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第27話 チンピラたちには災いを
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とりあえず王都に来ることができて、ある程度王都の情報も手に入った。
そうなると、あとはセレスさんが一番気になっていることもあるだろう。
『セレス、一度、王城にも行ってみましょうか。妹のフィリスティアちゃんに会いたいですよね』
「確かに会いたいですけど……今の私が会ってもいいのでしょうか」
『当たり前ですよ!』
セレスさんは迷っているようで、その背中をロストルジアさんが押す。
セレスさんはそのために、あの森にいたんだ。
妹で『捧げ姫』だったフィリスティアさんを守るために。そして会うために。
それが今、叶おうとしている。
『大丈夫です。遮断の魔法で、セレスが城に入れるように私が援護します』
「……ふふっ。ロストルジア様が力を貸してくれるのなら、頼もしいですね」
セレスさんがくすりと笑っていた。
どうやら、決まったみたいだった。
「もう王女ではなくて、死んだことになっている私が王城に行くのは、忍びないですが……無理でした。やっぱり一目でもいいから、フィリスティアちゃんのことを見たい。柴裂くんも一緒に行きますよね」
「あ、いえ、俺はもう少し街を歩いて、色々調べておこうと思います」
「そうですか……? あなたも、故郷の人たちと会わなくてもいいのですか……? 柴裂くんの儀式、気になりませんか?」
「た、確かにそれは気になりますけど……」
さっき見かけたクラスメイトたちが言ってたもんな。
柴裂くんの祟りを収める儀式をしよう! ……と。
気にならないと言えば嘘になるし、あと、他にも色々、七宮さんのこととかも気にならないと言えば嘘になる。
でも……なんとなく、近づきづらいものを感じてしまうのだ。
なにより。
「おいおい! オメーら、ちょっとツラ貸せや!」
直後、俺たちの背後から、肩をぶつける気配があった。
ぞろぞろと数人のガラの悪そうな人物が、俺たちがいる路地裏へとやってきていた。
俺は、ぶつけられる肩を交わし、セレスさんに被害が及ばないようにもする。
「ぷっ、こいつ、避けられてやがる。ダッセーの」
「うっせっ。おいおい、そこのにーちゃん。舐めてんのか、ゴラァ?」
「とりあえず、顔見せろや」
数は5人。
俺もセレスさんもフードを被っていて、反射的に武器に手を添えていた。
どうやら相手は、カツアゲ目的で、絡んできたのだと思われる。
「ロストルジアさん。セレスさん。今のうちに」
『分かりました。ここは、あなたにお任せします。行きますよ、セレス』
「あっ、でも……」
「別行動をしましょう。セレスさんはフィリスティアさんの元へ、お行きください」
「……分かりました。シバサキくん……ありがとう」
禍々しい魔力が展開される。
そうすると、次の瞬間には、セレスさんの姿は消えていた。
「……? 今、一人、消えなかったか?」
「だよな? 気のせいか……?」
「おい、にーちゃん、何をした?」
訝しみながら、詰め寄ってくる男たち。
「まあ、いいや。にーちゃん、ちょいとツラ貸せや? なぁに、悪いようにはしねえからよぉ」
「「「ぶひゃひゃ……! たっぷり可愛がってやるぜ」」」
醜悪な笑みを浮かべながら、俺の胸ぐらを掴み上げる男たち。
そして躊躇うことなく、俺の顔へと殴りかかってきた。
人を殴り慣れている様子だ。
その拳が俺に直撃する。他の男も拳を振り上げて、殴りかかってくる。全員同時に。全部俺の顔にクリーンヒットだ。
「死ねや、ザコが!」
「その顔、蜂の巣にしてやんよ!」
そして……数分後。
「「「ぜ、ゼェ、ゼェ……びくともしねえッ、どうなってやがんだッ!?」」」
俺の足元には、息を切らしたチンピラが転がっていた。
自分の腕を押さえて、真っ青な顔をしている。
俺は一歩も動いていない。
奴らが、殴り続けて、その間もただ立っていただけだ。
……そしてもう、十分だろう。
そろそろ、頃合いだ。
「ロスト・ドレイン」
「「「……ッッッ!?」」」
直後、呪いの魔力が蔓延し、彼らに悲劇が襲いかかるのだった。
*****************
「アニキ、アニキ……! しっかりしてくだせえ、アニキ……!」
「!? な、なんだ!? お、俺は一体……!?」
王都の街の、ゴミ捨て場のあたり。
そこで男たちは、ゴミにまみれながら目を覚ましていた。
「お、俺たちは、ここで何をしていたんだ……?」
アニキと呼ばれたスキンヘッドの男が、声を震わせながら取り乱していた。
自分たちは今……何をしていた?
