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一ヶ月前。
出世コースといわれているプロジェクトのメンバーに抜擢されたはいいが、急に環境が変わったことと、どこかのんびりとした雰囲気の地方支社とは違い、まるで一秒を惜しむように仕事をこなさないと周りについていけないような状況の本社勤務に俺はすっかり疲れ果てていた。
その日はたまたま外回りが早めに終わったのをいいことに、プロジェクトミーティングが始まるまで空き部屋で少しボンヤリしようと思っただけだったのだが。
俺がいる部屋に突如現れた椿原課長。
サボっていたことを知られたくなくて咄嗟に棚の影に隠れた俺。
その軽率な行動が原因で、俺はこの課長についてのとんでもない秘密を知ってしまうことになったのだ。
課長は俺の存在に気付くことなく、いつもかっちりと着こなしているスーツの上着を脱いでぞんざいな仕草で中央に置かれているテーブルの上に投げると、そのままズボンを下着ごと落とし、テーブルに浅く腰掛けた。
そして片足をテーブルの上に乗せると、まるで誰かに見せつけるように大きく脚を拡げて、隠された場所に指を這わせ始めたのだ。
マジか……。
この時の俺の心境はその一言に尽きる。
男なら生えてる筈の恥毛がキレイに処理されていることにも驚いたが、それよりもっと驚いたのは課長がしていることがオナニーじゃなくてアナニーだったこと。
一段上の高みをいく課長の性癖に、俺は嫌悪を感じるどころか不覚にも全く目を逸らすことが出来ず、最後の最後まで見入ってしまった。
そしてマヌケにも、あまりにも真剣に見ていたせいですっかり身を隠すのを忘れてしまい、ついには課長に見つかってしまったのだ。
そんな状況でありながら、慌てたり気まずい思いをしたのは俺だけで、課長は顔色ひとつ変えずに衣服を整えると、気まずさから俯き加減で立ち尽くす俺のすぐ前にやって来た。
『気持ちよくイッた後だと頭が冴えてやる気が出るんだ。それにこういうイキ方だと臭いがしないだろ?』
あっけらかんと言い放つ課長に、俺はただ一言そうですか……。としか言えなかった。
そしてまだよく状況を理解出来ていなかった俺に一言。
『お前、これを他人に喋ったらどうなるかわかってんだろうなぁ?』
『え?』
『プロジェクトのメンバー。全て俺に決定権があるんだ』
これが噂のパワハラか……。
なんて頭の片隅で考えながら、俺はただ『わかってます』としか答えられなかった。
そんな風に脅し文句ともとれる台詞を投げ掛けられて以来、自慰行為を見られるのがやみつきになったという課長の要望で、俺は毎回律儀に課長の自慰行為を観賞している。
よく考えてみると、会社であんなことしている人のほうが断然マズいのだが、会社にとって重要な人材である椿原課長を失うきっかけを自分が作ってしまうのはあまりにも申し訳ない気がして、俺はただ黙ってこの状況を受け入れることにしたのだ。
出世コースといわれているプロジェクトのメンバーに抜擢されたはいいが、急に環境が変わったことと、どこかのんびりとした雰囲気の地方支社とは違い、まるで一秒を惜しむように仕事をこなさないと周りについていけないような状況の本社勤務に俺はすっかり疲れ果てていた。
その日はたまたま外回りが早めに終わったのをいいことに、プロジェクトミーティングが始まるまで空き部屋で少しボンヤリしようと思っただけだったのだが。
俺がいる部屋に突如現れた椿原課長。
サボっていたことを知られたくなくて咄嗟に棚の影に隠れた俺。
その軽率な行動が原因で、俺はこの課長についてのとんでもない秘密を知ってしまうことになったのだ。
課長は俺の存在に気付くことなく、いつもかっちりと着こなしているスーツの上着を脱いでぞんざいな仕草で中央に置かれているテーブルの上に投げると、そのままズボンを下着ごと落とし、テーブルに浅く腰掛けた。
そして片足をテーブルの上に乗せると、まるで誰かに見せつけるように大きく脚を拡げて、隠された場所に指を這わせ始めたのだ。
マジか……。
この時の俺の心境はその一言に尽きる。
男なら生えてる筈の恥毛がキレイに処理されていることにも驚いたが、それよりもっと驚いたのは課長がしていることがオナニーじゃなくてアナニーだったこと。
一段上の高みをいく課長の性癖に、俺は嫌悪を感じるどころか不覚にも全く目を逸らすことが出来ず、最後の最後まで見入ってしまった。
そしてマヌケにも、あまりにも真剣に見ていたせいですっかり身を隠すのを忘れてしまい、ついには課長に見つかってしまったのだ。
そんな状況でありながら、慌てたり気まずい思いをしたのは俺だけで、課長は顔色ひとつ変えずに衣服を整えると、気まずさから俯き加減で立ち尽くす俺のすぐ前にやって来た。
『気持ちよくイッた後だと頭が冴えてやる気が出るんだ。それにこういうイキ方だと臭いがしないだろ?』
あっけらかんと言い放つ課長に、俺はただ一言そうですか……。としか言えなかった。
そしてまだよく状況を理解出来ていなかった俺に一言。
『お前、これを他人に喋ったらどうなるかわかってんだろうなぁ?』
『え?』
『プロジェクトのメンバー。全て俺に決定権があるんだ』
これが噂のパワハラか……。
なんて頭の片隅で考えながら、俺はただ『わかってます』としか答えられなかった。
そんな風に脅し文句ともとれる台詞を投げ掛けられて以来、自慰行為を見られるのがやみつきになったという課長の要望で、俺は毎回律儀に課長の自慰行為を観賞している。
よく考えてみると、会社であんなことしている人のほうが断然マズいのだが、会社にとって重要な人材である椿原課長を失うきっかけを自分が作ってしまうのはあまりにも申し訳ない気がして、俺はただ黙ってこの状況を受け入れることにしたのだ。
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