ポータルズ -最弱魔法を育てようー

空知音

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第一章 冒険者世界アリスト編

第26話 尾行

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史郎の周囲は、再び落ち着きを取り戻していた。
ルルとのコンビも絶好調で、多いときは一日に3件の依頼をこなしている。

この日も討伐達成の報告をしにギルドへ来ていた。

カウンター前に並んでいると、聞くともなしに冒険者達の声が耳に入ってきた。

「そんなに死んだのか」

「ああ、20人以上死んだらしいぜ」

「ひでえ話だな」

「あそこは宮廷魔術師との繋がりが噂されてたからな」

「しかし、全員殺すかね」

「貴族にとって、平民は虫けらほどの命も持たないのさ」

「ひでえ話だなあ」

ちょっと気になったので話に割り込む。

「すみません。 それってどんな事件(じけん)ですか?」

「ああ、ルーキーか。 それがひでえ話でよ。
『レッドドラゴン』って裏家業のやつらが何かしくじったらしいんだが、口封じのために全員殺されたんだぜ」

会長やライスが死んだのか。
同情はできないが、なんかすっきりしないな。

「メイドや、料理人、他から派遣されてた警備員も軒並み殺されたらしい」

あの警備員二人も殺されたのか。
よっぽど知られたくない関係を持っていた誰かがいるってことか。
手際の良さからしても魔術がらみだろう。

「そりゃひどいですね」

ちょうどその時、冒険者の順番が来たので、話はそこで終わった。

そのことについて、すぐにでもルルと相談したかったが、さすがにギルド内でできる話ではないので、依頼達成の報告を終えるまで我慢する。

帰り道、聞かれる範囲に人がいないことを確認して事件の話をする。

「さっきの事件、ルルはどう思う?」

「魔術師が、関係していると見ていいでしょう」

だよね。

「こちらはどう動くべきかな」

「とりあえずは静観がいいとおもいます。
ただ、相手が何かしてきたら、すぐに動けるようにしておきましょう」

「ナルとメルは、しばらく家から出さない方がいいな」

「そうですね。 
キツネさんたちにも、周囲に気を付けるように伝えておきましょう」

「今回の犯人は、命を奪うのを躊躇しないやつみたいだからね」

「旦那様がいれば、きっと大丈夫です」


信頼が重いですよ、ルルさん。

---------------------------------------------------------------

数日後、キツネグループの何人かが、司直から取り調べを受けた。
事件当日の行動を追及されたらしい。


レッドドラゴンとの抗争、実際には一方的に彼らがやられただけだったのだが、それについても聞かれたそうだ。

まあ、ここまでは予想通りだね。

何を話して、何を話さないか。
すでにロールプレイで練習しておいたからね。
もちろん取り調べ官の役は、俺がやったよ。
みんな震えてたから、本物より、よっぽど怖かったらしい。


まあ、彼らのほとんどには、事件当日のアリバイがあるから、すぐに釈放になった。
アリバイが無い、ボス、キツネ、ゴリさんは三日ほど帰って来なかったけどね。

ギルドへは、俺とルルについて、騎士からの問い合わせがあったらしい。
まあ、いつも家にキツネグループが来てるからね。

その日、ギルドから帰る途中で、尾行されているらしいのに気づいた。
たまたま、この日は俺一人だったので、少し遠回りをして屋台を冷かしたり、喫茶店に立ち寄ったりして、尾行者をチェックした。

やはり、二人組に尾行されていた。

フードつきのローブはまだ許せるが、街中でフードをかぶってるのは怪しすぎるだろ。
しかも、同じフード付きローブが二人だよ。
せめて色くらいは変えようよ。

明らかに尾行の素人だから、司直とは関係ないだろう。
となると、レッドドラゴン関係者か、それとも犯行グループか。

家に帰ると、ルルとボスも尾行されたということだった。
ま、誰でも気づきますよね。
尾行者は、やはりフード付きローブの二人組みだった。

わざと尾行に気付かせて、こちらの動きを誘うって可能性もあるが、不器用さから見ても、まずそれはないだろう。

ちょっと、思いついたことがあったので試してみる。

庭に出て、点ちゃんを呼ぶ。

おーい、点ちゃん。

「は~い、点ちゃんですよー」

相変わらずだな。

点ちゃん、石の表面にくっつけたよね。

「得意ですよー」

ああいうの得意っていうのかね。

布とかにもくっつける?

