血よりも赤い瞳

奈々野圭

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第22話 好意 **

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 右肩を掴みながら、純を寝室に連れ込んだ智也。投げつけるように、床に押し倒す。

「裸になれ」

 智也が命じる。いつもと比べると、荒々しい口調になっていた。純は「わかった」と言うと、身にまとっているものを変化させる。

 純は先程、健太をバラしたところだ。それも、文字通り。
 そういう状況であっても、素直に命令に従うのか。智也は薄笑いする。寝室に連れ込み、裸にしている己を棚上げにして。

「四つん這いになれ。それと、ケツを俺の方に向けろよ」

 再度命令する。高圧的で、冷ややかな目を純に向ける。純はこの命令も律儀に従った。むき出しの臀部が差し出される。そこもまた形よく引き締まっている。

 全くもって、呆れ返るほど従順だ。智也は下卑た笑みを浮かべる。背後に覆い被さると、指を肛門に挿入した。

「うぐっ」
 純は呻き声を上げる。

「どうしてお前はこういう時だけ反応するんだ」
 純の陰茎も反応を示していた。

「指突っ込まれて勃ってんじゃねぇよ」

 純の陰茎を乱暴に掴み、擦った。智也の手の中で硬くなる。純は息を荒げながらも、なすがままになっている。
 智也は肛門に挿入した指を、もっと深くまで押し込んだ。

「うあっ」
 純が苦悶の声を上げる。

「あんなことしたってのに、何感じてんだよてめぇは……」

 肛門に挿入した指を引き抜くと、ボトムスに手をかける。智也の股間は盛り上がっていた。
 チャックを下ろしたあと、下着ごとボトムスを下ろす。陰茎が勢いよく飛び出してくる。

 己の陰茎を純の肛門にあてがうと、一気に突き挿れた。

「ああっ」

 純が声を上げながら仰け反る。まだ十分には解されていないためか、スムーズに入っていかない。しかし構うことなく腰を押し進める。純の尻と智也の太ももがぶつかり、乾いた音を立てた。

「ううっ」
 純が呻く。智也は構わずに腰を振り続けた。解れてきたのか、スムーズに動くようになる。

「何感じてんだよ、この変態野郎が」
 智也は罵り、腰を激しく動かした。

「あっ、あっ」
 純の陰茎は萎えることなく勃起したままだ。次第に、智也の腰の動きに合わせて揺れだす。

「くそっ、くそっ」
 智也は悪態をつきながら、突き上げる。その度に、純は悲鳴をあげた。陰茎が純の前立腺を擦り上げる度、その先端から透明な液体が垂れる。

「ああっ」
 純は一際大きな声を上げる。智也は構わずに、さらに深く陰茎を突き刺した。
 純は頭を振りながら、断続的に呻吟する。

「もうイッたのか」

 智也は嘲笑しながら言う。純は何も答えず、荒い呼吸を繰り返すだけだった。何度も穿うがっているうちに、限界が近づいてくる。

 智也は思った。好きなのは、あくまでも美咲だ。セックスもしているが、それは好意があっての事だ。

 だが、純は違う。ズレた価値観に弾まない会話。何より、自分からは決して動こうとしない態度……。顔がいいのがせいぜいだ。

 性格だけではない。純が持ち合わせている種々の能力――認識阻害に、異常な再生能力と痛覚遮断。何よりも、健太を爆発四散させたこと――。

 純は化け物ではないか。人間でさえないのだ。これでは好意どころの話ではない。ただただ、おぞましい存在でしかないのだ。たとえ、いくら美しい顔を持っていたとしても。

 健太は「純が好きだと言うなら、美咲と別れろ」と言った。

 むしろ、純のことが好きであれば、どれ程よかったか。それならば、今やっているピストン運動にも説明がつくというのに。

 智也はラストスパートだといわんばかりに、腰を振る速度を上げた。

「俺が好きなのは美咲なんだよ! お前じゃねぇ!」

 絶叫したその瞬間、射精した。純の中に勢い良く精液が放たれる。

 一呼吸置いたあと、智也は陰茎を引き抜く。純は四つん這いになったままだ。肛門から、精液が出てくる。

 床を見ると、透明なものと白濁のシミができていた。

「本当にイってやがったのか。ケツでイってんじゃねぇよ。つか、いつまで四つん這いになってんだ。もう終わったからこっち向け」

 純は「わかった」と言いながら、智也の方に向き直る。純の顔は無表情だ。まるで、何事もなかったかのようだ。

「いつものすまし顔か。さっきまでアンアン言ってたくせによ」

 今回純を後ろから犯したのは、顔を見たくなかったからだ。健太を殺したあとだというのに、艶っぽく歪むその顔を。

「はぁ……」

 智也は嘆息した。純を犯したとて、事態は変わらないからだ。寝室の床を汚された分、余計な仕事が増えたともいえる。
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