聖女と作る眷属のハーレム 〜人知れず村の生活を豊かにしていた少年は、いずれ全ての聖女たちから溺愛されることになるそうです〜

カミキリ虫

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第3章

第111話 四人組のエルフの冒険者パーティー

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* * * * * *

「聖女殺し……許せないわッ」

 掲示板に貼られている一枚の手配書を見て、一人の少女が怒りに震えていた。

「聖女様を殺すだけではなく、巫女様に危害を加えるなんて……」

「なんて悪人だ。『聖女殺し』……」

 そばにいた仲間の二人も難しい顔をする。


 ここは冒険者ギルド。
 そして彼女たちは、Sランク冒険者『幻影の妖精姫』。エルフの少女たちだ。

 現在、この世界のあちこちでは、『聖女殺し』の話題で持ちきりだ。なんでも『聖女』を殺したという人物がいるとのことだった。
 さらに、その聖女殺しは巫女様がいる『星灯りの塔』を破壊し、消滅させたらしいのだ。

 信じられない奴だ。ありえない。

「「「許せない……」」」

 正義感の強い『幻影の妖精姫』の彼女たちは、当然それを許すことなんてできない。誰が許せようものか。

「「「私たちが必ずこいつを捕まえる……っ」」」

『やったれ! 『幻影の妖精姫』!』

『我らの希望だ!』

『『聖女殺し』なんかぶっ殺しちまえ!!』

 ギルド内にいた他の冒険者たちが、彼女たちを応援する。
『幻影の妖精姫』はみんなの希望だ。
 彼女たちが動いてくれるのならば、『聖女殺し』を捕らえることも難しくはないだろう。

 罪人にかける情けはない。

「……果たしてそうなのかしら」

「「「!」」」

 そこに疑問を呈したのは、残り一人のパーティーメンバー。

 エルフの少女、名をイデアという。
 静かな雰囲気の、大人びている剣士だ。

 彼女は口数の多い方ではない。むしろ少ない方だ。一日のうち、全く声を聞かない日だってある。

 そんな彼女が、掲示板に貼られている手配書を見ながら、疑問を呈していた。

「黒が黒であると限らないように、黒も本当は白だったかもしれない」

「ねえ、イデア、それどういうこと?」

「さあ……ね」

「言ってよぉ!」

 意味深なことを言っておいてはぐらかすイデアに、リーダーの少女が縋りついた。

「イデアはいっつもそう! 肝心なことはなーんにも言ってくれない!」

「「ま、まあまあ、落ち着いて」」

 仲間の二人が、リーダーの少女をなだめて落ち着かせる。

 また始まった……と思った。
 リーダーの少女はいつもしっかりしていて頼もしいのだが、イデアにどっぷりと依存しており、イデアの一言で心が掻き乱されるのだ。

(イデアが滅多に喋らないのは、それが関係してるのかも……)

(自分の発言力を分かってるから……)


『ねえ、見て! Sランクパーティー様が揉めてる!』
『さては、聖女殺しの件で、熱い議論を交わしてるのかもしれない!』
『さすがね……!』

 遠巻きに見ている冒険者たちがザワついていた。


「でも私たちは教会から依頼を受けてるの! だから、聖女殺しを捕らえないといけないのよ! イデアも分かってるでしょ!?」

「ふんっ」

 プイッと顔を背けるイデア。
 そんなことは分かっている。

「言われるまでもないわ」

「むきぃ~~!!」

「「ま、まあまあ、落ち着いて」」

 とにかく、聖女殺しの件で各所が動き出していた。

 Sランク冒険者の彼女たちも、教会から直々の依頼を受けている。だから聖女殺しを捕らえないといけない。

 けれど。

「イデアは聖女殺しを捕まえるのには反対なの?」

「賛成よ」

「そこは賛成なんかい……!」

(賛成に決まってるわ。テオくんを捕まえるのは私が先。誰よりもね。そしたら、保護してあげられるんだもの。一生、ね)

 腕を組んで目を軽く閉じながら、イデアは想像した。
 保護したあとの彼と、二人でどこか静かなところで暮らすことを。

「……ふっ。ふふっ」

「「「い、イデアが笑ってる……っ」」」

 これは普通の恋にはならないかもしれない。エルフと人間という種族的にも。そして今の彼の状況的にも。

 けれど、そんなのは承知の上だ。
 彼と共にあれるのならば、なんてことない。むしろ燃える展開だ。

「でも、イデアがやる気に満々だ……!」

「これはいける……!」

「なんだ……イデア……。もうっ、あなたって子は……っ」

 頼もしい剣士の少女イデアの姿に、他の三人にもやる気がみなぎった。

「……さ、行くわよ。私の王子様を捕まえに」

 金色の髪を靡かせて、静かに歩み始めるイデア。

「「「おー!」」」

 仲間の少女たちもそれに続いて進み出す。

 こうして『幻影の妖精姫』は聖女殺しを探しに行くことにしたのだった。


 * * * * *


 そして、それから数時間後のとある草原にて、空からシムルグが降ってきたのだった。

「ねえ、あれ! 聖女殺しじゃない!? 手配書の特徴と一致してるわ!!」

「「捕まえろぉぉー!!!」」

「……私の時代が来たわ」

(テオくん……見ーつけたっ)
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