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銀の2人
本当と書いてうそと読む(意味深)
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『あぁあぁぁぁぁ!』
「...うそでしょ」
...朝起きるとマリいなかった。
唐突だがそれは事実であり、空っぽのベッドと開いた窓がそれを証明していた。
「アスカ、手紙があったのだ!」
「マリさんからっすね」
二人によると、それはソファーの隙間に挟まっていたらしい。
急いで手紙を開けると、中の便箋には小ぶりな字でこう書かれていた。
〝二番隊のみんなへ
いきなり消えてしまってごめんなさい
でも、私は皆に迷惑をかけている。
だからまた1人で旅をします。
初対面の私を守ってくれてありがとう
さようなら〟
彼女らしい簡潔な文章だが、迷惑というのは違う気がする。
異形がついてまわることなど、疑っていた部分があるのは事実だ。
しかし、言い訳のように聞こえるかもしれないが二番隊の中で彼女の存在を迷惑だと思う者はいなかった。
レイなど、新しい仲間だとずっとついてまわり、一緒に遊んでいたのだ。
『...今は1人じゃ危なのに』
「今まで大丈夫だったんだからまあ大丈夫だとは思うけど...」
「探しにいくのか?」
『...行きましょうか』
今日の予定は変更だ。
次の街への移動はやめ、マリを探さなくてはならない
雄叫び(?)をあげるレイを筆頭に、七人は窓から部屋を飛び出した。
いきなり降ってきた変な格好の集団が、大声をあげて人を探している。
やはり周りからの視線が痛い。
中にはアスカ達が闘竜だと気づいて離れていく人もいるが、逆に写真を取り出す人もいるのだ。
いい迷惑である。
『1枚千円ですよ~』
「いきなりなんっすか?...てか高いな!」
「写真に映らないスピードで走ればいいと思うのだ!」
「なるほど!」
レイの提案により、アスカ達は高速で走り出した。
今頃多くの人が、ブレた黒い塊が写る写真を見て困惑しているだろう。
しばらく行くと突き当たり、そこから左右に大通りが伸びていた。
暗黙の了解で二手にわかれ、走り出した。
走り出してから5分が経っただろうか。
二チームで連絡を取りあい、そろそろ国境付近まで来たが未だにマリは見つからない。
今の彼女達の移動速度は、まさかの秒速1kmなので見つからないはずが無いのだ。
『1度情報を集めてみますか?』
「それは多分ホテルの近くでやるべき事だったのだ...」
結局、気配も探れないまま闇雲に走っても意味が無いと言うことでホテルに戻ることにした
踵を返し、元来た方向に走り出す。
『来た道帰るのってほんと面倒くさいですよね...』
「5分間何やってたのかって話っすよね」
そんな話をしていると、ホテルが見えてきた
ホテルの前には、恐らく同じ思いだったであろう仲間が帰ってきていた。
やはりマリの居場所は分からなかったらしい
『はぁ...どうしよ「異形が出たぞー!」うわお、デジャヴ』
「ハストゥーシャでもあったよね、こうゆうの」
確かあの時は霧が出たんだったななどと思い出しながら、声の方へ向かう。
逃げる人々の向こう側にチラチラと白いものが垣間見える
等身から言ってⅡ型だろう
「レイが行くのだ!」
いつも通り一番に突進していくレイ。
しばらくすればレイに吹っ飛ばされた異形が宙を舞うのだと思っていた。
...が、いつまでたっても攻撃の気配がない。
『あれ?レイ、どうしたんですか?』
「...た」
「は?」
「見ぃぃつけたあぁぁ!...のだ」
聞こえてきたのは爆発音でも破壊音でもないまさかの叫び声、しかも大音量。
思わず口癖を忘れるほどの...
驚きつつも人ごみをかき分け、レイのもとに向かう。
そこにいたのは、
『マリさん!?』
「ファ!?」
「あれ、見つかっちゃった?」
まさかの探し人でした。
聞きたい事は山ほどあるが、取り敢えず
『その異形、大丈夫なんですか?』
「大丈夫!異形は私襲ってこないし」
『え...』
いままで異形は散々マリを追いかけてきていたはずだ。
それが何故いきなり?いや、そういえばあれは追いかけてきただけでマリには一度も攻撃を仕掛けていない気がする。
なら自分達のやってきた事は無駄だったのか
『え、私たちアホくさっ』
つい本音が漏れた
仲間達も同じことを思ったのか、一様に微妙な顔をしている。
「...必死に守ってくれたのは嬉しかったよ?でも正直、滑稽だった」
「なっ...」
「というわけで、これ以上迷惑をかけられないから私行くね?あの、なんかごめん」
マリは付き纏うような異形と共に、あっさりと路地へ消えていった。
そういう迷惑か...
そんな事を思いながらも、少なからずショックを受けるアスカ。
無意味とはいえ一応守ってあげたにも関わらず、貰った言葉は滑稽。
『(あんまりだ...酷いよ)』
だが本当に申し訳なさそうだったマリの顔を思い浮かべると、怒りでも呆れでもないモヤモヤした気持ちが渦巻いていた。
(ちなみにこの後レイとエマが、感情のままにホテルを破壊するのを彼女達は知らない。)
その頃
「はぁ...」
狭い路地に、大きなため息が響く。
その主の周囲には、人型の人ならざるものが数匹ついてまわる。
「やっぱりもうちょっとキツく言わないとダメなのかな?はぁ...今は敢えて突き放さなきゃならないのに」
子供には、甘いな私...
