイスがいる可能性はわずかかもしれないが、望みをつなぐほかはない。
「お嬢様、日が暮れると非常に危険です。暗くなる前に一度野営地を作りませんか」
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「もう少し進みましょう。お姉様がこんな森の中を一人で過ごしているとしたら、早く見つけてあげないと……」
シャーロットの声は切羽詰まっている。姉が今どのような状況に置かれているのか、想像するだけで胸が苦しくなる。悪役令嬢として非難された上、婚約破棄という大きな痛手を負ったグレイスを助け出すのは、自分しかいないと思っていた。
「お嬢様のご決断なら、私たちも従いますが、どうか無茶をなさらないように」
従者たちが懸命に周囲を警戒しながら進む。森の木々は濃密で、昼でも薄暗い。その上、落ち葉の積もった地面は滑りやすく、足元を何度も確認しながら慎重に歩を進めなくてはならない。
「シャーロット様、そちらは危険かもしれません。少し遠回りしてでも安全なルートを」
「いいえ。時間が惜しいの。少しでも早くお姉様を」
シャーロットは焦燥感を抑えられない。もしグレイスが森で傷ついていたらどうしよう、もし誰かに襲われたら――そんな不安が頭をよぎるたびに、足を止めることができなかった。
「……そろそろ休息を」
従者の提案に、シャーロットはようやく足を止める。見ると、もう陽が傾きかけていた。彼女も限界まで歩き続けており、体力的に相当きついことは否めない。
「そうね。日が暮れる前に最低限の野営地を確保しましょう」
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「お嬢様、お水と乾パンをどうぞ」
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「お姉様、どうかご無事でいて。必ず見つけるから」
火の揺らめきを見つめながら、シャーロットは小さく呟く。遠くで何かの鳥が鳴いた。森が闇に沈む前に、少しでも手がかりをつかみたい。そんな思いが、彼女をさらに先へと駆り立てる。
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