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銀の2人
出会ってしまいました
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ハストゥーシャで異形と戦ってから早数日。
あれから、街に霧が出ることも盗賊が人を襲うこともなくなった。
えぐれた地面や禿げた芝、巨大植物の残骸はアスカ達が元通りにした。
『…そろそろここを発ちますか』
「そうなのだ~暇なのだ~」
『この近くって確か長距離バスが走ってましたよね』
「じゃあ乗っていこ、遠いし」
というわけで、アスカたちは今バスの中にいる。
バスと言っても、これは長距離を数日かけて走るバスだ。
乗客は、座席と小さなテーブルがある個室に寝泊まりすることになる。
アスカ達は3人と4人に分かれて二部屋を使うことになった。
【アスカ、ユリア、アルマの
部屋】
バスが出発してから約1時間ほどだろうか。
普段は絶対にありえないような部屋割りに、アスカは戸惑っていた
『はぁ...(よく考えたらこのふたり物静かなんだよな~、二人とも本読み始めたしアルマは目が怖いし)』
「...どうしました?」
『え、えっとなんでも...』
「そうですか、それは良かったです」
結論から言おう
気まずい。
誰が話すわけでもないし、話のネタもない。
いや、完全に無言ならそれはそれでやりやすいのだ。
しかし、アルマは時々話しかけてくる、
気遣ってくる。
『(...逃げられない!)』
隣の部屋から聞こえてくる談笑が妬ましい。
こっちの部屋に遊びに来てはくれないかと何度思ったことか
『こっちに来い...こっちに来い...こっちに...』
「あ、あの...?」
『来い...こっちに来いこっちn(ドンッ)!』
「!」
アスカの呪文を遮るような打撃音が、空気を震わせる。
音の出どころを探ってみると、どうやらドアを力いっぱい叩いた音のようだった
金属製のドアがかすかに震えている。
この場でこんな力を出せるのは、エマかレイくらいだろう。
アスカは、隣の部屋の仲間が遊びに来たのだろうと思っていた。
そう思って急いでドアを開けたのに
『...これじゃない』
扉の向こうを見たあとの第一声である。
そこにいたのはレイでも、エマでもなかった。
それは、もう何万体と見てきたもの
旧型の異形だった。
『...それにしてもどうしてこんなところに』
「誰も侵入に気づかなかったんでしょうか?」
『そんなことないと思いますけど...』
しかし、新型ならまだしも戦闘力の低い旧型が1匹でいることがありえるのだろうか
アスカ達が今まで戦ってきたのは、少なくとも10体以上の群れだった。
それに、異形が侵入したとしたら騒ぎがおきてもいいはずだ
『もしかしてバスの中で生まれた...いや、まさかね...』
『ハハッ...まさか』
「とかいいながら探しに来てるじゃないですか...全く」
「隊長だからしょうがない。」
後ろで何かを言っている二人の声は聞こえない。
結局好奇心に負けてバスの一部屋一部屋の気配を探るアスカ達は、一つの部屋に辿りついた。
『ここ...かな?』
「はい、気配はそれらしいです。」
「入ってみましょうか、失礼します」
『ちょ、アルマさん!』
こういう時には何故か積極的になるアルマが、扉を開ける。
ノックもせず殺気丸出しで入り込んだアスカ達に、中の人は驚いたようだ。
『...ん?』
「人?」
「え、人...なんで」
『いや、そんなことより謝罪!ごめんなさいは!』
「「...ごめんなさい」」
「え...いや、いいのよ?」
いきなり入ってきていきなり土下座をした3人に、女性は狼狽えているようだ
当然だろう
『すいませんでした。実は...』
数分後
「なるほど、異形が出たからバスの中を捜索していたわけね」
『はい、その異形の気配がしたものでつい...』
「気にしてないのよ?でも、一つお願いがあるの」
「で、その女性を同行させるこのになったんだな?」
『そうです。』
「そうですじゃない!」
現在ホログラムごしに睨み合っているのはアナスタシアとアスカだ。
先ほどの女性、マリさんは遠い先祖が闘龍だったらしく、それを知ったことがきっかけで異形の調査をしているらしい。
今まで何度も危険な状況に直面した為、せっかくならアスカ達についていきたいということだ。
「一般人だぞ!戦いに巻き込む気か?」
