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第七章 天竜国編
第36話 竜人国の隠しポータル
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俺は、一人で竜人国に来ていた。
ジェラードから俺のパレットに、隠しポータル解放の準備ができたという連絡が来たのだ。
俺が今いるのは、四竜社の地下だ。隠しポータルは、四竜社が入る建物の地下にあった。
ラズローとジェラード、そして黒竜族と青竜族の新しい長。四人が同時に詠唱に入る。
目の前の黒く大きな扉は、四竜族の長が同時に呪文を唱え、初めて開くことができる。
ゴゴゴゴ
腹に響く音を立て、扉がゆっくりと開く。開いた扉の向こうには、まっ暗な空間が広がっていた。湿っぽい空気が流れだす。
ジェラードの詠唱で魔術灯がともる。明りに映しだされた部屋は、十二畳ほどだった。
部屋の左右の壁に、文字で飾られた木枠がはめ込まれている。右の木枠の中にはポータルの黒い渦があり、左の木枠は、扉が閉められ、封のようなものがしてあった。
木枠の下には金属製のプレートがあり、大きな竜人文字が書かれている。
読んでみると、右側のものが「グレイル」、左側のものが「スレッジ」と書かれていた。
「シロー殿、これでお約束は果たせましたかな?」
青竜族、黒竜族の長が、部屋を出ていくと、ラズローが俺の側に立った。
お約束というのは、竜闘で勝った報酬として俺が求めたことだ。一つは天竜祭への参加で、もう一つがこの隠しポータルズの解放だった。
「このポータルが、解放されたと分かれば、そういうことになります」
「おいおい、ここにきて、まだ俺たちを疑っているのか?」
ジェラードが呆れている。
「疑っているんじゃない。
慎重になってるだけだ」
「さすがに、竜王様の友人をダマそうとするやつなど、竜人にはいないと思うぞ」
「お前がいるだろう」
俺がすかさず突っこむと、ジェラードは渋い顔をしている。
「ここは、今後どのように管理されますか?」
俺はラズローに尋ねてみた。
「そうですね。
恒久的に開放となると、門を開けたままにして、係の者を置くことになるでしょう。
「これで、他の世界との交流、交易が進みますね」
「ええ、まだ懸念材料はあるのですが、そうなることを望んでいます」
「懸念材料というと?」
「そもそも、我々が、このポータルを秘密にしたのは……」
二百年以上前は、通常のポータルが地上にも一か所あり、細々とだが、それを使った交流が行われていた。
ところが、それを通りスレッジからやってきた人族やドワーフ族が町を荒らしだした。
彼らの最終目標は、天竜国だった。
当時、極秘にされていた天竜国へのポータル、その情報が漏れた後は、物凄い数の人族、ドゥワーフ族が殺到した。
彼らは天竜国へ渡ると、当時数多くいた竜を狩りはじめた。
それに気づいた竜人たちが、天竜国へのポータル、スレッジへのポータルとも破壊した。
しかし、それまでに多くの天竜、真竜が狩られてしまった。彼らの狙いは竜から取れる素材だった。それは他の世界で驚くほど価値があったのだ。
竜人もその多くが奴隷として連れさられ、一時は各種族の維持が危ぶまれるほどだった。
それから百年ほどして、希少鉱物を探していた竜人がこの新しいポータルを見つけた時、各種族の長達はそれを秘密にすることにした。
その秘密を守るために作られたのが四竜社だ。
ラズローが話してくれた竜人国の歴史に、彼らの排他性がどこから来たのか、やっと分かった気がした。
そして、これから再びそういうことが起こらないための予防策が必要になると痛感した。
「ラズローさん、真竜たちのこともありますから、ポータル解放後のアイデアを伝えておきますね」
俺は、他世界との交易のための区画を作ることを提案した。元ネタは長崎の出島だ。その区画から竜人国への通行を厳しく制限すれば、かつての様な事は起こらないだろう。
そういえば、ひとつ尋ねるのを忘れていたな。
「人族やドゥワーフ族は、どうやって竜人や竜を打ちまかすことができたんです?」
竜王様と戦ってみた俺には、人族がどんな手段を使っても真竜には敵うはずがないという実感があった。
「それに気づかれましたか。
うーん、極秘中の極秘になりますが……。
シロー殿になら話しても構いますまい。
彼らは『ドラゴナイト』という金属を身につけておったのですよ」
「なんですか、その『ドラゴナイト』と言うのは?」
「スレッジで採掘される金属で、竜族や竜人の力を奪う働きがあるものです」
「具体的には、どういう効果が?」
「伝承では、真竜様が魔術やブレスを使えなくなったと言われています」
「竜人に対する効果は?」
「魔術を使えなくなるのはもちろんですが、力もかなり弱くなったと伝えられております」
「今、この国に、『ドラゴナイト』は残っていますか?」
「当時、ポータルを破壊した後、祖先たちは、この地に残った人族やドゥワーフ族を、苦労の末、一掃したそうです。
そのとき、全てのドラゴナイトは深海に沈められたと言われております」
そうか。竜人だけになった世界だと、持っていても意味は無いものだろうからね。そういうことなら「出島」の管理はますます厳格にしなければならないな。
