夜に煌めく炉は蒼銀で

夜櫻 雅織

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第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は

第30話 死の淵から目覚めて

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【前回】深い深層心理で声を聴いた
第30話 死の淵から目覚めて

――死にきれなくて。

❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖


「てぃ、あ……? ティア、ティア! み、皆、ティアが、ティアが起きた!」
「ティア!」
「じぃ、ら……? ほわ……いず……?」
「へ、陛下、陛下呼んでこなきゃ……!」
「ぼ、僕も!」

 ……いや、片方残ってくれても良いだろ。

 そう訴えた所でこの部屋にはもう誰も居ない。
 何ともまぁ焦ると周りが見えない奴らではあるのだが、薄らと意識の端で彼らが必死に俺の名前を呼んでいたであろう事。恐らくではあるが、俺が変に体調を崩さないように。崩した時に直ぐ報告出来るようにと控えてくれていたのは紛れもない事実だろう。
 今はただ、大人しく彼らの帰りを待つとしよう。
 とはいえ、このままじっとしているのも性に合わない。
 もしかすると体を動かすだけで怒られてしまうかもしれないのでベッドに横たわったまま、視線だけで辺りを見る限り現在地は俺の部屋で間違いなさそうだ。
 相も変わらず殺風景で、生活感の欠片もない、非常に面白くない見慣れた光景が広がっているだけだ。

【ばぁ!】
【起きたか?】
「……そう、か。……夢じゃなかったのか。」
【うん、夢じゃないよ。君はちゃんと帰ってきたんだ、死の淵からね。】
【落ち着いているように見えて体に少しばかり負荷が掛かっている、今しばらくはそのまま身を横たえているんだ。……良いな?】
「……あぁ、分かった。それで……色々聞かせてくれ。俺は……お前達と契約した、と言う事で良いのか?」
【あぁ、その認識で間違いない。】
【僕はアルシュ。そっちの紅い子がリュートだよ。】
【これから宜しく頼む、ご主人様。】
【いつでも気軽に呼んでね、ご主人様。】
「……アルシュ。リュート。……あぁ、覚えた。此方こそ、これから宜しく頼む。」

 こんこんこんっ。

「……はい。」
「ティア……!」
「あぁ良かった、本当に、本当に目が覚めたのか……!」
「もう、もう起きないかと……!」
「馬鹿馬鹿、先に栄養が先だ。ジーラ、俺が支えるからお前が飯食わせてやってくれ。」
「うん、分かった。」
「そ、それくらい自分で」
「世話ぐらいさせてくれ、今だけで良いから。」
「……分かった。」


❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖

――次回「第31話 人と燐獣の相の子」

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