なんでゴミ捨て場にいるんだ……。
さっきまで……そうだ。殴っていたんだ。無性にムシャクシャした自分達は、ちょうどいいところに立っていたフード姿の奴をタコ殴りにしていた。
そしてボロ雑巾になったそいつの有り金を全て毟り取って、酒でも浴びるように飲もうと思っていた。
それなのに……今は、ゴミ捨て場に頭を突っ込んでいる。
「……ッ!? あいつが、何かしやがったのか!?」
アニキは激昂した。
そして、思い出した。
さっきのやつは、どれだけ殴ってもビクともしなかった。反撃もしてこなかったそいつを殴ったら、むしろこっちの拳が破壊されそうになるほどだった。
それを思い出すと、まるでコケにされたような気分になった。
「ふざけやがって! 俺を舐めるとは、いい度胸だ! ちくしょうッ!!」
アニキは、怒りのままに近くの壁を殴る。八つ当たりだ。
「砕け散れッッ! 俺の自慢の拳を喰らってッッ!」
ボギッッ!
「……!? ンギイイイイイイイィィィィ!?!?!?!?」
しかし、砕け散ったのは、アニキの拳の方だった。
「「「あ、アニキ!?」」」
壁を殴り、右手を粉砕骨折した兄貴に、駆け寄るチンピラたち。
しかし、足を踏み出した途端、全身に重さを感じ、そのまままとめて地面に顔をぶつける。
「「「「ンギイイイイイイイィィィィ!?!?!?!?」」」」
ぶつけた鼻が粉砕骨折をして、顔が悲惨なことになってしまった。
「な、何が起きてやがる……!?」
そして、ステータスを確認して、恐れ慄いた。
・『状態』 怨念。
レベル、ステータスが弱体化し、筋力と体力が低下し続ける。
弱体化したステータスは元に戻らず、また上げ直す必要あり。
「な、なんでこんなことに……」
ザコになっていた。
チンピラたちが一人残らず、ザコになっていた。
ステータスが絶え間なく減少し続けていて、近年、この辺り一体を仕切っていたチンピラたちは、謎の怨念を受けて、ザコになっていた。
「!? ま、まさかあいつが!」
それしか考えられなかった。
ーー『ロスト・ドレイン』ーー
対象のステータスを没収し、相手に懺悔を与える魔法。
誤った使い方をすれば、術師に呪いが跳ね返ってくる禁断の魔法でもある。
しかし、今回は使用用途が正しかったため、チンピラたちは一人残らずに懺悔の対象になった。
ザコになったチンピラたちは、これから先、大変苦しい思いをするだろう。
しかし、何も問題ない。この辺りの裏路地付近ではこのチンピラたちが仕切っていたこともあり、住人たちは大迷惑をしていたのだ。
だから、チンピラたちがザコになった結果、王都は少しだけ平和になったのだった。
「……ふーん。あいつ、生きてたんだ」
そしてーー。
そんな場面を見ていた少女が、一人。
この世界で生きてきた者たちとは違う、異世界の魔力を宿している少女。
その少女はフードを深く被ると、口元に笑みを浮かべながら、この場を後にして、いなくなった彼の後を追うのだった。
そうなると、あとはセレスさんが一番気になっていることもあるだろう。
『セレス、一度、王城にも行ってみましょうか。妹のフィリスティアちゃんに会いたいですよね』
「確かに会いたいですけど……今の私が会ってもいいのでしょうか」
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セレスさんは迷っているようで、その背中をロストルジアさんが押す。
セレスさんはそのために、あの森にいたんだ。
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それが今、叶おうとしている。
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どうやら、決まったみたいだった。
「もう王女ではなくて、死んだことになっている私が王城に行くのは、忍びないですが……無理でした。やっぱり一目でもいいから、フィリスティアちゃんのことを見たい。柴裂くんも一緒に行きますよね」
「あ、いえ、俺はもう少し街を歩いて、色々調べておこうと思います」
「そうですか……? あなたも、故郷の人たちと会わなくてもいいのですか……? 柴裂くんの儀式、気になりませんか?」
「た、確かにそれは気になりますけど……」
さっき見かけたクラスメイトたちが言ってたもんな。
柴裂くんの祟りを収める儀式をしよう! ……と。
気にならないと言えば嘘になるし、あと、他にも色々、七宮さんのこととかも気にならないと言えば嘘になる。
でも……なんとなく、近づきづらいものを感じてしまうのだ。
なにより。
「おいおい! オメーら、ちょっとツラ貸せや!」
直後、俺たちの背後から、肩をぶつける気配があった。
ぞろぞろと数人のガラの悪そうな人物が、俺たちがいる路地裏へとやってきていた。
