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悪役の次期公爵
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土曜日、私はラインハルトと待ち合わせをした王都の外れで彼を待っていた。私の周りには、乗ってきた馬車と護衛の馬が3頭。おそらく彼の方はもう少し護衛が多いだろう。まさか王太子を私の馬車に乗せることにはならないはずだから、合流次第私は王族の馬車にお邪魔するのだろう。そう思っていた。しかし、実際に現れたのは……
「レオーーーン! 随分待たせてしまったかな?」
遠くから大声でこちらに向かって叫ぶラインハルト。その人は愛馬にまたがっている。かなり遅れて王宮の馬車がやってくる。まさかの登場に、私含め護衛もみな呆気にとられる。
「ラインハルト、なんで馬車に乗っていないんだ……」
呆れからため息が出た。
「こちらの方が速いだろう! 私たちだけでも先に行って、早く宝探しをしなくては時間切れだ。それに、一応変装はしているし」
「いや……ただ近衛騎士の服を借りてるだけじゃないか。それに、あなたは目立つから絶対に馬車に乗るべきだ」
「なになに? 私が麗しすぎるって??」
「そんなこと一言も言ってないが」
「でも考えてみてくれ、野盗に襲われても私の剣とお前の魔法があれば何とかあるし、そもそも襲われるような速度で進まないし。名案だろう??」
いつもラインハルトの我儘に付き合わされているのか、この突拍子もない提案を聞いても彼の護衛たちは動揺を見せない。それに、彼の言う通り私たちが襲われて危険な目にあう可能性はかなり低いだろう。
「何か異変があればすぐに馬車移動にするからな」
「それでこそレオンだ!」
結局、私が折れて馬で移動することになった。仕方がないから護衛の馬を1頭借りる。
あまりにも奇想天外な案であったが、そのおかげで昼過ぎには公爵邸につくことができた。
「私が心当たりがあるのはこの部屋だな。」
そう言って連れてこられたのは代々のガラクタが眠る物置だった。
「古代の記述だろ? 図書室の重要文献エリアとかにあるんじゃないか?」
「あぁ、シェルの病気を調べ始めてからそこら辺の本には全部目を通したよ。医学書、魔法書、薬草に関する書物、地方の迷信の類まで。しかし心当たりのある記述はなかった。だから、何かしらのメモとか日記とかではないかと思ってな」
あまりの執念深さに笑みがこぼれた。私の親友殿は、好いた相手のためならどんな努力も努力と思わないようだ。至極当たり前のことのように言い放ちやがって。
「ほんっとにゾッコンすぎて驚かされるよ」
「言っておけ。さぁ、探し始めよう。明日の夕方には出立しないといけないからな」
これは、何回も足を運ぶ必要がありそうだ。移動時間を考えれば、探し物に費やせる時間は丸1日程度。その時間で、とにかく広いこの部屋から記述を探さなくてはならない。しかも、物はかなり乱雑に、そして大量に置かれている。
「ラインハルト、その記述の種類に心当たりはないのか?」
「うーん……瘴気に関するものなら、やっぱり魔法かまじない、草花とかではないか?」
「同意見だ。平民の文官が見つけたというから、手帳のようなものにメモ書きされていたりするのではないかと思うんだがどう思う?」
「うん、いいと思うよ。あ~でも、古代の紙が状態良く、誰でも立ち入れるようなところにあるとは思えないんだよな。例えばそのメモ書き、陶磁器とか木製のものに彫られてるとかどうだ?」
「確かにそうだな。となると、あまり研究対象にならないもの、、量産品に軽くメモされているとかか?」
「その線で探して見ようか」
闇雲に探す時間はないから、的を絞ってから探していく。しかし、夜まで探したものの目立った記述はなかった。レオンは死にものぐるいになって探していた。きっと、来週もシェル殿に会えなかったら嫌だとか、そんな浮ついた理由なんだろう。本当に、国で1番のバカップルだな。それに付き合う私も相当親友バカだが。
