31 / 32
31
しおりを挟む
祝福の鐘
そして、季節は巡り、春が訪れた。
その日、王国中は、朝から、祝賀ムード一色に、染まっていた。
街中の教会という教会で、祝福の鐘が、高らかに、鳴り響いている。
今日は、この国の王太子、アレクシス・フォン・ヴァルハイトと、レベッカ・ナティアーノの、結婚式が、執り行われる日なのだ。
私は、王宮の、支度部屋で、純白のウェディングドレスに、身を包んでいた。
鏡に映る自分の姿は、まるで、知らない誰かのようで、なんだか、実感が湧かない。
「まあ、レベッカ様! なんて、お美しい……!」
アナ殿下が、感嘆の声を上げる。
その隣では、王妃イザベラ様が、穏やかな、優しい笑みを浮かべて、私を見つめていた。
「本当に、綺麗よ、レベッカ。あの子には、もったいないくらいだわ」
「お母様、ひどいですわ!」
そんな、和やかな会話に、私の緊張も、少しずつ、ほぐれていく。
やがて、準備が整い、私は、国王陛下に、エスコートされて、大聖堂の、バージンロードを、歩き始めた。
パイプオルガンの、荘厳な音色。
参列してくれた、大勢の貴族たちの、温かい拍手。
その全てが、夢のようだった。
そして、祭壇の前には、白銀の礼服に身を包んだ、アレクシス様が、少し、緊張した面持ちで、私を待っていた。
彼の元へと、たどり着く。
国王陛下が、私の手を、彼の手へと、そっと、移した。
「……アレクシス。娘を、よろしく頼む」
「はい、父上。必ず、生涯をかけて、彼女を、幸せにいたします」
私たちは、手を取り合い、神父様の前で、永遠の愛を、誓った。
「汝、レベッカ・ナティアーノを、妻とし、健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、敬い、慈しむことを、誓いますか」
「はい、誓います」
彼の、力強い声。
「汝、アレクシス・フォン・ヴァルハイトを、夫とし……」
「はい、誓います」
私の、震えながらも、はっきりとした声。
そして、誓いの、口づけ。
その瞬間、大聖堂は、割れんばかりの、歓声と、拍手に、包まれた。
式の後、私たちは、オープンカー仕様の、馬車に乗り込み、王都を、パレードした。
沿道には、私たちの結婚を、祝福するために、信じられないほど、大勢の民衆が、詰めかけている。
「妃殿下、おめでとう!」
「王子様、妃殿下、万歳!」
かつて、事件が起こった、あの中央広場を、今度は、降り注ぐ、色とりどりの、花びらと、祝福の声に、包まれながら、進んでいく。
私は、民衆に、笑顔で手を振りながら、隣に座る、アレクシス様の顔を、見上げた。
彼もまた、幸せそうな、柔らかな笑みを浮かべて、私を見つめ返してくれた。
その夜、王宮で開かれた、盛大な披露宴。
宴も、たけなわになった頃、花嫁の、ブーケトスが、行われた。
私が、後ろ向きに、放り投げた、純白のブーケは、美しい弧を描いて、飛んでいく。
そして、見事、そのブーケを、キャッチしたのは。
「まあ! わたくしが、受け取ってしまいましたわ!」
やはり、アナスタシア殿下だった。
彼女は、ブーケを、高々と掲げ、会場中の注目を集めると、高らかに、宣言した。
「皆様! ご覧になって! 次に、この国の、幸せな花嫁になるのは、この、わたくしですわよ!」
その、あまりに、堂々とした宣言に、会場中が、どっと、笑いに包まれる。
隣にいた、親善のために、まだ、この国に滞在していた、どこかの国の王子様が、顔を赤らめて、慌てふためいているのが、見えた。
きっと、この国は、これからも、この、天真爛漫な王女様に、良い意味で、振り回されていくのだろう。
そして、その未来は、きっと、明るく、楽しいものに、違いなかった。
そして、季節は巡り、春が訪れた。
その日、王国中は、朝から、祝賀ムード一色に、染まっていた。
街中の教会という教会で、祝福の鐘が、高らかに、鳴り響いている。
今日は、この国の王太子、アレクシス・フォン・ヴァルハイトと、レベッカ・ナティアーノの、結婚式が、執り行われる日なのだ。
私は、王宮の、支度部屋で、純白のウェディングドレスに、身を包んでいた。
鏡に映る自分の姿は、まるで、知らない誰かのようで、なんだか、実感が湧かない。
「まあ、レベッカ様! なんて、お美しい……!」
アナ殿下が、感嘆の声を上げる。
その隣では、王妃イザベラ様が、穏やかな、優しい笑みを浮かべて、私を見つめていた。
「本当に、綺麗よ、レベッカ。あの子には、もったいないくらいだわ」
「お母様、ひどいですわ!」
そんな、和やかな会話に、私の緊張も、少しずつ、ほぐれていく。
やがて、準備が整い、私は、国王陛下に、エスコートされて、大聖堂の、バージンロードを、歩き始めた。
パイプオルガンの、荘厳な音色。
参列してくれた、大勢の貴族たちの、温かい拍手。
その全てが、夢のようだった。
そして、祭壇の前には、白銀の礼服に身を包んだ、アレクシス様が、少し、緊張した面持ちで、私を待っていた。