「何にでもくっつきますよー」

ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいかな。

「わーい! 何ですか?」

点ちゃんといろいろ打ち合せる。

------------------------------------------------------------

次の日、史郎は、ギルドへは向かわず、カラス亭に向かった。


「おう、久しぶりじゃねえか」

店の前を掃いていたご主人が、声を掛けてくる。

「ちょっと早いですが、開いてますか?」

「うちは宿屋だからな。 
基本、年中無休だよ」

「ちょっとテーブルを貸してほしくて」

「いいぜ。 好きなだけ使いな」

「ありがとうございます」

「いいって、いいって」

出会った頃は無口だと思っていたが、付き合ってみると意外に気さくな人だった。

「こんにちは」

「あれ、あんたかい。 
ここんところ、ご無沙汰だったね。 
元気にしてたかい?」

「おかみさんは、相変わらずお綺麗ですね」

「馬鹿なこと言ってるね、この子は。
そんなこと言っても食事代は負けないよ」

そのわりには、嬉しそうだ。

入口がよく見えるテーブルを貸してもらって腰を落ち着ける。

お、来たな、って、二人が時間差で入って来ても、同じローブ着てたら意味ないだろう。
こいつら、ほんと尾行の才能無いね。

軽食とお茶を注文し、時間をかけて食事を楽しむ。
ここ、やっぱり美味しいな~。
お茶にも一工夫してあって、くつろげるわ~。

「もう注文しないんなら、出てっておくれ」

うわ、あいつらお茶一杯でずっと座ってたから叱られてやんの。
しかも、わざわざ別々のテーブルに座ってるし。
ここは宿泊客も使うから、どう見ても迷惑だよね。

慌てて、おかわりを注文しようとしてるな。

「おかみさん」

「はいよ」

「そこのローブの二人に、ミュール出したげて」

ミュールは、オレンジに似た果物を絞ったジュースである。

「なんだい、知り合いだったのかい。 
一緒に座ればいいのに」

「ま、いろいろ事情があってね」

主に向こうの二人にだけど。

「あっちのお友達からの奢りだよ」

おかみさんがミュールを持っていくと、二人は慌てて宿を出て行った。
ひどいね、こりゃ。

「飲まずに行っちまったよ。 
変な人だね」

「もったいないから、俺がもらうよ」

「ま、いいけどね。 どうせあんたの金だからさ」

「ありがとう」

せっかく食後のお茶で落ち着いてたところに、ミュール2杯はきつかった。
お腹が、ちゃっぷんちゃぷんになっちゃたよ。

「ごちそうさまー」

「もう少しちょくちょく、顔見せな」

「次は、ルルと来ますね」

「ああ、そうしとくれ」

お礼を言ってカラス亭を後にする。
例の河原に向かった。

---------------------------------------------------------------------

点ちゃん、いますかー。

「は~い」

どうなってる?

尾行者の二人には、カラス亭で、分裂した点ちゃんを付けてある。

「二人とも同じ建物に入るところですよ」

ふむふむ。
そこまで案内してもらってもいいかな。

「はい! お任せでーす」

激しくびょんチカしてるね。


今度からもっと頼み事してみるか。

------------------------------------------------------------------

「あそこですよ~」


点ちゃんが連れて行ってくれたのは、門構えからして、明らかに貴族の屋敷だった。
お城にかなり近いところにある。

あ、そうそう。 点ちゃん、二人が何してるか分かる?

「誰かと話してるみたいです」

どんなこと話してるか、聞こえる?

「聞こえますよ」

教えてもらえる?

「ご主人様が、聞けるようにもできますよ」

何それ、超便利! 
じゃ、そうしてくれる?

