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第一章:一年生第一学期 魔法の深淵と神髄に触れる資格は
第69話 全く堪え性のない奴め
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【前回】抑止力らしく筆記試験の監督を務める事になった
第69話 全く堪え性のない奴め
――懐かしい顔はここにも。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
「試験終了。生徒諸君、筆記用具から手を離しなさい。……従わぬ場合は平常点の減点も考える。この程度で留年は嫌だろう?」
こういう時は歯車の方が良いかもな。
シャルに言われた通り、答案用紙を受け取る為に席を回っていれば以外にも自分達の方から差し出してくれる子達も多い。此方としては怯えられていたり、恐れられていたりしてそういう協力的な態度を期待するのはお門違いかと思っていたが、そうでもないらしい。
まぁだからと言って調子に乗る気も。これまでと態度を変えるつもりも、その必要もないとは思っているが。
まぁでも、それでもあんな阿呆と一緒にされては色々と大変だろうと同情はするがな。
全てを回収し終えたら確か、それが本当に全員分あるかの確認をしなければならないとシャルに聞いた。……面倒だがやらなければならないと言うのであれば、それに従うべきだろう。
少なくとも、今俺のやるべき事は自分で考える事でも、何かを掴む事でもない。こいつらのように社会の歯車を模して
「あ、あのっ!」
「……何か。生憎、今は答案用紙の枚数と氏名、学籍番号の確認中なのであまり難しい話はご遠慮願いたい。」
「る、ルーベル先生に相談があって。」
「相談……? 俺に」
「たのもー!!」
「ちょ、でぃ、ディレラ……! 突然そんな事やったら失礼だってば!」
「あ、グレイブ先生! も~来るなら私達の教室に来てくださいよ!」
「ディレラってば……!」
……はぁ。
「……元気そうで何よりだが、順番と規則は守れ。俺はまだ入退室許可を出しても居ないし、元々ここへ来る予定があった訳じゃない。急に決まった上、俺の意思でここへ来た訳ではない。」
「え、そうなの?」
「す、すみません、ぐ……。る、ルーベル先生! 私達、ろ、廊下で待ってます!」
「ちょ、リアナ……!」
「あぁそうしてくれ、そのまま俺が許可するまで廊下で止めておいてくれ。」
「は、はい!」
勝手に扉を突き破って顔を出した、随分と懐かしい顔達。以前に比べれば年齢的にも身体的にも成長したようだが、まぁそれも人間と言う寿命の短い生き物なりに、早く大人になる事で他の生き物に狩られる生存競争を生き延びているんだろう。
まぁあいつらは後で相手してやるか。
「悪い、邪魔が入ったな。それで……相談と言うのは?」
「ルーベル先生は魔法学のシャルロット先生をご存知ですか?」
「あぁ、よく世話になってる。」
「その、シャルロット先生の授業で少し分からない所があって……。でも、シャルロット先生は校長補佐もされてますのであまりお声掛け出来なくて……。」
あいつ、生徒よりも学校の事を優先してるのか。
「そうか。なら俺の方からシャルに……。シャルロット先生に言っておこう。それでもまだ解決が叶わなかった場合、その時は俺が補講授業の準備をしよう。それで構わんか?」
「は、はい! ありがとうございます!」
「別に。……丁度確認も終わった所だ、各自自由にして構わん。」
……さて。
がらり、と扉を開ければ案の定。つい先程教室に無許可で乱入してきた馬鹿が意外にもその場で大人しくしているらしい。
俺の記憶が正しければ、つい先程扉を無断で開けて乱入してきた方の女子生徒は四大大公家が1つ、ヘメレ家ご令嬢のヘメレ・ベーラヤノーチ=ディレラ。ヘメレ家特有の、陽だまりのような柔らかい橙色の髪に、光を思わせるような明度の高い金色の瞳と言うこれまた珍しい容姿で。
そんなじゃじゃ馬娘を何とか廊下に引き摺った、眼鏡に顔を包むような髪。額を全て覆い隠す、長い前髪のこっちは同じく四大大公家が1つ、ウィータ家ご令嬢のウィータ・プシュケー=リアナ。此方もウィータ家特有の、優しいヘーゼル色の髪に黄緑色の明るい瞳が俺を見つけては明るく輝いているのが見える。