俺は、子竜たちのことを思い、自分もポータルの管理に係わる覚悟を決めた。
ジェラードから俺のパレットに、隠しポータル解放の準備ができたという連絡が来たのだ。
俺が今いるのは、四竜社の地下だ。隠しポータルは、四竜社が入る建物の地下にあった。
ラズローとジェラード、そして黒竜族と青竜族の新しい長。四人が同時に詠唱に入る。
目の前の黒く大きな扉は、四竜族の長が同時に呪文を唱え、初めて開くことができる。
ゴゴゴゴ
腹に響く音を立て、扉がゆっくりと開く。開いた扉の向こうには、まっ暗な空間が広がっていた。湿っぽい空気が流れだす。
ジェラードの詠唱で魔術灯がともる。明りに映しだされた部屋は、十二畳ほどだった。
部屋の左右の壁に、文字で飾られた木枠がはめ込まれている。右の木枠の中にはポータルの黒い渦があり、左の木枠は、扉が閉められ、封のようなものがしてあった。
木枠の下には金属製のプレートがあり、大きな竜人文字が書かれている。
読んでみると、右側のものが「グレイル」、左側のものが「スレッジ」と書かれていた。
「シロー殿、これでお約束は果たせましたかな?」
青竜族、黒竜族の長が、部屋を出ていくと、ラズローが俺の側に立った。
お約束というのは、竜闘で勝った報酬として俺が求めたことだ。一つは天竜祭への参加で、もう一つがこの隠しポータルズの解放だった。
「このポータルが、解放されたと分かれば、そういうことになります」
「おいおい、ここにきて、まだ俺たちを疑っているのか?」
ジェラードが呆れている。
「疑っているんじゃない。
慎重になってるだけだ」
「さすがに、竜王様の友人をダマそうとするやつなど、竜人にはいないと思うぞ」
「お前がいるだろう」
俺がすかさず突っこむと、ジェラードは渋い顔をしている。
「ここは、今後どのように管理されますか?」
俺はラズローに尋ねてみた。
「そうですね。
恒久的に開放となると、門を開けたままにして、係の者を置くことになるでしょう。
「これで、他の世界との交流、交易が進みますね」
「ええ、まだ懸念材料はあるのですが、そうなることを望んでいます」
「懸念材料というと?」
「そもそも、我々が、このポータルを秘密にしたのは……」
二百年以上前は、通常のポータルが地上にも一か所あり、細々とだが、それを使った交流が行われていた。
ところが、それを通りスレッジからやってきた人族やドワーフ族が町を荒らしだした。
彼らの最終目標は、天竜国だった。
当時、極秘にされていた天竜国へのポータル、その情報が漏れた後は、物凄い数の人族、ドゥワーフ族が殺到した。
彼らは天竜国へ渡ると、当時数多くいた竜を狩りはじめた。
それに気づいた竜人たちが、天竜国へのポータル、スレッジへのポータルとも破壊した。
しかし、それまでに多くの天竜、真竜が狩られてしまった。彼らの狙いは竜から取れる素材だった。それは他の世界で驚くほど価値があったのだ。
竜人もその多くが奴隷として連れさられ、一時は各種族の維持が危ぶまれるほどだった。
それから百年ほどして、希少鉱物を探していた竜人がこの新しいポータルを見つけた時、各種族の長達はそれを秘密にすることにした。
その秘密を守るために作られたのが四竜社だ。
ラズローが話してくれた竜人国の歴史に、彼らの排他性がどこから来たのか、やっと分かった気がした。
そして、これから再びそういうことが起こらないための予防策が必要になると痛感した。
「ラズローさん、真竜たちのこともありますから、ポータル解放後のアイデアを伝えておきますね」
俺は、他世界との交易のための区画を作ることを提案した。元ネタは長崎の出島だ。その区画から竜人国への通行を厳しく制限すれば、かつての様な事は起こらないだろう。
そういえば、ひとつ尋ねるのを忘れていたな。
「人族やドゥワーフ族は、どうやって竜人や竜を打ちまかすことができたんです?」
竜王様と戦ってみた俺には、人族がどんな手段を使っても真竜には敵うはずがないという実感があった。
「それに気づかれましたか。
うーん、極秘中の極秘になりますが……。
シロー殿になら話しても構いますまい。
彼らは『ドラゴナイト』という金属を身につけておったのですよ」
「なんですか、その『ドラゴナイト』と言うのは?」
「スレッジで採掘される金属で、竜族や竜人の力を奪う働きがあるものです」
「具体的には、どういう効果が?」
「伝承では、真竜様が魔術やブレスを使えなくなったと言われています」
「竜人に対する効果は?」
「魔術を使えなくなるのはもちろんですが、力もかなり弱くなったと伝えられております」
「今、この国に、『ドラゴナイト』は残っていますか?」
「当時、ポータルを破壊した後、祖先たちは、この地に残った人族やドゥワーフ族を、苦労の末、一掃したそうです。
そのとき、全てのドラゴナイトは深海に沈められたと言われております」
そうか。竜人だけになった世界だと、持っていても意味は無いものだろうからね。そういうことなら「出島」の管理はますます厳格にしなければならないな。
俺は、子竜たちのことを思い、自分もポータルの管理に係わる覚悟を決めた。
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