聖女と作る眷属のハーレム 〜人知れず村の生活を豊かにしていた少年は、いずれ全ての聖女たちから溺愛されることになるそうです〜

カミキリ虫

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第3章

第110話 これからの予知

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 ……やってしまった、と思った。

 シムルグの背には巫女ティナさんが乗っている。

「本当に連れてきてもよかったのだろうか……」

 ……だめだったかもしれないと、思う気持ちもある。

「そんなことないわよ。ご主人様はもう少し女心を分かってあげた方がいいわね」

「彼女は囚われていましたから」

 コーネリスとヒリスが俺の腕を抱きしめて、「分かってないな~」というような顔をしていた。俺はそんな二人の頭をそっと撫でた。二人にはさっき、かなり力を借りていた。

「私……塔の外に出ています……」

 呆然と、どこまでも広がる空と地平に目をやるティナさん。
 やがてその目には眩い輝きが宿り、彼女は鼻を啜って、少し涙ぐんでいるようでもあった。

 ……かと思ったら、ハッとしてこちらを見ると、慌てて土下座をしてきた。

「め、メテオノールさん。この度は本当に申し訳ございませんでした!」



 『星灯りの塔』を後にした俺たちは、シムルグの背に乗って空を移動中だ。
 塔はもう見えない。当たり前だ。さっき破壊したのだから。これは言い訳する余地もなく、俺がやってしまったことだ。

 そしてティナさんは、そんな俺たちに対し、逆に謝っていた。

「私はあなたたちを裏切ってしまいました……」

「あ、いや……」

 深々と頭を下げる彼女を俺は止めようとする。彼女にも事情があるというのは、なんとなく察した。あの塔を後にする直前、ティナさんには何か縛りのようなものがかかっていた気がする。それはすでに解除済みだ。

「恐らく制約だったのでしょう」

 と、解析してくれたヒリス。

 巫女ティナさん。彼女にも彼女で事情があるのだ。
 だから、謝る必要なんてない。
 そう思って、彼女の謝罪を止めようとしたのだが……。

 ーー違う。

 俺がしないといけないのは、多分、止めることじゃない。……こうだ。

「……別に謝罪は必要ない」

「メテオノールさん……」

「俺もあの塔を破壊したことを謝罪するつもりはないからな……」

 俺は彼女の方を見ずにそう言った。

「そ、それは別にメテオノールさんが謝ることではありません。だって私はあなたたちのーー」

「それ以上、言わなくていい」

 そうする方が多分、互いにとってもいいはずだと思う。

 俺たちはなんのしがらみのない関係にはなれない。

 彼女が悪いんじゃない。近い将来、俺は彼女に恨まれることになるかもしれない。このまま教会とのあれこれが続けば、そうなる可能性がある。

 その時が来ても、俺は彼女に謝らないと思う。

 だからーー。

「……っ。ごめんなさいメテオノールさん」

「こ、こちらこそ……すみません」

「「「結局謝ってる……二人とも」」」

 みんなが苦笑いをしていた。

「とりあえず私は、これから先、巫女の予知は使わないと約束します」

 ティナさんは後悔するようにそう宣言した。

「この力は人を不幸にする力です……。だから使わない方が、みんなのためです」

「いえ、それは使ってもらいます」

「そうよ! せっかく巫女様がこっちにいるんだもの! 使わない手はないわ!」

「うう……、どうすれば……」

 即時に却下するヒリスとコーネリス。
 ティナさんの決意虚しく、その宣言は破棄されることになる。

「とりあえずメモの未来を予知してください!」

「ジルもぉ~」

「わ、分かりました……。……お二人の未来はですね……」

 メモリーネとジブリールが上目遣いでお願いすると、ティナさんは目を閉じて予知をしてくれた。

「見えました。お二人は……いずれ家出をすることになってしまうようです……」

「「なんでぇ~~!?」」

 驚く二人。

 二人には家出をしてしまう未来が待っているようだ。

「でも、家出か。初めて出てきた時のコーネリスみたいだな」

「そうだね……。あの時のコーネリスちゃん、一人で飛んで行ったもんね……」

 俺とテトラは懐かしい気持ちになってしまった。

「も、もう言わないでよ! あの時のことは、ごめんなさい! 本当にごめんなさい!」

 あれは、コーネリスが初めて眷属として出てきてくれた時のことだったな……。
 コーネリスは俺たちの元から、飛んで逃げてしまったんだ。
 あれも家出といえば、家出だ。

 そんなコーネリスとも一緒に、俺たちはシムルグの背に乗っている。
 そう考えると、何か感慨深いものがあった。

「なーんだ。コーネリスお姉ちゃんと一緒か」

「なっとくー」

「あんたたち失礼ね!」

「「きゃきゃきゃっ!」」

 脇腹をくすぐられて、キャピキャピと嬉しそうにする二人。コーネリスもどことなく嬉しそうだった。

「では次はコーネリスさんの未来を予知させていただきたいと思います。コーネリスさんは本当は優しい人です……。進んで嫌われ者の役をかって出たり、思いやりのある方です」

「「「「確かに……」」」」

「ねえ、私だけ、性格診断になっているんだけど!」

 コーネリスはいつもそうだ。
 さっきのあの塔でも、そうだった。

「コーネリス、毎回、本当にごめん……」

「べ、別にいいわよ……。私が進んでやってることだもの。ま、まあ、でもご褒美をくれるっていうのなら、後で頭を撫でてよね……?」

 俺の耳元でコーネリスがそんなお願いをする。
 その頬は赤く染まって、甘えるような瞳をこちらに向けていた。

 俺は頷く。してほしいことがあるのなら、なんだってしてあげたい。

「ん~、じゃあ今、月光龍おばあちゃんたちがどこにいるのかは分かりますか?」

「アイリスさんもぉ~」

「う、うーん……。……ごめんなさい。それは予知できなさそうです」

 予知の能力。
 分からないこともあるとのことだった。

 ちなみに月光龍さんたちは、俺たちとは別行動することになっていて、各地を見て回った後安全な場所にいてもらうことになっている。


「では巫女ティナ様。私も予知していただきたいことがあります」

「はい。ヒリスさん。何を予知すればいいでしょうか」

「今後のことです。今後、ご主人様がどうなるのか、先のことは何か予知できないでしょうか」

「分かりました……」

 そうして目を瞑るティナさんが、未来を予知してくれる。

「見えました……」

 目を見開くと、彼女はこれからのことを教えてくれた。

「ほどなくして、メテオノールさんが追いかけられている光景が見えます。エルフの四人組の冒険者です。我々は逃げております」

「また逃げるのか……」

 最近、逃げてばっかりだ……。

 申し訳なさそうなティナさんの言葉に、俺は苦笑いをした。

 このまま逃げ続ければ、どこかに辿り着けるのだろうか。これが正解なのか。

 その答えは、まだ分からなかった。
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