転生したらいつの間にかフェンリルになってた〜しかも美醜逆転だったみたいだけど俺には全く関係ない〜

春色悠

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第二章

突然の手紙 ルイス視点

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「あ、ルイス君おかえり~!魔力測定どうだった~?」
 俺は買い出しから帰り、ジョセフさんに食材を渡した後にクリストファーさんと遭遇した。
 ……そういえばクリストファーさんて何の仕事してるんだ?結構長い事屋敷にいるような気がするが……。
「普通でしたよ。平均より少しだけ魔力が多いらしいです。属性は水でした。」
「へぇ~、水かぁ……、汎用性の高いやつだね。」
「そうですか?」
 あんまり使い道が考えられないんだが……。
「まあ、極めれば氷とか、熱湯とかもできるからね。自由自在に操れれば捕縛とかもできるし。」
 そ、そういう使い方もあるのか……。……あ、後でちょっと練習してみよう……!
「確かにそう言われると良い属性な気がしてきました。有り難うございます。」
「いえいえ~。なんか気になる事があったら周りにどんどん聞くといいよ~。」
「はい。そうします。」
 ちょっとワクワクしてきた。
「あ、そういえば、名前もちゃんと変えてきました。身分証もついでに発行してもらって。」
 そうそう、身分証も発行して貰ったんだ。だいたいの人が魔力測定と一緒に発行して貰うらしい。
「おぉ~……、?名前……?あ、そっか!名前かぁ!」
 え、え、なんだ?
「そうだよ!名前だよルイス君!!」
 ずずい、と力強く叫ぶクリストファーさん。
「え、えと、なんのことですか…?」
「ルイス君の呪いが中途半端に解けてる件だよ!!呪いを掛けられる条件は相手の名前と髪の毛、きっと、呪いを受けてる最中に名前が変わっちゃったから、呪いが完全に解けていないんだ…!!」
 お、おぉう、物凄い勢いで話したな……。
 でも、そうか……、俺が途中で名前が変わったからか……。
 ま、でも、身体能力が高くなっただけだし、別にいいか。
「いや~……、良かった良かった。すっきりしたよ~。じゃ、俺は部屋に戻るよ、じゃあね~。」
 俺が考えている間に、クリストファーさんはスキップしながら戻っていった。
 ……嵐のように去っていったな。

 ……取り敢えず俺も部屋に戻ろう。荷物置いてこないとな。
 住み込みのため、俺にも一部屋与えられている。因みに真横はグレイの部屋だ。多分エミリーさんの部屋も近くにあるんだろうけど、詳しくは知らない。多分住み込みで働いてるとは思うけど。
 部屋で、お祭りで釣ったスースーを取り出す。
「……!!!だ、弾力が増している…!!」
 ぽよッぽよッ、とスースーが手の中で震える。
「………。」
 ぽよッぽよッ。
 思わず無心でむにむにと触ってしまう。
 あ、よく見れば線上に緑が入ってる。ほんとにヨーヨーみたいだ。
 …………これ俺の色味に似てるな。
「あ、やば、行かないと。」
 ちょっとむにむにしすぎた。
 備え付けのテーブルにスースーを起き、さっと部屋をでる。
 ジョセフさんに手伝いを頼まれているのだ。早速買ってきた材料を使いたいそうなんだが、処理が大変らしい。
 ガチャリ、隣で扉の開く音がした。
「………あ、グレイさん。」
「よぉ、新入り。お前爺さんの手伝いが終わったら薪割っとけ。じゃあな。」
 ……要件だけ行って行ったな。まあいいか。


「………これで良いんですか?」
「あとは待つだけだからね。手伝い有り難うルイスくん。干芋あげるね。」
「……有り難うございます。」
 なんだか孫扱いされている気がする……。
 ジョセフさんの手伝いの後、貰った干芋を見ながら思う。
 あと、ジョセフさんが何を作ったのかはわからない。できたらルイスくん達にもあげるね、とは言われたが、なんなんだろう……。
 ………にしても、あれ経費で買ったのか…?だとしたら俺達食べて良いのか。
 一抹の不安を抱きつつ、薪を割っていく。
 スパンッッ!!
 ……ホントに身体能力上がってるな…。今度ちょっとそこら辺でジャンプしてみよう。2メートルぐらい飛べるかもしれない。
「…?」
 ふと、薪を割る音に混じって足音が聞こえた。
 ……グレイだろうか。薪割り場まで来るのグレイくらいなんだが。
「………………。」
「あ………………、ら、インハルト、様……。」
 やばい。呼び捨てに仕掛けた。危なかった。
 後ろへ振り向けば、目にラインハルトが飛び込んできた。
 急に姿を表し、無言のまま近寄ってくるラインハルト。
 取り敢えず、片手に持った斧は片付けた。「………、す、まなかった。」
「え、。」
 なんだ…?と疑問に思いながら、差し出された封筒を手に取る。
「……じ、邪魔したな…!」
 え、なんの封筒だこれ…?
 渡すだけ渡して去っていってしまったラインハルトに呆然とする俺であった。
 ………ほんとになんだこれ…?
 真っ白な封筒には、『ルイスさんへ』と書かれているので、手紙だろうか。
 ……取り敢えず仕事終わらせてから読もう。
 薪割りを再開する俺であった。

 
 夜。だいたいもう眠るだけとなった時間。俺は手紙を取り出した。
「………読むか。」
 カッターやハサミなんて上等なものはないので、そのまま破る。
 ……よし、中身は無事だな。
 中身も無地の便箋で、どこか生真面目そうな字が書かれていた。
『ルイスさんへ
 突然のお手紙失礼します。』
 ほんとにな。
『つきましては、謝罪したい事がありましてこのお手紙を出させていただきました。』
 ……謝罪ってなんのだ。
『先日、寝不足のためにセクハラ紛いの事をしてしまったこと、並びに、幾度も返事ができずに無視してしまった事に謝罪したく思います。本当にすみませんでした。』
 ………セクハラって……、いやでも同意無しで抱きついたらセクハラになるのか…。
『弁明のしようもございませんし、本来なら直接謝罪をしたいところなのですか、今回、とある理由でこちらの手紙にさせていただきました。』
 ……物凄く丁寧なビジネスメールみたいな文書だな。
『その理由と言うのが、実に自分でも情けないと思うのですが、貴方を前にすると緊張で話せなくなるのです。』
 ……緊張。
『手紙を書くのも、物凄く緊張しながら行っております。』
 ………なんだか、ちょっとラブレターっぽいな。
『きっと、これからも失礼な態度を取ってしまうと思うのですが、何卒、温かい目で見守っていただけると有り難く存じます。
       ラインハルト・アルンディオより』
 ……ふふっ…、なんだかちょっと笑ってしまうな。
 緊張、そうか、緊張か……。
 ラインハルトがなんで俺と話すのに緊張するかはわからないが、悪い意味では無いような気がするな。
 ラインハルトからの手紙をまた初めから読みながら考える。
 ……返事を書いたら、また返してくれたりするだろうか。
 明日、エミリーさんに便箋を売っているところを聞いてみよう。
 大切に手紙を仕舞った後、俺は眠りについたのであった。



次の日
「は、はわわ、お、お手紙…!い、いいね…!わ、わたし便箋ならいっぱい持ってるからあげる…!!」
 俺と同じくらいの勢いを持ったエミリーさんと一緒に、お手紙を書く俺であった。
 勿論エミリーさんはグレイ宛の手紙だ。
 ………なに書いたんだろうな。
 …あ、どうやって渡そうこの手紙。
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