気づいたら何故か、めちゃくちゃかわいい卑弥呼と暮らすことになったんだが

日菜島ニゲラ

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第7話 二人にとっての神様

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「むー…また雨じゃな…」

「梅雨ですからね…」

 村を見回った日から数日続いて雨だ。
 
 時刻はまだ12時前だ。谷崎はスマホで時間を確認するとすぐに電源を切る。谷崎と一緒にタイムスリップしてきたバックの中に、興味本位で買っていた太陽光パネルが付いている充電器がたまたま入っていたが最近は梅雨で充電ができない。

「つまらないのう…」

 弥生時代だと娯楽は少ない上に雨だとほとんどない。

「卑弥呼さんは雨の時いつもどうしてるんですか?」

「んー…雨の日じゃと占いや部屋の掃除、召使いらと話をしたり、取ってきた木の実を並べたり…」

「ん?木の実を並べるんですか?」

「そうじゃ。木の実が綺麗でな、つい並べてしまうんじゃ」

 卑弥呼は壺の中に入っている木の実を取り出す。それは色鮮やかで、とてもきれいなものだった。

「うわぁすごくきれいですね」

「そうじゃろ!…まあこんな事くらいかの」

「やっぱり娯楽が少ないんですね」

「何か未来の遊びとかないかの?」

 卑弥呼に聞かれ、谷崎は考える。

「未来の遊び……将棋とかはどうですか?」

「しょう…ぎ?どんな遊びじゃ?」

「こんな形の駒を使う遊びです」

 バックを漁りノートと筆記用具を取り出し、将棋の駒の形を書いた。

「不思議な形じゃな」

「この形の駒を沢山用意するんです。その駒には王将、金将、飛車などの色んな役割があって………で敵の王を取ったら勝ちです」

 谷崎は卑弥呼に一通り将棋のルールを教えていく。

「よし!これで遊ぼう!」

 谷崎はノートの紙をハサミで切って盤や駒を作り、名前を書いて将棋の代用品を作った。

「では始めますよ」

「そうじゃ!勝った方が、負けた人に何でも言うことを一つ聞ける事にしよう!」

「いいですよ。でも僕は将棋部に入ってたので強いですよ」

 数十分後、

「ま、負けた……」

「やった!わらはの勝ちじゃ!」

 経験者である谷崎はボロ負けした。

「もう、もう一回!……」

「往生際が悪いぞ!」

 卑弥呼は笑っていたがあるものに気づき、ぎょっとした顔をする。

「?どうしたんですか?」

「あ…あれ……」

 卑弥呼は震えながら指を差す。指した方向を見てみると…床にクモがいた。それに少し大きめの。

「…クモじゃよな」

「…クモですね」

 谷崎と卑弥呼は大量の冷や汗をかき、少しずつ後退りをする。

 するとクモは少し動いた。

 ピクッ

「いやぁー!?!」

「うわぁ!?!」

 谷崎と卑弥呼は素早く逃げる。それにクモも付いて行く。

「何で付いてくるのじゃ!?」

「あ、あっち行け!!」

 谷崎と卑弥呼はクモに追いかけられる謎の事態が起き、遂に部屋の角に追い込まれてしまった。

「ほ、ほら!谷崎!このクモをどうにかしてくれ!」

「むむむ、無理です!僕はクモがこの世の中で一番嫌いなんです!」

 谷崎と卑弥呼はクモの対処を押し付け合う。

「ほ、ほら!何でも言う事聞くのじゃろ!早く!」

「無理なものは無理なんです!ほら、魔法でどうにか出来ますよね!」


「それには時間が掛かるんじゃ!…あ」

 卑弥呼は脚をくじき倒れる。

「あ、危ない!」

 倒れる卑弥呼を受け止めようとしたが谷崎は受け止めることが出来ず、倒れてしまう。そうしたら谷崎の上に卑弥呼が乗る様な感じになってしまった。

「ああ、すまん…大丈夫かの?」


「大丈夫です…クモ!」

 谷崎と卑弥呼はそんな状態も気にせずクモを見る。

 すると、クモがピョーンと跳んできた。

「いやあぁー!!神様!お助けを!!」

「終わった……」

 するとクモが家の外へ弾き飛ばされた。

「「……え?」」

「何をしているのですか?」

 召使いの少女がやって来た。

「…お主い、今、素手で…」

「今はそれは関係ありません。クモでこんなに騒がないでください」

「すまんのう…」

「すみません…」

少女は、はぁ…とため息を付く。

「…あの…いつまでその様な体勢をするのですか?」

「え?あ!?」

 自分が谷崎に乗っている事を思い出し急いで立ち上がる。

「痛くなかったか?大丈夫かの?」

「全然大丈夫です」

 彼女はまた、ため息を付く。

「…ではこれで失礼します」

 少女が帰ろうとした時、

「ま、待ってくれ!」

「待ってください!」

「…どうしましたか?」

「有難う!」

「ありがとうございます!」

 谷崎と卑弥呼は深呼吸をし、強くお礼をする。

 少女は少し笑い、

「ふふ、大袈裟ですよ」

 そう言って少女は帰っていった。

 谷崎と卑弥呼は彼女を見送り、そして、思った。

「神様じゃ!」

「神様だ!」

 二人はこの世に本当に神様がいるとすれば彼女なんだなと思った。
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