「はーい」

史郎は、路地裏に入り、様子をうかがうことにした。

-------------------------------------------------------------------

史郎を尾行していた二人は、コウモリ男の部屋にいた。

「報告しろ」

「ええ、特にこれといった動きはありません・・」

さすがに、尾行がばれたとは言えないんだね。

しかし、これ、感度いいな。
まるでその場にいるように聞こえるぞ。

「素性は、分かったのか」

「素性がはっきりしないので、ギルドの方からも調べたのですが、特に怪しいところはありませんでした」

「馬鹿者! 素性がはっきりせぬだけで、十分に怪しいわ!」

「ただ、ゴブリンキング討伐、ドラゴン討伐の両方に参加していたことがわかりました」

「なに!? 凄腕の冒険者か・・」

「いえ。 まだ登録したばかりのルーキーだそうです」

「ルーキーだとな。 ふーむ。 
討伐時の行動は、分かっているのか?」

「はい。 ドラゴン討伐では荷物持ちでした。
ゴブリンキングの方は、キング討伐をしたパーティにいたようです」

「ルーキーがか?  
キング討伐の様子をもっと詳しく調べあげろ」

「はっ!」

あ、そうだ。

点ちゃん。

「はーい」

こいつらが話している相手にも、点を着けられる?

「簡単ですよー」

じゃ、お願い。

「ちょちょいのちょい」

いいのかね、そんな感じで。
かなりシリアスな場面ですよ、ここは。

「できましたー」

じゃ、こっちの点の音は、ずっと聞こえるようにしといてくれる?

「はーい」

ローブの二人の方は、聞きたいときだけ聞けるようにしておいてね。

「ういういー」

あ、服だと脱ぐことがあるから体にくっ着けておいてね。

しかし、今回の事で分かったけど、点ちゃんてホント凄いね。

「え~、そんな事ないですよ~」

(〃´∪`〃)ゞ

いや、気持ちバレバレだから。

点ちゃんが、いてくれてホント嬉しいよ。
頼りにしてるよ、点ちゃん。

ぴかっ!

お! 点ちゃんか? 

いや、自分が光るやつか!

うえっ! こりゃ、今までで一番まぶしいな。

暗い路地裏が光に満たされる。

スキル確認のパレット(板)を出してと。

みょんみょんぴーん

ちょんちょんと。

点魔法 レベル9 拡張時間指定 

あれ? 今回のスキルアップは、これだけか。
点ちゃん、拡張時間指定って何?

「今までは、時間が立てば点に戻ってましたよね」

ああ、戻ってたね。

「その点に戻るまでの時間を、決めることができます」

ん!? それって、超便利じゃないの? 
もう、パレットを出しても、消えないってことでしょ?

「はい、そうですよー」

やったね。
じゃ、その検証はまたにして。 
レベルアップもしたし、帰ろうか、点ちゃん

「はーい。 今日はご主人様といっぱい遊べて、楽しかったですよー」

点ちゃんにとっては、遊んでただけなのね。

こっちも楽しかったよ。 
ありがと、点ちゃん。

「えへへへ~」




史郎が「点魔法 拡張時間指定」のとんでもない力に気付くのは、まだまだ先のことだった。

-------------------------------------------------------------

その後、コウモリ男を調べてみて、案の定レッドドラゴンたちの殺害に関わっていることが分かった。

えっ? なんで顔(かお)も見(み)ずにコウモリ男って名付けたかって? 

奴が屋敷から出るときに顔を確認したからだよ。
ついでに、尾行が下手なローブ二人の顔も確認しておいた。

蝙蝠男が、ゴブリンキングの死に方と、レッドドラゴンたちに起こったことを、結び付けるようなら、こちらも行動を起こす必要があるが、どうやらそこまでは頭がまわらないらしい。

こちらから見ると十分怪しいのにね。
まあ、俺が当事者だからかもしれないけど。

少し心配なのは、どうもコウモリが聖女と接触しようとしていることかな。

くっつけている点から得られた情報だと、今のところは、難航しているようだが、それでもなんとかしようと手を尽くしているようだ。

あんな奴が舞子に接触したら、危険極まりないから、本当に二人が会うようなことになったら邪魔しないといけないかもね。


この懸念がやがて現実のものとなるのを、史郎はまだ知らなかった。

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