『単身異形の調査に行くよりましだと思いますけど』
「いや、それはそうだが...」
「異形の調査をしている時点で自分から巻き込まれに行ってますよね」
「お前もかアルマ」
部屋の隅で様子を見ていたアルマの呟きにアナスタシアが脱力した。
そのあいだ、当のアルマは何事も無かったかのように仁王立ちをしている。
「仲間はいっぱいいた方が楽しいのだ」
「そうね~」
横から茶々を入れてくる隊員達に、アナスタシアの何かが切れた。
「だぁぁぁ!もういい!好きにしろ!」
『いえーい!ヤッタネ』
「ありがとうございます団長?さん」
「わかったから早く切れ!じゃあな!」
ブチッ
何かがきれるような音と共に通信が切れた。
団長室の通信機は大型ケーブル式なのでそれを引き抜いたのだろう
まあ、困るのはアナスタシアなので何も気にしないでおこう
それよりも、やらなくてはならないことがある。
『人数も増えたことですし部屋割り替えましょうか!』
いや、やりたいことか
「そうね~、こっちも器物破損で大変だったから」
その後、古典的なじゃんけんで部屋が分けられた。
アスカはエマ、マリと同じ部屋になったのだ
今、3人はコの字形のソファにそれぞれ座っている。
他愛もない話を少しした後、マリが立ち上がった
「じゃあ、改めて自己紹介しよっか!えっと、私の名前はマリ。マリ・スノーホワイトよ」
「へぇ~スノーホワイトっすか、いい名前っすね」
「...ありがとう!それで、趣味は異形とかマホウについて調べること、自慢はこの銀髪!そういえばアスカちゃんもきれいな色よね」
「えへへ...そうですか?」
「ええ、自信を持ってね?どの種族にもいない珍しい色なんだから。それで私の先祖の闘龍っていうのは、えっと戦姫って呼ばれてたらしいわ...こんなもんかしらね?」
戦姫、聞いたことがある名前だった。
昔、兄に聞かせてもらった話の中にその名前があったはずだ。
どうしてもその姿は思い出せないが...とても優しい目をした人だったと思う
やはり子孫だ。
マリも同じような目をしている
『(でも、なんか違和感があるんだよね...まあいっか?)』
夜も深まってきた。
ほかの客の迷惑になるかもしれないので早めに寝よう。
それは2人も思っていたようで、すぐに寝る支度をし始めた。
「電気消しますよ~」
『お願いします』
「おやすみ...」
あれから、街に霧が出ることも盗賊が人を襲うこともなくなった。
えぐれた地面や禿げた芝、巨大植物の残骸はアスカ達が元通りにした。
『…そろそろここを発ちますか』
「そうなのだ~暇なのだ~」
『この近くって確か長距離バスが走ってましたよね』
「じゃあ乗っていこ、遠いし」
というわけで、アスカたちは今バスの中にいる。
バスと言っても、これは長距離を数日かけて走るバスだ。
乗客は、座席と小さなテーブルがある個室に寝泊まりすることになる。
アスカ達は3人と4人に分かれて二部屋を使うことになった。
【アスカ、ユリア、アルマの
部屋】
バスが出発してから約1時間ほどだろうか。
普段は絶対にありえないような部屋割りに、アスカは戸惑っていた
『はぁ...(よく考えたらこのふたり物静かなんだよな~、二人とも本読み始めたしアルマは目が怖いし)』
「...どうしました?」
『え、えっとなんでも...』
「そうですか、それは良かったです」
結論から言おう
気まずい。
誰が話すわけでもないし、話のネタもない。
いや、完全に無言ならそれはそれでやりやすいのだ。
しかし、アルマは時々話しかけてくる、
気遣ってくる。
『(...逃げられない!)』
隣の部屋から聞こえてくる談笑が妬ましい。
こっちの部屋に遊びに来てはくれないかと何度思ったことか
『こっちに来い...こっちに来い...こっちに...』
「あ、あの...?」
『来い...こっちに来いこっちn(ドンッ)!』
「!」
アスカの呪文を遮るような打撃音が、空気を震わせる。
音の出どころを探ってみると、どうやらドアを力いっぱい叩いた音のようだった
金属製のドアがかすかに震えている。
この場でこんな力を出せるのは、エマかレイくらいだろう。
アスカは、隣の部屋の仲間が遊びに来たのだろうと思っていた。
そう思って急いでドアを開けたのに
『...これじゃない』
扉の向こうを見たあとの第一声である。
そこにいたのはレイでも、エマでもなかった。
それは、もう何万体と見てきたもの
旧型の異形だった。
『...それにしてもどうしてこんなところに』
