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第25話 疑念①
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カレドニゥスはヌイグルミの襲撃により、大きな打撃を受けていた。
クラウディオは、家臣と共に復旧作業に全力を尽くしている。
「エメラーダ様、城にいなくていいんですか」
マックスは、瓦礫の中から木材を持ち上げていた。隣にエメラーダがいたので、話しかける。
「皆様は復旧作業に尽力を尽くしています。それなのに、私だけ城でくつろいでいるわけにはまいりません」
「そうは言いますけどね。そのせいで、俺は作業を手伝わされることになったんですけど」
マックスは手伝わされたと言っている。けれど、エメラーダは見ていたのだ。
本当は、兵士らが作業に手こずっているところを見かねたので、代わったところを。
「ふふふ」
エメラーダの口から笑みがこぼれる。
「なにがおかしいんですか」
マックスはぶすっとした。
「申し訳ありません」
そういうも、エメラーダは相変わらず楽しそうである。
「ところで、ルシエルさんのことですけど、なにか進展はありましたか?」
「ルシエルか……さっき、姿を現しましたね。『ここにヌイグルミが現れた時にも、時空の歪みが見られた』とかなんとか言ってたような気がします」
「時空の歪み……ですか……」
エメラーダは、ラプソディアで起こった出来事について思いを巡らせていた。
そもそも……。
「時空の歪みってなんでしょうか?」
エメラーダは「時空の歪み」というのがいまいちピンと来なかった。
「俺に聞かないでくださいよ。こういうのはディーダの専門なんだから」
マックスは肩をすくめる。
「……ディーダさんというのは……」
エメラーダは首を傾げた。
「そういえば、エメラーダ様にはアナセマスにいた時の記憶がないんでしたっけ」
「はい……この度は、すごいご迷惑をおかけしたと聞きまして……」
「謝らないでください。もう過ぎたことですから」
それを聞いて、エメラーダは、ますます申し訳ない気持ちになった。
「こんなことを聞くのはおかしいと思われるかもしれません……ディーダさんはどういうお方なのでしょうか?」
エメラーダはディーダのことが気になってきた。なので、あえて聞いてみたのだ。
「そういえば以前、ヘッジの野郎が俺の事を『白い悪魔』だって言ってたことがありましたね。
以前は、村という村をそれこそ片っ端から荒らし回ってまして。いつの間にかそう呼ばれるようになったんです。
ある時、いつものように村を襲撃しようとしてた時の話です。そこにヒガンナの傭兵団が来て、俺らとやり合ったんです。
それがまぁ、滅茶苦茶強くて、手酷くやられまして。最終的には戦ってるのは俺だけになって。
でも、ヒガンナの連中は俺を殺さないで、ヒガンナに連れていったんです。
俺に『ヒガンナから出るな』って条件を出したものの、随分とよくしてくれました。でもまぁ、俺は距離を置いてましたが。
そんな中、孤立してる俺を見かねたというので、声をかけたのがディーダだったんです。
最初は『鬱陶しいから付きまとうな』って言ったんですけどね。でも、あいつもなかなかしつこくて。そうこうしてるうちに、いつの間にかよく話すようになったんです」
エメラーダは、ディーダの話をする様子を興味深げに聞いていた。心なしか、嬉しそうな顔をしていたからである。
「ふふふ」
「なんで笑ってるんですか」
含み笑いをするエメラーダに、マックスの目線が鋭くなる。
「申し訳ありません。いつもは無愛想なのに、ディーダさんの話をしているときはなんだか嬉しそうで。本当に、ディーダさんのことが好きなんですね」
鋭い目付きになっていたマックスだったが、今度は顔が真っ赤になった。
「からかうのはやめてください!」
マックスは慌てふためいている。
「これは、失礼いたしました。マックスさんがアナセマスに帰れるよう、私、尽力いたしますね!」
エメラーダは力強く宣言した。顔は笑顔だが、眼差しは真剣になっている。
「尽力いたします、って……時空の歪みとやらはなんとかできるものですかね」
マックスは皮肉っぽく言ったが、その顔は笑みが浮かんでいた。
