異世界召喚されましたが私…勇者ではありませんが？

1.

あーやっと今日のノルマ終わったー！  

帰るぞーーー！！

『う"ーーーーんっ！』

と背筋を伸ばし帰り支度をする

私こと羽田 彩葉(はだ いろは)21歳 OL
 

小さい頃は肌色肌色と名前をバカにされた為、

名前にコンプレックスを感じていたが

社会人になってからはバカにされることも無く、

逆に『彩葉』って可愛い名前だね！

なんて言われた日には

自分の名前を好きになった単純野郎とはまさに私の事だ。



そんな私の大好きな事は

料理を作って美味しい物を食べる事！！


一日の締めは夜ご飯よね～

今日の晩御飯は何にしよっかな～


なんてのんきに考えながら

この日も自宅近くのスーパーに
買い物に行って食材を物色していた。

この日のスーパーは特売日で


野菜全品                          80円！！
肉類表示価格より          20%引き


この文字にワクワクして買いだめをしてしまうのは

きっと私だけじゃないはず。


そんなこんなで買い物を終えて
大きめのビニール袋2つを両手に帰宅。


服を着替えて手を洗い
エプロン装置！！


おかずは昨日の残りがあるから

今日は具沢山な『豚汁』作るぞぉーー！！

なんて1人気合いを入れて
作り始めたのは20分前の話

さーて！味噌溶かして完成ー！！のはずが


今現在私はおたま片手に見知らぬ場所にいる。

『は？？？』


今まで自宅で豚汁作ってたよな…

夢か？なんて思って頬っぺたをつねってみたが

痛い…


そんな私に見知らぬ人達が騒ぎだした。


『おーーーー！！！勇者様！！よくぞ参られました！！』

『やったぞー！！！成功だー！！！』

『早く王に成功を知らせるのじゃ！！』

『変な形の武器を持ってるぞー』



皆がいっぺんに喋りすぎているせいで
半分以上なにを言っているかわからない。

そして泣いて喜んでる人も居て

ドン引きしている私。


ちなみに変な形の武器じゃなくて

これ、調理器具！

その名もおたまです！！

なんてツッコミを入れつつ


とりあえず状況を確認してみようと
1番近くに居た人に話しかけてみた。


｢あの、すみません。ここどこですか？
私さっきまで豚汁作ってたと思うのですが。｣


｢さぁさぁ！勇者様こちらへ！
王が待っております！武器はこちらに｣


話を聞け！！！！！

後これ武器じゃなくて調理器具！！
汁物を掬ったりするやつだから！！！


と思っている間に武器をお預かりします。

とおたまを取り上げられ

あれよあれよという間に
煌びやかな場所に連れて行かれた


気分は最悪。

まさに今の心境ドナドナの子牛。


そんな中

『王様のおなーり！！！』

大きな声と同時に

ゴテゴテした服装の人物が中央にあるいかにも
超一流の高級品です！と言わんばかりの椅子に腰を掛けた。


もう訳がわからない。
なんなのこの状況