「誰も侵入に気づかなかったんでしょうか?」
『そんなことないと思いますけど...』
しかし、新型ならまだしも戦闘力の低い旧型が1匹でいることがありえるのだろうか
アスカ達が今まで戦ってきたのは、少なくとも10体以上の群れだった。
それに、異形が侵入したとしたら騒ぎがおきてもいいはずだ
『もしかしてバスの中で生まれた...いや、まさかね...』
『ハハッ...まさか』
「とかいいながら探しに来てるじゃないですか...全く」
「隊長だからしょうがない。」
後ろで何かを言っている二人の声は聞こえない。
結局好奇心に負けてバスの一部屋一部屋の気配を探るアスカ達は、一つの部屋に辿りついた。
『ここ...かな?』
「はい、気配はそれらしいです。」
「入ってみましょうか、失礼します」
『ちょ、アルマさん!』
こういう時には何故か積極的になるアルマが、扉を開ける。
ノックもせず殺気丸出しで入り込んだアスカ達に、中の人は驚いたようだ。
『...ん?』
「人?」
「え、人...なんで」
『いや、そんなことより謝罪!ごめんなさいは!』
「「...ごめんなさい」」
「え...いや、いいのよ?」
いきなり入ってきていきなり土下座をした3人に、女性は狼狽えているようだ
当然だろう
『すいませんでした。実は...』
数分後
「なるほど、異形が出たからバスの中を捜索していたわけね」
『はい、その異形の気配がしたものでつい...』
「気にしてないのよ?でも、一つお願いがあるの」
「で、その女性を同行させるこのになったんだな?」
『そうです。』
「そうですじゃない!」
現在ホログラムごしに睨み合っているのはアナスタシアとアスカだ。
先ほどの女性、マリさんは遠い先祖が闘龍だったらしく、それを知ったことがきっかけで異形の調査をしているらしい。
今まで何度も危険な状況に直面した為、せっかくならアスカ達についていきたいということだ。
「一般人だぞ!戦いに巻き込む気か?」
『単身異形の調査に行くよりましだと思いますけど』
「いや、それはそうだが...」
「異形の調査をしている時点で自分から巻き込まれに行ってますよね」
「お前もかアルマ」
部屋の隅で様子を見ていたアルマの呟きにアナスタシアが脱力した。
そのあいだ、当のアルマは何事も無かったかのように仁王立ちをしている。
「仲間はいっぱいいた方が楽しいのだ」
「そうね~」
横から茶々を入れてくる隊員達に、アナスタシアの何かが切れた。
「だぁぁぁ!もういい!好きにしろ!」
『いえーい!ヤッタネ』
「ありがとうございます団長?さん」
「わかったから早く切れ!じゃあな!」
ブチッ
何かがきれるような音と共に通信が切れた。
団長室の通信機は大型ケーブル式なのでそれを引き抜いたのだろう
まあ、困るのはアナスタシアなので何も気にしないでおこう
それよりも、やらなくてはならないことがある。
『人数も増えたことですし部屋割り替えましょうか!』
いや、やりたいことか
「そうね~、こっちも器物破損で大変だったから」
その後、古典的なじゃんけんで部屋が分けられた。
アスカはエマ、マリと同じ部屋になったのだ
今、3人はコの字形のソファにそれぞれ座っている。
他愛もない話を少しした後、マリが立ち上がった
「じゃあ、改めて自己紹介しよっか!えっと、私の名前はマリ。マリ・スノーホワイトよ」
「へぇ~スノーホワイトっすか、いい名前っすね」
「...ありがとう!それで、趣味は異形とかマホウについて調べること、自慢はこの銀髪!そういえばアスカちゃんもきれいな色よね」
「えへへ...そうですか?」
「ええ、自信を持ってね?どの種族にもいない珍しい色なんだから。それで私の先祖の闘龍っていうのは、えっと戦姫って呼ばれてたらしいわ...こんなもんかしらね?」
戦姫、聞いたことがある名前だった。
昔、兄に聞かせてもらった話の中にその名前があったはずだ。
どうしてもその姿は思い出せないが...とても優しい目をした人だったと思う
やはり子孫だ。
マリも同じような目をしている
『(でも、なんか違和感があるんだよね...まあいっか?)』
夜も深まってきた。
ほかの客の迷惑になるかもしれないので早めに寝よう。
それは2人も思っていたようで、すぐに寝る支度をし始めた。
「電気消しますよ~」
『お願いします』
「おやすみ...」
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