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『そなたが召喚された勇者殿で間違いないか? 』


『いえ、違います。人違いです。
なので家に帰してください。』


この時もまだ帰れると思ってた私は

私の豚汁ちゃんが待ってるんだから
一刻も早く家に帰してくれ!と切実に思っていた。



『まぁ良い。神の代行人あれを持ってこい』

『承知致しました。』


と相変わらずの私の話をスルーされ

神の代行人という人が私の前に水晶を持ってきた。



『さぁさぁ、勇者様こちらの水晶に手を置いて下さい』


え?嫌ですけど? 

なんて言える空気でもなく仕方なしに

手を置いてみると

身体から何かを引っ張られる感覚があり


うげぇ~と思ってる間に


青い光と共に半透明の映像が映し出された。


なになに…

名前  羽田 彩葉      
年齢   21歳
種族        人間

LV               1
HP              500
MP             20000

スキル 
【収納】【ネット通販】【料理人】【おたま】

備考欄
【異世界から召喚されし一般人】


うん。

全然分からないや!!
考えるのを止めよう!

そもそもスキルもだけど【おたま】ってなんだよ!!


とりあえず備考欄に一般人って書いてあるし

元の場所に帰して貰おう!

な~んて思って周りを見れば

皆【ぽか~ん】とした顔をしている。


あ、これ皆にも見えてるの?と思っていると


王様がボソリと


『勇者じゃない…しかも聞いたことのないスキルにゴミスキルだと…』

と言ったのを聞き逃す訳にはいかない!


『だーかーらー!!

勇者じゃないと言ったじゃないですか!

早く家に帰して下さい!後おたま返して!』


まったくもう!嫌になっちゃうわ!
そしてMYおたま大事!

と思ってたら


私を召喚した人達がぷるぷる震えてる


チラッと王様を見ると
顔を真っ赤にした般若がいた。


え、なに怖いんですけど。。。


『おい。どうなっておる。
勇者殿ではないじゃないか!!!
今すぐこの一般人をつまみ出せ!!!』


『ですが、聞いた事がないスキルを持ち合わせておりますし、何かの役に立つかもしれないので様子を見てはいかがでしょうか?』
 

『うるさーい!一般人と書いてあるだろう!
一般人なんかに用は無い!
何をしておる!早う追い出せ!!』


召喚士が何を言っても聞く気がない王様


ってえーーーーーーーーっ!!
なんでそうなるのー!!!!
家に帰してって言ってんじゃん!

人の話を聞かなすぎだよーーー!!


なのでもう一度出来るだけ丁寧にそして笑顔でお願いしてみた。


『あの~すみません。追い出すではなく
元いた家に帰してもらえませんか?』


『ふんっ!!何を言っておる!
召喚は出来ても帰すことなどできる訳がないわ!』


ドヤっ

その時の王様の顔は忘れない

勝手に召喚だかなんだかで連れて来たくせに

帰れないなら召喚なんかするんじゃねー!!

人を小馬鹿にした顔でドヤっじゃねーよ!
 

なんて悪態ついてる間に
 

私は兵士に両脇を掴まれ 
城からつまみ出された

『ほらよ!』と

召喚された時に持っていたおたまと共に…



もうこれはあの台詞を言うしかない!





なんて日だ!!!!!





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