月日が経っても中身はあの時のままだな。
「あ、グレイブ先生……! もう良いのっ? 私と遊んでくれるっ?」
「その前に反省しろ、お前は。」
「あたっ! ちょっと、殴る事ないでしょ!?」
「チョップはパンチや平手よりも痛くないと聞いた。」
「痛みの深さの問題じゃないの! もぅ、相変わらずなんだから……。」
「お前もなかなかだと思うがな。」
「あ、改めまして、ルーベル先生。……ううん、親愛なる帝国の守り人にご挨拶申し上げます。全ては敬愛なる女王陛下のご慈悲とご慧眼に心からの感謝を以て。」
「あ、し、親愛なる帝国の守り人にご挨拶申し上げます。全ては敬愛なる女王陛下のご慈悲とご慧眼に心からの感謝を以て。」
少しは成長してる……か。
「……親愛なる帝国の血柱にご挨拶申し上げます。全ては敬愛なる女王陛下のご慈悲とご慧眼に心からの感謝を以て。それで、何の用だ?」
「あの時みたいに、私達も先生の授業が受けたくって! ……駄目、ですか?」
「ちゃ、ちゃんとお父様とお母様の許可もいただいています。…………先生の事だから、言わなくたって性別とか、年齢とかで飴と鞭の使い方とか、そのバランスを崩したりしないって分かってます。でも、でもお願いします、先生。……もう一度、先生の授業を受けたいんです。」
「そうですよ、お父様が家庭教師だったり、新しい剣術の先生を用意してくれてもやっぱりグレイブ先生には敵いませんから! また、また師匠って呼ばれてくれませんか?」
……。
「……覚悟は。」
「師匠と同じように、この国家の礎に。この帝国に相応しい人柱となる為に。」
「この帝国の為、正しく全てを全う出来るように力が欲しいんです。」
……はぁ。
「……あぁ、分かった。ではこの試験終了後、2学期からの授業参加を許可する。お前達も分かっているだろうが、既に3人男子生徒が居る。彼らとも仲良くするように。」
「……! はい、はいっ!」
「うっし、絶対勝ってやりますからね、師匠!」
「ちなみにだが、時々ジーラ達も顔出すからな。」
「え、ルールゥ師匠も来てくださるんですかっ!?」
「じゃ、じゃあまた知恵比べしないと!」
あぁやっぱり、これぐらい明るい物なのかもな。……子供って言うのは。
❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖❖
――次回「第70話 分かり合える人も、ちゃんと居る」
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シャルに言われた通り、答案用紙を受け取る為に席を回っていれば以外にも自分達の方から差し出してくれる子達も多い。此方としては怯えられていたり、恐れられていたりしてそういう協力的な態度を期待するのはお門違いかと思っていたが、そうでもないらしい。
まぁだからと言って調子に乗る気も。これまでと態度を変えるつもりも、その必要もないとは思っているが。
まぁでも、それでもあんな阿呆と一緒にされては色々と大変だろうと同情はするがな。
全てを回収し終えたら確か、それが本当に全員分あるかの確認をしなければならないとシャルに聞いた。……面倒だがやらなければならないと言うのであれば、それに従うべきだろう。
少なくとも、今俺のやるべき事は自分で考える事でも、何かを掴む事でもない。こいつらのように社会の歯車を模して
「あ、あのっ!」
「……何か。生憎、今は答案用紙の枚数と氏名、学籍番号の確認中なのであまり難しい話はご遠慮願いたい。」
「る、ルーベル先生に相談があって。」
「相談……? 俺に」
「たのもー!!」
「ちょ、でぃ、ディレラ……! 突然そんな事やったら失礼だってば!」
「あ、グレイブ先生! も~来るなら私達の教室に来てくださいよ!」
「ディレラってば……!」
……はぁ。
「……元気そうで何よりだが、順番と規則は守れ。俺はまだ入退室許可を出しても居ないし、元々ここへ来る予定があった訳じゃない。急に決まった上、俺の意思でここへ来た訳ではない。」
「え、そうなの?」
「す、すみません、ぐ……。る、ルーベル先生! 私達、ろ、廊下で待ってます!」
「ちょ、リアナ……!」
