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第1話 『書けない日の、静かな証明』
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書きたい。
そう、確かに私は今、「書きたい」と思っている。
頭の中では人物が動いている。街ができて、会話が響いている。
でも、不思議なことに――手だけが、止まっている。
カタカタと鳴っていたはずのキーボードが、沈黙する。
ペンを握った指先から、インクの流れが断たれる。
私の中に「物語」があるはずなのに、それが外へと出てこようとしない。
思えば、スランプというのは「何も浮かばない状態」ではない。
むしろ、「浮かんでいるのに、繋げられない」このもどかしさのことだ。
頭の中には霧のようなシーンがいくつもある。
走る足音、泣きじゃくる少女、凍てついた戦場。
でも、それらはただ浮かんでいるだけで、物語として「組み上がって」こない。
まるで夢の断片を掴もうとして、指の隙間からすり抜けていくように。
書くとは、感情と思考を秩序に変換する行為だ。
だが、心の中が嵐のように荒れていたら、どんな秩序も成り立たない。
もしかすると、スランプとは「書くことを諦めきれない者」だけに与えられた、一種の誠実さなのかもしれない。
本当にどうでもよければ、そもそも悩んだりしない。
「書きたいのに書けない」と思える時点で、私はまだ、書く人間でありたいのだ。
今日の私は、ひとつの展開も浮かばなかった。
ただ、それを認めることができた。
それだけで、ほんの少しだけ進んだ気がしている。
明日はきっと、ひとつの言葉が繋がるだろう。
スランプは、進まないことじゃない。
立ち止まってもなお、書こうとするその気持ちが、私の中にまだ灯っているという証明だ。
こんな事は、書けるのになぁなんて思いながら進んでいく時にうんざりしてる自分を俯瞰してみる日々が続いていく。
そう、確かに私は今、「書きたい」と思っている。
頭の中では人物が動いている。街ができて、会話が響いている。
でも、不思議なことに――手だけが、止まっている。
カタカタと鳴っていたはずのキーボードが、沈黙する。
ペンを握った指先から、インクの流れが断たれる。
私の中に「物語」があるはずなのに、それが外へと出てこようとしない。
思えば、スランプというのは「何も浮かばない状態」ではない。
むしろ、「浮かんでいるのに、繋げられない」このもどかしさのことだ。
頭の中には霧のようなシーンがいくつもある。
走る足音、泣きじゃくる少女、凍てついた戦場。
でも、それらはただ浮かんでいるだけで、物語として「組み上がって」こない。
まるで夢の断片を掴もうとして、指の隙間からすり抜けていくように。
書くとは、感情と思考を秩序に変換する行為だ。
だが、心の中が嵐のように荒れていたら、どんな秩序も成り立たない。
もしかすると、スランプとは「書くことを諦めきれない者」だけに与えられた、一種の誠実さなのかもしれない。
本当にどうでもよければ、そもそも悩んだりしない。
「書きたいのに書けない」と思える時点で、私はまだ、書く人間でありたいのだ。
今日の私は、ひとつの展開も浮かばなかった。
ただ、それを認めることができた。
それだけで、ほんの少しだけ進んだ気がしている。
明日はきっと、ひとつの言葉が繋がるだろう。
スランプは、進まないことじゃない。
立ち止まってもなお、書こうとするその気持ちが、私の中にまだ灯っているという証明だ。
こんな事は、書けるのになぁなんて思いながら進んでいく時にうんざりしてる自分を俯瞰してみる日々が続いていく。
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