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第十二章 放浪編
第39話 結びの大陸
しおりを挟む『平和大陸』にあった戦略兵器『メテオラ』の製造工場は消しておいた。ついでに『ハエ』に関する工場もね。
治安維持を受けもつ人々の近代兵器も全て消しておく。
彼らには、その代わり最も粗悪なボウガン型武器を最小限配布した。
賢者が利用していた高層ビルは、『戦争大陸』と呼ばれてきた土地に住む人々の『平和大陸』における駐屯地となった。
そして、『平和大陸』には、海洋研究用の船が何隻かあったので、これを使い大陸間の定期航路を開いた。
軌道上に浮かんでいた何機かの人工衛星は、とりあえず全て点収納に入れておいた。
俺にしかできない仕事を終えると、イスタニアとウエスタニアの中間に作った『土の家』に瞬間移動する。
◇
「シロー殿、ぜひあなたに決めてもらいたい!」
「そうだ、あなた以外に考えられない!」
『結びの家』一階の食堂で朝食をとっている俺の前には、ウエスタニアのモラー少佐とイスタニアのヴァルム大尉が立っている。
二人は、俺にこの大陸の名前を決めてほしいそうだ。
エルファリアのお茶から立ちのぼるアロマを楽しみながら、こう言ってみる。
「うーん、この家の名前、『結びの家』っていう名前にしたんだよね。
だから、いっそ『結びの大陸』でいいんじゃない?」
俺は適当にそう言っておく。こうしておけば、どうせ却下されて、誰か他の人が決めてくれるだろう。
「「『結びの大陸』……」」
ほら、二人とも呆れた顔をしてる。
自慢じゃないが、俺が名前をつけると、家族でさえドン引きするんだぞ。
「最高です!」
「素晴らしい!
さすがシロー殿だ!」
えっ!?
おい、ちょっと待ってよ!
さっきのは呆れた顔じゃなかったのか?!
「ははは、これで懸案の一つがあっさり片づいたわね」
「ああ、全くだ」
二人はお互いの拳を合わせている。
おいおい、俺が適当に決めた名前が大陸名ってどうよ!?
「ところで、シロー殿。
例のモノを使わせてもらえないか?」
「おお、私もぜひ頼む!」
訴えかけるモラー少佐、ヴァルム大尉の目が、子供のようにキラキラしている。
しょうがないなあ。
◇
「ふぁ~、まさに極楽だの~」
「なんど入っても、これはイイねえ~」
モラーとヴァルムが湯気の向こうでそんな声を上げている。
点魔法で作ったお盆に置かれたグラスには、地球産高級ワインが入っている。
俺たちは、『結びの家』一階に設けた大浴場に入っているところだ。
先日、合同会議の時、お互いにわだかまりがあったイスタニア、ウエスタニアの軍上層部のみなさんを、全員全裸にしてこの大浴場に叩きこんだんだよね。
裸のつきあいをすれば、わだかまりが解けると思ったんだよ。
全員、俺の方を似たような目で見てたから、それで仲良くなったみたい。
ちょっと狙いとは違ったけれどね。
「そうそう、この施設だけど、このままじゃ俺がいなくなった後で使えないから、後で改造しておくね」
この施設、温泉水アーティファクト使ってるからね。
ここを立ちさるとき、それは持っていくつもりだから。
「ええっ!?
ここ、使えなくなっちゃうんですか!?」
モラーさんがお湯の上に上気した顔を浮かせ、悲しそうな顔をする。
だから、人の話をよく聞こうよ。
「いや、使うのに少し手間がかかるだけ」
「よ、よかった~!」
どんだけ風呂好きなんだよ。
まあ、この大陸には、今までシャワーしか無かったようだけど。
「あの泡がでるやつは、置いていってもらえますか?」
ヴァルムが言ってるのは、シャンプーやリンスのことだね。
今、ここで使ってるのは、地球から持ってきたものだから、それも工夫しないとね。
「ああ、『平和大陸』の方で、あれと似たものがすでにあるみたいだよ」
「それを聞いて安心しました」
あなたもフロスキーさんになっちゃいましたか?
『( ̄▽ ̄)つ それはご主人様でしょ!』
確かに、俺はお風呂好きだけど。
『( ̄▽ ̄) 軍事施設探す前に、お風呂について調べるって……』
そう言えば、『平和大陸』で、そんなことしちゃったかな。
おかげで色々、面白い発見があったよ。
『(; ・`д・´)つ その前に仕事しろっ!』
ええっ?! まあ、分かってますけどね。
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