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38.会議
しおりを挟む「冬斗、盗聴防止の魔法かけた??」
「かけたぞ。よし、蒼葉も寝たしお茶も入れたしはじめるか」
手紙を見つけた夜、いつものようにゆったりと今日の出来事を話す。これは俺と蒼葉が別行動した日には必ず行っていることだ。保育園の連絡帳みたいなものだな。
「今日どうだった?何か見つかった?」
「うん。やっと帰る方法が見つかった!」
「えっ!?ほんとに!?」
「あぁ。この手紙に全部かいてある。」
驚いているフィオに手紙を渡す。
読み終わると今俺が考えていることと同じことを思っているのだろう。精霊2人に目線をやった。
「この手紙にかいてある、双子の精霊はカメリアとスリジエのことだよな?」
「そうです。私達です。もう見つけてしまわれたんですね…」
「どうして始めから教えてくれなかったんだ?」
「教えてはダメだと言われていたからです。ほんとにごめんなさい」
スリジエが今にも泣きそうな雰囲気で謝ってくる。普通に考えたらそうだよな。この2人はそこまでいじわるじゃないし、何も言われてなかったらすぐに教えてくれていたはずだ。
「ごめん。問い詰めるような聞き方になった。少し考えれば分かるのにな。手紙には力を借りてと書いてあるが、2人は協力してくれるか?」
「「もちろんよ(です)!」」
「魔道士5人はどうする?僕が集めようか?」
「いや、たぶん普通に声を掛けても協力は望めない。いい案があるから俺に任せて欲しい。」
それからいつ帰るのかなど細かい話を詰めてそろそろお開きにしようとなった時、フィオから少し話をしようと声を掛けられた。
◇ ◇ ◇
「ねぇ冬斗、あのさ…」
「なんだよ」
フィオが俺の名前を呼んだ回数はこれで何回目だろうか。冬斗あのさをいい始めてもう10分くらい経つ。
庭の四阿で2人並んで座っているのだが、俺が逃げると思っているのかがっちりと手を握られている。
普通に痛いのだが、その手が少し震えているからか離せとも言いづらい。
「…冬斗はほんとに帰ってしまうのかい?」
「帰るって言ったらどうするんだよ」
「そ、そうだよね。もちっろん、協力する…」
「は!?おい泣くなよ!?」
やっと話し始めたかと思えば、泣き出してしまった。なんで泣いてるのかは想像つくけどな…俺は自分がどう行動すべきか悩んでいると、フィオがまた話し始めた。
「僕、冬斗に何もしてあげられてないのに、冬斗を待っている人がいる事も分かっているのに、帰って欲しくないって思ってしまっている。
…冬斗のこと愛してるんだ。だからどうか、帰らないで…。」
そう言ってきつく抱き締められる。
いつ惚れたとかと聞かれると、一目惚れだったのようにも思う。
自覚したのは蒼葉のことがあったからだがな。それから特別な何かがあった訳でもない。ただ穏やかな日常を一緒に過ごせば、気持ちは積もっていくもので。
何もしてあげられてない。と言うけど、王妃などの敵から穏やか日々を守ってくれていると知っている。
そんな優しい人に、熱烈な告白を受け、涙を流し懇願されて断れる人がいるのだろうか。
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