「あぁそうしてくれ、そのまま俺が許可するまで廊下で止めておいてくれ。」
「は、はい!」
勝手に扉を突き破って顔を出した、随分と懐かしい顔達。以前に比べれば年齢的にも身体的にも成長したようだが、まぁそれも人間と言う寿命の短い生き物なりに、早く大人になる事で他の生き物に狩られる生存競争を生き延びているんだろう。
まぁあいつらは後で相手してやるか。
「悪い、邪魔が入ったな。それで……相談と言うのは?」
「ルーベル先生は魔法学のシャルロット先生をご存知ですか?」
「あぁ、よく世話になってる。」
「その、シャルロット先生の授業で少し分からない所があって……。でも、シャルロット先生は校長補佐もされてますのであまりお声掛け出来なくて……。」
あいつ、生徒よりも学校の事を優先してるのか。
「そうか。なら俺の方からシャルに……。シャルロット先生に言っておこう。それでもまだ解決が叶わなかった場合、その時は俺が補講授業の準備をしよう。それで構わんか?」
「は、はい! ありがとうございます!」
「別に。……丁度確認も終わった所だ、各自自由にして構わん。」
……さて。
がらり、と扉を開ければ案の定。つい先程教室に無許可で乱入してきた馬鹿が意外にもその場で大人しくしているらしい。
俺の記憶が正しければ、つい先程扉を無断で開けて乱入してきた方の女子生徒は四大大公家が1つ、ヘメレ家ご令嬢のヘメレ・ベーラヤノーチ=ディレラ。ヘメレ家特有の、陽だまりのような柔らかい橙色の髪に、光を思わせるような明度の高い金色の瞳と言うこれまた珍しい容姿で。
そんなじゃじゃ馬娘を何とか廊下に引き摺った、眼鏡に顔を包むような髪。額を全て覆い隠す、長い前髪のこっちは同じく四大大公家が1つ、ウィータ家ご令嬢のウィータ・プシュケー=リアナ。此方もウィータ家特有の、優しいヘーゼル色の髪に黄緑色の明るい瞳が俺を見つけては明るく輝いているのが見える。
月日が経っても中身はあの時のままだな。
「あ、グレイブ先生……! もう良いのっ? 私と遊んでくれるっ?」
「その前に反省しろ、お前は。」
「あたっ! ちょっと、殴る事ないでしょ!?」
「チョップはパンチや平手よりも痛くないと聞いた。」
「痛みの深さの問題じゃないの! もぅ、相変わらずなんだから……。」
「お前もなかなかだと思うがな。」
「あ、改めまして、ルーベル先生。……ううん、親愛なる帝国の守り人にご挨拶申し上げます。全ては敬愛なる女王陛下のご慈悲とご慧眼に心からの感謝を以て。」
「あ、し、親愛なる帝国の守り人にご挨拶申し上げます。全ては敬愛なる女王陛下のご慈悲とご慧眼に心からの感謝を以て。」
少しは成長してる……か。
「……親愛なる帝国の血柱にご挨拶申し上げます。全ては敬愛なる女王陛下のご慈悲とご慧眼に心からの感謝を以て。それで、何の用だ?」
「あの時みたいに、私達も先生の授業が受けたくって! ……駄目、ですか?」
「ちゃ、ちゃんとお父様とお母様の許可もいただいています。…………先生の事だから、言わなくたって性別とか、年齢とかで飴と鞭の使い方とか、そのバランスを崩したりしないって分かってます。でも、でもお願いします、先生。……もう一度、先生の授業を受けたいんです。」
「そうですよ、お父様が家庭教師だったり、新しい剣術の先生を用意してくれてもやっぱりグレイブ先生には敵いませんから! また、また師匠って呼ばれてくれませんか?」
……。
「……覚悟は。」
「師匠と同じように、この国家の礎に。この帝国に相応しい人柱となる為に。」
「この帝国の為、正しく全てを全う出来るように力が欲しいんです。」
……はぁ。
「……あぁ、分かった。ではこの試験終了後、2学期からの授業参加を許可する。お前達も分かっているだろうが、既に3人男子生徒が居る。彼らとも仲良くするように。」
「……! はい、はいっ!」
「うっし、絶対勝ってやりますからね、師匠!」
「ちなみにだが、時々ジーラ達も顔出すからな。」
「え、ルールゥ師匠も来てくださるんですかっ!?」
「じゃ、じゃあまた知恵比べしないと!」
あぁやっぱり、これぐらい明るい物なのかもな。……子供って言うのは。
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