「と、長々と話してる場合じゃなかった」
マックスは復旧作業に戻った。
クラウディオは、家臣と共に復旧作業に全力を尽くしている。
「エメラーダ様、城にいなくていいんですか」
マックスは、瓦礫の中から木材を持ち上げていた。隣にエメラーダがいたので、話しかける。
「皆様は復旧作業に尽力を尽くしています。それなのに、私だけ城でくつろいでいるわけにはまいりません」
「そうは言いますけどね。そのせいで、俺は作業を手伝わされることになったんですけど」
マックスは手伝わされたと言っている。けれど、エメラーダは見ていたのだ。
本当は、兵士らが作業に手こずっているところを見かねたので、代わったところを。
「ふふふ」
エメラーダの口から笑みがこぼれる。
「なにがおかしいんですか」
マックスはぶすっとした。
「申し訳ありません」
そういうも、エメラーダは相変わらず楽しそうである。
「ところで、ルシエルさんのことですけど、なにか進展はありましたか?」
「ルシエルか……さっき、姿を現しましたね。『ここにヌイグルミが現れた時にも、時空の歪みが見られた』とかなんとか言ってたような気がします」
「時空の歪み……ですか……」
エメラーダは、ラプソディアで起こった出来事について思いを巡らせていた。
そもそも……。
「時空の歪みってなんでしょうか?」
エメラーダは「時空の歪み」というのがいまいちピンと来なかった。
「俺に聞かないでくださいよ。こういうのはディーダの専門なんだから」
マックスは肩をすくめる。
「……ディーダさんというのは……」
エメラーダは首を傾げた。
「そういえば、エメラーダ様にはアナセマスにいた時の記憶がないんでしたっけ」
「はい……この度は、すごいご迷惑をおかけしたと聞きまして……」
「謝らないでください。もう過ぎたことですから」
それを聞いて、エメラーダは、ますます申し訳ない気持ちになった。
「こんなことを聞くのはおかしいと思われるかもしれません……ディーダさんはどういうお方なのでしょうか?」
エメラーダはディーダのことが気になってきた。なので、あえて聞いてみたのだ。
「そういえば以前、ヘッジの野郎が俺の事を『白い悪魔』だって言ってたことがありましたね。
以前は、村という村をそれこそ片っ端から荒らし回ってまして。いつの間にかそう呼ばれるようになったんです。
ある時、いつものように村を襲撃しようとしてた時の話です。そこにヒガンナの傭兵団が来て、俺らとやり合ったんです。
それがまぁ、滅茶苦茶強くて、手酷くやられまして。最終的には戦ってるのは俺だけになって。
でも、ヒガンナの連中は俺を殺さないで、ヒガンナに連れていったんです。
俺に『ヒガンナから出るな』って条件を出したものの、随分とよくしてくれました。でもまぁ、俺は距離を置いてましたが。
そんな中、孤立してる俺を見かねたというので、声をかけたのがディーダだったんです。
最初は『鬱陶しいから付きまとうな』って言ったんですけどね。でも、あいつもなかなかしつこくて。そうこうしてるうちに、いつの間にかよく話すようになったんです」
エメラーダは、ディーダの話をする様子を興味深げに聞いていた。心なしか、嬉しそうな顔をしていたからである。
「ふふふ」
「なんで笑ってるんですか」
含み笑いをするエメラーダに、マックスの目線が鋭くなる。
「申し訳ありません。いつもは無愛想なのに、ディーダさんの話をしているときはなんだか嬉しそうで。本当に、ディーダさんのことが好きなんですね」
鋭い目付きになっていたマックスだったが、今度は顔が真っ赤になった。
「からかうのはやめてください!」
マックスは慌てふためいている。
「これは、失礼いたしました。マックスさんがアナセマスに帰れるよう、私、尽力いたしますね!」
エメラーダは力強く宣言した。顔は笑顔だが、眼差しは真剣になっている。
「尽力いたします、って……時空の歪みとやらはなんとかできるものですかね」
マックスは皮肉っぽく言ったが、その顔は笑みが浮かんでいた。
「と、長々と話してる場合じゃなかった」
マックスは復旧作業に戻った。
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