そんな嘆きなど人ならざるものには届かない。
そして彼女のこんな葛藤も、その理由も、アスカ達が知るはずなかった。
「...うそでしょ」
...朝起きるとマリいなかった。
唐突だがそれは事実であり、空っぽのベッドと開いた窓がそれを証明していた。
「アスカ、手紙があったのだ!」
「マリさんからっすね」
二人によると、それはソファーの隙間に挟まっていたらしい。
急いで手紙を開けると、中の便箋には小ぶりな字でこう書かれていた。
〝二番隊のみんなへ
いきなり消えてしまってごめんなさい
でも、私は皆に迷惑をかけている。
だからまた1人で旅をします。
初対面の私を守ってくれてありがとう
さようなら〟
彼女らしい簡潔な文章だが、迷惑というのは違う気がする。
異形がついてまわることなど、疑っていた部分があるのは事実だ。
しかし、言い訳のように聞こえるかもしれないが二番隊の中で彼女の存在を迷惑だと思う者はいなかった。
レイなど、新しい仲間だとずっとついてまわり、一緒に遊んでいたのだ。
『...今は1人じゃ危なのに』
「今まで大丈夫だったんだからまあ大丈夫だとは思うけど...」
「探しにいくのか?」
『...行きましょうか』
今日の予定は変更だ。
次の街への移動はやめ、マリを探さなくてはならない
雄叫び(?)をあげるレイを筆頭に、七人は窓から部屋を飛び出した。
いきなり降ってきた変な格好の集団が、大声をあげて人を探している。
やはり周りからの視線が痛い。
中にはアスカ達が闘竜だと気づいて離れていく人もいるが、逆に写真を取り出す人もいるのだ。
いい迷惑である。
『1枚千円ですよ~』
「いきなりなんっすか?...てか高いな!」
「写真に映らないスピードで走ればいいと思うのだ!」
「なるほど!」
レイの提案により、アスカ達は高速で走り出した。
今頃多くの人が、ブレた黒い塊が写る写真を見て困惑しているだろう。
しばらく行くと突き当たり、そこから左右に大通りが伸びていた。
暗黙の了解で二手にわかれ、走り出した。
走り出してから5分が経っただろうか。
二チームで連絡を取りあい、そろそろ国境付近まで来たが未だにマリは見つからない。
今の彼女達の移動速度は、まさかの秒速1kmなので見つからないはずが無いのだ。
『1度情報を集めてみますか?』
「それは多分ホテルの近くでやるべき事だったのだ...」
結局、気配も探れないまま闇雲に走っても意味が無いと言うことでホテルに戻ることにした
踵を返し、元来た方向に走り出す。
『来た道帰るのってほんと面倒くさいですよね...』
「5分間何やってたのかって話っすよね」
そんな話をしていると、ホテルが見えてきた
ホテルの前には、恐らく同じ思いだったであろう仲間が帰ってきていた。
やはりマリの居場所は分からなかったらしい
『はぁ...どうしよ「異形が出たぞー!」うわお、デジャヴ』
「ハストゥーシャでもあったよね、こうゆうの」
確かあの時は霧が出たんだったななどと思い出しながら、声の方へ向かう。
逃げる人々の向こう側にチラチラと白いものが垣間見える
等身から言ってⅡ型だろう
「レイが行くのだ!」
いつも通り一番に突進していくレイ。
しばらくすればレイに吹っ飛ばされた異形が宙を舞うのだと思っていた。
...が、いつまでたっても攻撃の気配がない。
『あれ?レイ、どうしたんですか?』
「...た」
「は?」
「見ぃぃつけたあぁぁ!...のだ」
聞こえてきたのは爆発音でも破壊音でもないまさかの叫び声、しかも大音量。
思わず口癖を忘れるほどの...
驚きつつも人ごみをかき分け、レイのもとに向かう。
そこにいたのは、
『マリさん!?』
「ファ!?」
「あれ、見つかっちゃった?」
まさかの探し人でした。
聞きたい事は山ほどあるが、取り敢えず
『その異形、大丈夫なんですか?』
「大丈夫!異形は私襲ってこないし」
『え...』
いままで異形は散々マリを追いかけてきていたはずだ。
それが何故いきなり?いや、そういえばあれは追いかけてきただけでマリには一度も攻撃を仕掛けていない気がする。
なら自分達のやってきた事は無駄だったのか
『え、私たちアホくさっ』
つい本音が漏れた
仲間達も同じことを思ったのか、一様に微妙な顔をしている。
「...必死に守ってくれたのは嬉しかったよ?でも正直、滑稽だった」
「なっ...」
「というわけで、これ以上迷惑をかけられないから私行くね?あの、なんかごめん」
マリは付き纏うような異形と共に、あっさりと路地へ消えていった。
そういう迷惑か...
そんな事を思いながらも、少なからずショックを受けるアスカ。
無意味とはいえ一応守ってあげたにも関わらず、貰った言葉は滑稽。
『(あんまりだ...酷いよ)』
だが本当に申し訳なさそうだったマリの顔を思い浮かべると、怒りでも呆れでもないモヤモヤした気持ちが渦巻いていた。
(ちなみにこの後レイとエマが、感情のままにホテルを破壊するのを彼女達は知らない。)
その頃
「はぁ...」
狭い路地に、大きなため息が響く。
その主の周囲には、人型の人ならざるものが数匹ついてまわる。
「やっぱりもうちょっとキツく言わないとダメなのかな?はぁ...今は敢えて突き放さなきゃならないのに」
子供には、甘いな私...
そんな嘆きなど人ならざるものには届かない。
そして彼女のこんな葛藤も、その理由も、アスカ達が知るはずなかった。
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