ホーリー・ドラゴン

airi

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序章

いつも通りの日常…が割りとストーリー性で溢れていました

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いきなりだが、
世界の中心と言えば何を思い浮かべるだろうか?
そんなこと証明する術がないのだからわからないだろう、と答えた人は哲学者の素質があるかもしれない。
自分だと答えた人はナルシストである。

なにが言いたいのかと言われたら、(大分脱線したが)あらゆる面からみて世界の中心と言っても過言ではないある国について説明したいのである。
その国は世界5大大陸の1つ、ユーレイシァ大陸のほぼ中央に位置する。
名を~ドラグニル王国~
世界中の研究施設や技術が集結する場所であり、同時にホーリードラゴンの本部のある場所だ


ユーレイシァ大陸、ドラグニル王国
【王都・ドラグニル】
都の中心部にそびえたつのは、最早町のシンボルとも言える黒い塔だ。
その頂上は雲に隠れてみることはできず、その周囲は1日かかっても歩ききれないほど巨大である。
塔の前にどっしりかまえているのは鈍色の重厚な門だ。
これが、関係者以外立ち入り禁止などという下手な張り紙より効果があることは歴然だろう。
(実際は、押せば簡単に開く門なのだが)
そして現在その門の前には気難しい顔で立ち尽くす少女と、少女の回りを囲うようにたっている4人の女性達がいた。
そして、彼女達はその服装のせいか…めちゃめちゃ目立っていた。

黒・赤・白色のみで構成された服に身を包み、その胸に輝くのは2頭の竜の紋章。
最近のトレンドがメタリックカラー全身タイツなこのご時世にはかなり不釣り合いである。
そして、そのなかでもとりわけ目立っているのは中心の少女だ。 
彼女が目立つのは、服装のせいだけではなく生まれながらの特異点のせいであろうか?
彼女の青みがかった銀髪、はまだ良い。
問題は、その両目だ。
右目はゴールド、左目はブラックバイオレット。
14歳がうらやむオッドアイなのだ
その瞳は何を考えているのか…
『…どらやき食べたい』
否、なにも考えてはいなかった。
『あの和菓子屋まで戻ってどらやき買ってこようかな?いや、でも食堂でルーさんにつくってもらった方が「…おーいアスカ?」へ?』
回りにいた女性に呼び掛けられ、ようやく少女が我に帰る。
「ったく…アスは食べ物のことになるといつもこうなるんだもんなぁ」
『はは…すいませんつい』
「隊長そんなことより、早く帰りましょうよ」
『そうですね、お腹もすきましたし』
「おまえ、本当そればっかりだな」
少女達は笑い合いながら塔のなかに消えていった。

ー彼女達はホーリードラゴン、2番隊
 隊長はわずか九歳の少女


【本部最上階・軍長室】
広い部屋のなかには、天井近くまで積み上げられた書類のやまとデスクセット、ソファが一つずつ。
そして、そのソファには銀髪の少女が座っている。
少女ーーアスカは現在この部屋の主を待っているのだ。
この部屋の主は、仕事はできるがサボり癖がある。
やるときはやるが、一度めんどくさくなるとそれから数時間は机に向かわなくなり…挙げ句のはてに仕事から逃げようとよく脱走する(大体はどこかで飲んだくれているが)。
『うーん、やっぱり探しにいきましょうかね…泥酔してたらたまったもんじゃないですし』
そう呟きアスカが扉に手をかけようとしたた瞬間、ふいに扉が空いた

部屋の内側に向けて…
ドガッ!
『ぴゃっ!?』
アスカの顔面にドアがクリーンヒットし、鼻を押さえて床に倒れこむ。
「……ん?ドアの前になんか置いてあったかな?」
『うぐぁぁはなが…鼻がぁぁ』
「おアスカか…って、こんなとこで寝ると汚れるぞ?」
『いや、寝てる訳じゃなくてですねドアが…いや、なんかもういいです』
「そうか?」
『…』
たった今強烈な登場をしたのが、この部屋の主でありホーリードラゴン軍長、アナスタシア・F・リルテット。
多少天然だが、(多分)頼れる肝っ玉母さんである。
「あー…で、なんのようだったっけか?」
『あぁ、今回の仕事の報告書です』
そう言って、アスカは分厚い紙の束を差し出す。
「…ほぅ、5人で異形129体か」
『はい、やはり森林地帯の発生率が多いようですね』
「そうか、ご苦労だった。今回もお前ら2番隊が一番の高成績だな」
『私の仲間は強いですからね、頼もしい限りです』
「お前もな」
『いえ、私は仲間がいないとなにもできませんからね』
「…まったく、お前は変わらんなぁ」
アナスタシアが大きなため息をついた
「まあいい、しっかり休めよ」
『はい、あなたもちゃんと仕事してくださいね?それでは、失礼しました』
「あぁ」
あきらかに仕事をやる気のない、気だるげな返事を聞きながらアスカは部屋を出ていった。


『はぁ…今回も疲れたな、早く寝よ』
欠伸をしながら薄暗い廊下を進み、エレベーターの扉にたどり着く。
丁度最上階に停まっているようだ。
急いでボタンを押し、開いた扉に乗り込むと、向こうから見覚えのある二人が走ってくるのが見えた。
「そのエレベーターちょっと待つじゃん!俺たちも乗せるじゃん!」
本当はすぐにでも扉を閉めて部屋に戻りたいところなのだが…
『(あの二人なら早く帰りたいからドアこじ開けてでも乗ってきそうですね。これは開けておいた方が良さそうです)』
そんなことを考えているうちに、二人が飛び込んできた。
「アスカ、サンキューじゃん!」
「ありがとうアスカ」
『いえいえ、おきになさらず~』
しばらくして、エレベーターが動き始めた。
「そういや、アスカん所の2番隊また一番だったんじゃん?」
『そうらしいですね』
「なんでそんな他人事みたいなんですか、もう少し喜んでもいい事なんですよ?」
「違うじゃんリン、アスカのこれは王者の余裕じゃん!以外と腹黒いんじゃん」
『違います』
「なにいってるんですかレオ、僕の可愛い妹が腹黒いわけないじゃないですか?」
「リンのシスコン!うっとうしい男は嫌われるじゃん」
「シスコ…いや、そう言うレオこそうっとうしいんですよ」
『あの~』
「俺はリンよりは鬱陶しくないじゃん!」
『お~い』
「レオはバカですからね、気づいてないんでしょ」
「んだと!?」
『二人とも~…あ』
「「何d…うわぁぁ!?」」
『…だからそっちの扉空きますって言おうとしたのに』
エレベーターが居住フロアに到着時、扉に寄りかかっていた二人は頭から落下した。
「いってぇじゃん!なんで床が石でできてるんじゃん?」
「頭が…」
『医務室ならあっちですよ、それでは失礼しますね』
「アスカ塩対応は止めてほしいじゃん!」
レオの声は、聞こえないふりをした。

最上階とはちがい、眩しいほどの明かりがついた廊下を歩いていく。
同じつくりのドアを何個か通りすぎ、自分の部屋にたどり着いた。
ドアを開けると真っ直ぐベッドに向かい、背中からダイブする。
足元のほうでドアの鍵が閉まる音がした
やはりオートロックは便利だ、うん。
そんなことを思いながら白い天井をながめる。
『(やっぱ、どうでもいいことで体力使っちゃつたよな…もう待つのやめよ)…でも、』
ーこんな他愛もないことが
『幸せなんだろうな』

…アスカの一日が終わる
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