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星空の下の誓い
過去との、しがらみを、全て断ち切った、その夜。
私は、アレクシス様に、誘い出されていた。
連れてこられたのは、王宮の最上階にある、一般には公開されていない、小さなバルコニー。
そこからは、眼下に広がる、王都の美しい夜景が、まるで、宝石箱をひっくり返したかのように、きらめいて見えた。
「……綺麗ですわね」
「ああ。俺も、気に入っている場所なんだ。考え事をしたい時、時々、こうして、一人で、ここに来る」
彼は、私の隣に立ち、同じように、夜景を見下ろした。
涼やかな夜風が、私たちの間を、吹き抜けていく。
しばらく、二人で、黙って、夜景を眺めていた。
その、穏やかな沈黙を、破ったのは、彼だった。
「レベッカ」
「はい」
彼は、懐から、一枚の、古い羊皮紙を取り出した。
それは、私と彼が、初めて交わした、あの、婚約の契約書だった。
「我々の、最初の婚約は、国益のための、取引だった」
彼は、静かに、そう言った。
「君を、褒賞という名の首輪で繋ぎ、王宮という名の籠で、監視するための、不本意な契約だったな」
「……いいえ。あの時のわたくしには、それしか、道はございませんでしたから」
「だが、もう、こんなものは、不要だ」
そう言うと、彼は、その契約書を、びり、と、音を立てて、破り捨てたのだ。
「え……!?」
驚く私の目の前で、細かく引き裂かれた紙片が、夜風に乗り、きらめく夜景の中へと、舞い散っていく。
まるで、私たちの、偽りの過去が、浄化されていくかのようだった。
私が、呆然と、その光景を見つめていると、アレクシス様は、私の前に、ゆっくりと、跪いた。
「……アレクシス、様……?」
彼は、私の手を取ると、その顔を、まっすぐに、上げてくる。
そして、上着のポケットから、小さな、ベルベットの箱を、取り出した。
パチリ、と、その箱が開けられる。
中に入っていたのは、月光を浴びて、清らかに輝く、美しい、ダイヤモンドの指輪だった。
私の、心臓が、大きく、跳ねる。
「レベッカ・バナ・ナティアーノ」
彼の、真剣な声が、夜の静寂に、響き渡る。
「これは、契約じゃない。取引でも、政略でもない」
「俺の、心からの、願いだ」
彼の、青い瞳が、私だけを、映している。
その瞳には、深い、深い愛情の色が、満ち溢れていた。
「俺は、君という、世界で、ただ一人の女性を、愛している」
「傲慢で、気高くて、そして、誰よりも、優しくて、強い、君を」
「だから、どうか、俺と、結婚してほしい」
それは、私が、ずっと、ずっと、夢見てきた言葉だった。
嬉しくて、幸せで、涙が、溢れて、止まらない。
視界が、滲んで、彼の顔が、よく見えなくなった。
「……はい」
私は、涙声のまま、頷いた。
「はい……! 喜んで……!」
その返事を聞いて、彼は、心の底から、幸せそうに、微笑んだ。
彼は、箱から指輪を取り出すと、私の、左手の薬指に、そっと、それを、はめてくれる。
指に、ぴったりと、収まった指輪は、まるで、初めから、ここにあるのが、運命だったかのように、輝いていた。
彼は、立ち上がると、私の涙を、指先で、優しく、拭ってくれる。
そして、ゆっくりと、彼の顔が、近づいてきて。
私たちは、星空の下で、永遠を誓う、優しい、優しい、キスを、交わした。
偽りの婚約から始まった、私たちの物語。
それは、今、この瞬間、本物の、愛の物語として、新たに、その幕を開けたのだった。
過去との、しがらみを、全て断ち切った、その夜。
私は、アレクシス様に、誘い出されていた。
連れてこられたのは、王宮の最上階にある、一般には公開されていない、小さなバルコニー。
そこからは、眼下に広がる、王都の美しい夜景が、まるで、宝石箱をひっくり返したかのように、きらめいて見えた。
「……綺麗ですわね」
「ああ。俺も、気に入っている場所なんだ。考え事をしたい時、時々、こうして、一人で、ここに来る」
彼は、私の隣に立ち、同じように、夜景を見下ろした。
涼やかな夜風が、私たちの間を、吹き抜けていく。
しばらく、二人で、黙って、夜景を眺めていた。
その、穏やかな沈黙を、破ったのは、彼だった。
「レベッカ」
「はい」
彼は、懐から、一枚の、古い羊皮紙を取り出した。
それは、私と彼が、初めて交わした、あの、婚約の契約書だった。
「我々の、最初の婚約は、国益のための、取引だった」
彼は、静かに、そう言った。
「君を、褒賞という名の首輪で繋ぎ、王宮という名の籠で、監視するための、不本意な契約だったな」
「……いいえ。あの時のわたくしには、それしか、道はございませんでしたから」
「だが、もう、こんなものは、不要だ」
そう言うと、彼は、その契約書を、びり、と、音を立てて、破り捨てたのだ。
「え……!?」
驚く私の目の前で、細かく引き裂かれた紙片が、夜風に乗り、きらめく夜景の中へと、舞い散っていく。
まるで、私たちの、偽りの過去が、浄化されていくかのようだった。
私が、呆然と、その光景を見つめていると、アレクシス様は、私の前に、ゆっくりと、跪いた。
「……アレクシス、様……?」
彼は、私の手を取ると、その顔を、まっすぐに、上げてくる。
そして、上着のポケットから、小さな、ベルベットの箱を、取り出した。
パチリ、と、その箱が開けられる。
中に入っていたのは、月光を浴びて、清らかに輝く、美しい、ダイヤモンドの指輪だった。
私の、心臓が、大きく、跳ねる。
「レベッカ・バナ・ナティアーノ」
彼の、真剣な声が、夜の静寂に、響き渡る。
「これは、契約じゃない。取引でも、政略でもない」
「俺の、心からの、願いだ」
彼の、青い瞳が、私だけを、映している。
その瞳には、深い、深い愛情の色が、満ち溢れていた。
「俺は、君という、世界で、ただ一人の女性を、愛している」
「傲慢で、気高くて、そして、誰よりも、優しくて、強い、君を」
「だから、どうか、俺と、結婚してほしい」
それは、私が、ずっと、ずっと、夢見てきた言葉だった。
嬉しくて、幸せで、涙が、溢れて、止まらない。
視界が、滲んで、彼の顔が、よく見えなくなった。
「……はい」
私は、涙声のまま、頷いた。
「はい……! 喜んで……!」
その返事を聞いて、彼は、心の底から、幸せそうに、微笑んだ。
彼は、箱から指輪を取り出すと、私の、左手の薬指に、そっと、それを、はめてくれる。
指に、ぴったりと、収まった指輪は、まるで、初めから、ここにあるのが、運命だったかのように、輝いていた。
彼は、立ち上がると、私の涙を、指先で、優しく、拭ってくれる。
そして、ゆっくりと、彼の顔が、近づいてきて。
私たちは、星空の下で、永遠を誓う、優しい、優しい、キスを、交わした。
偽りの婚約から始まった、私たちの物語。
それは、今、この瞬間、本物の、愛の物語として、新たに、その幕を開けたのだった。
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