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第一章 冒険者世界アリスト編
第32話 開戦発表
しおりを挟む「アリストは本日をもって、隣国マスケドニアへの開戦を宣言する」
王の間に呼び出された勇者、聖騎士、聖女の三人は、国王から開戦の知らせを受けた。
史郎との事前の打ち合わせで、三人はわざと驚いた顔を作ったが、気づかれた様子はなかった。
「いつ、決まったんだ?」
「いや、以前から開戦の準備はしておったのだ。
お主らに知らせるのが遅くなり、申し訳ないが、なにせ国の機密でな。
話したくとも話せなかったのじゃ」
アリスト王が取り繕った理由を述べる。
加藤たちは史郎からの情報で、それが嘘だと分かっていたが、特に反論はしなかった。
打ち合わせておいた点だけは、突っ込んでおく。
「俺たちは、戦闘に参加しないよな」
「そうしたいのは山々じゃが、国の存亡がかかったときには、ぜひ力を貸して欲しい」
問題は、国の存亡の時がいつか、それを決めるのが王自身であることだ。
「分かったよ。 しかし、どうしてもの時以外は、参戦するつもりは無いから」
加藤は、史郎から決められた通り応えておいた。
勇者たちが思ったより大人しく話を聞いたので、王の取り巻きは、ほっとしたようだ。
「あ、そうそう。 戦闘に備えて、実戦訓練をしておきたい。
城の外に出て、モンスターを討伐する許可を出してくれ」
「うむ、騎士が同行してもかまわぬか?」
「かまわない。 では、頼んだぞ」
加藤が、最も肝心なことを最後に言い終えると、三人は、さっさと王の間を退出した。
「陛下、あのようなご許可を出してもよろしいので?」
宰相は、渋い顔をしている。
「まあ、世間知らずの若造をコントロールするなどたやすいことよ。
戦闘参加の言質さえ取っておけば、あとは何とでもなる」
「さすがでございます」
「とにかく、国民に開戦の触れを出しておけ。
穏健派が、ぐだぐだ言い始めぬ内にな」
「ははっ」
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割り当てられた部屋に戻りながら、加藤達は自分が退室した後の、王の間のやり取りを聞いていた。
もちろん、点ちゃんの能力である。
「はー、とんでもない国に来ちまったな」
「加藤、あんた本当に分かって言ってんの?」
「そりゃ、俺でも、少しは考えるさ」
「それならいいんだけどね。 とにかく気を付けて行動するのよ。
怪しまれたら、本当にまずいことになるんだからね」
「分かってるって」
部屋を出た後、指輪は史郎が用意してくれた「箱」に入れてしまってある。
「しかし、これ便利だなあ。 俺にもできないかな」
「あんたみたいな脳筋には、無理に決まってるでしょ」
「まあ、いいや。 俺は、体力で勝負するさ」
「だから、戦争に利用されようとしてるんじゃない。
しっかりしなさいよ、ホント」
口では、畑山に敵わない。
部屋に戻ると、点魔法の箱から指輪を取り出して、再び指に付けておく。
「さて、討伐の打ち合わせしとかないとね」
畑山がメイドに頼んで、レダーマンを呼んでもらう。
「討伐で実戦訓練するんだけど、もう連絡受けてる?」
「うかがいました。 こちらに任せてもらっていいですか」
「まあ、それでいいけど。 最初は慣れないからベテランのサポートが欲しいのよね」
「というと?」
「モンスターの討伐を、生業にしている人達がいるんでしょ?」
「冒険者のことですね」
「初めの何回かは、その人たちにも討伐に同行してもらえる?」
「ギルドに依頼を出せば、可能でしょう。
しかし、騎士団にも、討伐経験者はいますよ」
「騎士からは、いつでも習えるじゃない。
折角だから、その道のプロからも学びたいのよ」
「そういうことでしたら、許可が出ると思います」
「お願いするわね」
「承りました。
討伐には騎士団も同行しますが、よろしいですか」
「なんの問題もないわよ。
じゃ、お願いね」
「はい、分かりました」
こうして勇者達は、着々と計画の準備を進めるのだった。
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