俺は、ぶつけられる肩を交わし、セレスさんに被害が及ばないようにもする。
「ぷっ、こいつ、避けられてやがる。ダッセーの」
「うっせっ。おいおい、そこのにーちゃん。舐めてんのか、ゴラァ?」
「とりあえず、顔見せろや」
数は5人。
俺もセレスさんもフードを被っていて、反射的に武器に手を添えていた。
どうやら相手は、カツアゲ目的で、絡んできたのだと思われる。
「ロストルジアさん。セレスさん。今のうちに」
『分かりました。ここは、あなたにお任せします。行きますよ、セレス』
「あっ、でも……」
「別行動をしましょう。セレスさんはフィリスティアさんの元へ、お行きください」
「……分かりました。シバサキくん……ありがとう」
禍々しい魔力が展開される。
そうすると、次の瞬間には、セレスさんの姿は消えていた。
「……? 今、一人、消えなかったか?」
「だよな? 気のせいか……?」
「おい、にーちゃん、何をした?」
訝しみながら、詰め寄ってくる男たち。
「まあ、いいや。にーちゃん、ちょいとツラ貸せや? なぁに、悪いようにはしねえからよぉ」
「「「ぶひゃひゃ……! たっぷり可愛がってやるぜ」」」
醜悪な笑みを浮かべながら、俺の胸ぐらを掴み上げる男たち。
そして躊躇うことなく、俺の顔へと殴りかかってきた。
人を殴り慣れている様子だ。
その拳が俺に直撃する。他の男も拳を振り上げて、殴りかかってくる。全員同時に。全部俺の顔にクリーンヒットだ。
「死ねや、ザコが!」
「その顔、蜂の巣にしてやんよ!」
そして……数分後。
「「「ぜ、ゼェ、ゼェ……びくともしねえッ、どうなってやがんだッ!?」」」
俺の足元には、息を切らしたチンピラが転がっていた。
自分の腕を押さえて、真っ青な顔をしている。
俺は一歩も動いていない。
奴らが、殴り続けて、その間もただ立っていただけだ。
……そしてもう、十分だろう。
そろそろ、頃合いだ。
「ロスト・ドレイン」
「「「……ッッッ!?」」」
直後、呪いの魔力が蔓延し、彼らに悲劇が襲いかかるのだった。
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「アニキ、アニキ……! しっかりしてくだせえ、アニキ……!」
「!? な、なんだ!? お、俺は一体……!?」
王都の街の、ゴミ捨て場のあたり。
そこで男たちは、ゴミにまみれながら目を覚ましていた。
「お、俺たちは、ここで何をしていたんだ……?」
アニキと呼ばれたスキンヘッドの男が、声を震わせながら取り乱していた。
自分たちは今……何をしていた?
なんでゴミ捨て場にいるんだ……。
さっきまで……そうだ。殴っていたんだ。無性にムシャクシャした自分達は、ちょうどいいところに立っていたフード姿の奴をタコ殴りにしていた。
そしてボロ雑巾になったそいつの有り金を全て毟り取って、酒でも浴びるように飲もうと思っていた。
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「……ッ!? あいつが、何かしやがったのか!?」
アニキは激昂した。
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それを思い出すと、まるでコケにされたような気分になった。
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アニキは、怒りのままに近くの壁を殴る。八つ当たりだ。
「砕け散れッッ! 俺の自慢の拳を喰らってッッ!」
ボギッッ!
「……!? ンギイイイイイイイィィィィ!?!?!?!?」
しかし、砕け散ったのは、アニキの拳の方だった。
「「「あ、アニキ!?」」」
壁を殴り、右手を粉砕骨折した兄貴に、駆け寄るチンピラたち。
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「!? ま、まさかあいつが!」
それしか考えられなかった。
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しかし、今回は使用用途が正しかったため、チンピラたちは一人残らずに懺悔の対象になった。
ザコになったチンピラたちは、これから先、大変苦しい思いをするだろう。
しかし、何も問題ない。この辺りの裏路地付近ではこのチンピラたちが仕切っていたこともあり、住人たちは大迷惑をしていたのだ。
だから、チンピラたちがザコになった結果、王都は少しだけ平和になったのだった。
「……ふーん。あいつ、生きてたんだ」
そしてーー。
そんな場面を見ていた少女が、一人。
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