レオンに会う前は、優秀な人間は恋愛に興味のない人間だと思っていた。自身のすべきことをただ行い、使命を果たすために生き続けることが絶対的な条件だと思っていた。しかし、レオンは違った。恐ろしく優秀なくせに、婚約者のことになると周りが見えなくなるのだ。私は、そんな彼に人間的な魅力を感じて惹かれたんだろうな。
彼のためにも、明日こそ見つけてやろうと気合いを入れ直した。
「レオーーーン! 随分待たせてしまったかな?」
遠くから大声でこちらに向かって叫ぶラインハルト。その人は愛馬にまたがっている。かなり遅れて王宮の馬車がやってくる。まさかの登場に、私含め護衛もみな呆気にとられる。
「ラインハルト、なんで馬車に乗っていないんだ……」
呆れからため息が出た。
「こちらの方が速いだろう! 私たちだけでも先に行って、早く宝探しをしなくては時間切れだ。それに、一応変装はしているし」
「いや……ただ近衛騎士の服を借りてるだけじゃないか。それに、あなたは目立つから絶対に馬車に乗るべきだ」
「なになに? 私が麗しすぎるって??」
「そんなこと一言も言ってないが」
「でも考えてみてくれ、野盗に襲われても私の剣とお前の魔法があれば何とかあるし、そもそも襲われるような速度で進まないし。名案だろう??」
いつもラインハルトの我儘に付き合わされているのか、この突拍子もない提案を聞いても彼の護衛たちは動揺を見せない。それに、彼の言う通り私たちが襲われて危険な目にあう可能性はかなり低いだろう。
「何か異変があればすぐに馬車移動にするからな」
「それでこそレオンだ!」
結局、私が折れて馬で移動することになった。仕方がないから護衛の馬を1頭借りる。
あまりにも奇想天外な案であったが、そのおかげで昼過ぎには公爵邸につくことができた。
「私が心当たりがあるのはこの部屋だな。」
そう言って連れてこられたのは代々のガラクタが眠る物置だった。
「古代の記述だろ? 図書室の重要文献エリアとかにあるんじゃないか?」
「あぁ、シェルの病気を調べ始めてからそこら辺の本には全部目を通したよ。医学書、魔法書、薬草に関する書物、地方の迷信の類まで。しかし心当たりのある記述はなかった。だから、何かしらのメモとか日記とかではないかと思ってな」
あまりの執念深さに笑みがこぼれた。私の親友殿は、好いた相手のためならどんな努力も努力と思わないようだ。至極当たり前のことのように言い放ちやがって。
「ほんっとにゾッコンすぎて驚かされるよ」
「言っておけ。さぁ、探し始めよう。明日の夕方には出立しないといけないからな」
これは、何回も足を運ぶ必要がありそうだ。移動時間を考えれば、探し物に費やせる時間は丸1日程度。その時間で、とにかく広いこの部屋から記述を探さなくてはならない。しかも、物はかなり乱雑に、そして大量に置かれている。
「ラインハルト、その記述の種類に心当たりはないのか?」
「うーん……瘴気に関するものなら、やっぱり魔法かまじない、草花とかではないか?」
「同意見だ。平民の文官が見つけたというから、手帳のようなものにメモ書きされていたりするのではないかと思うんだがどう思う?」
「うん、いいと思うよ。あ~でも、古代の紙が状態良く、誰でも立ち入れるようなところにあるとは思えないんだよな。例えばそのメモ書き、陶磁器とか木製のものに彫られてるとかどうだ?」
「確かにそうだな。となると、あまり研究対象にならないもの、、量産品に軽くメモされているとかか?」
「その線で探して見ようか」
闇雲に探す時間はないから、的を絞ってから探していく。しかし、夜まで探したものの目立った記述はなかった。レオンは死にものぐるいになって探していた。きっと、来週もシェル殿に会えなかったら嫌だとか、そんな浮ついた理由なんだろう。本当に、国で1番のバカップルだな。それに付き合う私も相当親友バカだが。
レオンに会う前は、優秀な人間は恋愛に興味のない人間だと思っていた。自身のすべきことをただ行い、使命を果たすために生き続けることが絶対的な条件だと思っていた。しかし、レオンは違った。恐ろしく優秀なくせに、婚約者のことになると周りが見えなくなるのだ。私は、そんな彼に人間的な魅力を感じて惹かれたんだろうな。
彼のためにも、明日こそ見つけてやろうと気合いを入れ直した。
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