彼の元へと、たどり着く。
国王陛下が、私の手を、彼の手へと、そっと、移した。
「……アレクシス。娘を、よろしく頼む」
「はい、父上。必ず、生涯をかけて、彼女を、幸せにいたします」
私たちは、手を取り合い、神父様の前で、永遠の愛を、誓った。
「汝、レベッカ・ナティアーノを、妻とし、健やかなる時も、病める時も、富める時も、貧しき時も、これを愛し、敬い、慈しむことを、誓いますか」
「はい、誓います」
彼の、力強い声。
「汝、アレクシス・フォン・ヴァルハイトを、夫とし……」
「はい、誓います」
私の、震えながらも、はっきりとした声。
そして、誓いの、口づけ。
その瞬間、大聖堂は、割れんばかりの、歓声と、拍手に、包まれた。
式の後、私たちは、オープンカー仕様の、馬車に乗り込み、王都を、パレードした。
沿道には、私たちの結婚を、祝福するために、信じられないほど、大勢の民衆が、詰めかけている。
「妃殿下、おめでとう!」
「王子様、妃殿下、万歳!」
かつて、事件が起こった、あの中央広場を、今度は、降り注ぐ、色とりどりの、花びらと、祝福の声に、包まれながら、進んでいく。
私は、民衆に、笑顔で手を振りながら、隣に座る、アレクシス様の顔を、見上げた。
彼もまた、幸せそうな、柔らかな笑みを浮かべて、私を見つめ返してくれた。
その夜、王宮で開かれた、盛大な披露宴。
宴も、たけなわになった頃、花嫁の、ブーケトスが、行われた。
私が、後ろ向きに、放り投げた、純白のブーケは、美しい弧を描いて、飛んでいく。
そして、見事、そのブーケを、キャッチしたのは。
「まあ! わたくしが、受け取ってしまいましたわ!」
やはり、アナスタシア殿下だった。
彼女は、ブーケを、高々と掲げ、会場中の注目を集めると、高らかに、宣言した。
「皆様! ご覧になって! 次に、この国の、幸せな花嫁になるのは、この、わたくしですわよ!」
その、あまりに、堂々とした宣言に、会場中が、どっと、笑いに包まれる。
隣にいた、親善のために、まだ、この国に滞在していた、どこかの国の王子様が、顔を赤らめて、慌てふためいているのが、見えた。
きっと、この国は、これからも、この、天真爛漫な王女様に、良い意味で、振り回されていくのだろう。
そして、その未来は、きっと、明るく、楽しいものに、違いなかった。
74
あなたにおすすめの小説
当て馬令嬢は自由を謳歌したい〜冷酷王子への愛をゴミ箱に捨てて隣国へ脱走したら、なぜか奈落の底まで追いかけられそうです〜
平山和人
恋愛
公爵令嬢エルナは、熱烈に追いかけていた第一王子シオンに冷たくあしらわれ、挙句の果てに「婚約者候補の中で、お前が一番あり得ない」と吐き捨てられた衝撃で前世の記憶を取り戻す。 そこは乙女ゲームの世界で、エルナは婚約者選別会でヒロインに嫌がらせをした末に処刑される悪役令嬢だった。
「死ぬのも王子も、もう真っ平ご免です!」
エルナは即座に婚約者候補を辞退。目立たぬよう、地味な領地でひっそり暮らす準備を始める。しかし、今までエルナを蔑んでいたはずのシオンが、なぜか彼女を執拗に追い回し始め……? 「逃げられると思うなよ。お前を俺の隣以外に置くつもりはない」 「いや、記憶にあるキャラ変が激しすぎませんか!?」
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?
パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。
しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。
「予備」として連れてこられた私が、本命を連れてきたと勘違いした王国の滅亡フラグを華麗に回収して隣国の聖女になりました
平山和人
恋愛
王国の辺境伯令嬢セレスティアは、生まれつき高い治癒魔法を持つ聖女の器でした。しかし、十年間の婚約期間の末、王太子ルシウスから「真の聖女は別にいる。お前は不要になった」と一方的に婚約を破棄されます。ルシウスが連れてきたのは、派手な加護を持つ自称「聖女」の少女、リリア。セレスティアは失意の中、国境を越えた隣国シエルヴァード帝国へ。
一方、ルシウスはセレスティアの地味な治癒魔法こそが、王国の呪いの進行を十年間食い止めていた「代替の聖女」の役割だったことに気づきません。彼の連れてきたリリアは、見かけの派手さとは裏腹に呪いを加速させる力を持っていました。
隣国でその真の力を認められたセレスティアは、帝国の聖女として迎えられます。王国が衰退し、隣国が隆盛を極める中、ルシウスはようやくセレスティアの真価に気づき復縁を迫りますが、後の祭り。これは、価値を誤認した愚かな男と、自分の力で世界を変えた本物の聖女の、代わりではなく主役になる物語です。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる