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6.何度も…
しおりを挟む「なんだその頷きは?」
ここにきて、そんなご無体な質問を…。分かるでしょ?分かってるクセにこのドSッ。思わず首を左右に振ると、豊さんは無表情のままこう言った。
「言葉にしてくれないと、分からない。それはアレか?俺に抱かれてもいいと。そういう意味で頷いているのだろうか?」
今度はコクコクと激しく頷く。するとまた豊さんは私に言うのだ。
「じゃあ、ハッキリ頼んでみようか?俺に『抱いてください』と」
…へ?
なんで立場が逆転しているワケ?
さっきまで貴方、切なげに私を見てましたよ?
それがどうして命令口調になるの?
しかし、そんなことはどうでもイイ。
私はこのチャンスを逃したく無いのである。
萎えそうになる気持ちを必死で鼓舞し、頑張って私は口を開いた。
「うー、うーっ」
だがしかし、やはりハードルが高過ぎる。言わされる内容はもちろん、言う相手がこの人だなんて。
「ふ、ふははっ、早く言えよ」
楽しそうですね。『女子には優しくしましょう』とお母さんに習いませんでしたか?──いろいろと検討した結果、私は潔く諦めることにした。
「えと、おやすみなさい」
そうだ、最初からこうすれば良かったのだ。なぜ無謀な挑戦をしようと考えてしまったのか。
「は?!ちょっ、待て!!もっと頑張れよッ」
「私にも羞恥心というものがございまして。これ以上の辱めは耐えられそうにありません」
正座したままペコリとお辞儀すると、そのまま抱きかかえられ。勢いよくベッドに投げられた。まったく、雑な扱いだな。私をいったい何だと思っているのか。心の中でそう抗議しながら覆い被さってきたその人を睨む。
これではもう逃げられない。仰向けの私の両膝を割って、膝立ち状態の豊さんが接近してくる。立っているのは膝だけでは無い。ゴニョゴニョ(※自己規制)も勃っていた。
こ、興奮しているのか、この人??
いや、私もそれなり…いや、正直に言おう、かなり激しく興奮しているのだが。
「ああ、もう本当にお前は行動が読めないな。ったく、例の婚約破棄の件といい、押しに弱いと評判だぞ?だから今回も俺の押しに負けたと思いたくない」
…ああ、だから。
だから私の意思を確認したかったのか。
それなら、そうだと言ってくれればいいのに。
「だ、抱いてくださいッ」
「……ッ」
恐ろしいほど満面の笑みで、豊さんは私の手を恋人繋ぎにする。そして手の平にキスをしたかと思うと、嬉しそうに呟くのだ。
「仕方ないなあ、じゃあ抱いてやるよ」
それほど男性経験が多いワケでは無いが、そんな私でも分かる。…豊さんは『段取り男』だ。神経質であるせいか、こんな場面でもこの人なりの手順があるようで。そのあまりにも事務的な動きが、高ぶった感情を徐々に冷めさせていく。
はいはい。次はそこを揉んで…『ヨシOK!』と。で、その次の段階に移るのね??きっと相手が誰であろうと、同じ手順で繰り返しているんだろうなあ。なんかソレって、失礼じゃない?何もかも忘れて夢中になるほどの女じゃ無い…そう言われているようで傷つくんですけど。
肩紐を外され、かろうじて肋骨辺りに留まっているブラジャーを外して放り投げ。それからパンツ1枚の姿で、私は豊さんの背後から抱き着いた。
「奈緒さん?いったい何を…」
「そんな段取り通りに動いて、気持ちいいはず無いでしょ?もっと厭らしくなってくださいよッ」
その昔付き合っていた彼は、とにかく乳首を触られるのが大好きな男で、行為の際は必ず『弄ってくれ』と懇願してきた。だから私はどの方向からでもそこを探し出して弄り倒せるのだ。
「あっ、ううっ」
「これ気持ちいいですか?」
なんかもう全て吹っ切れていた。だって、ここまでしてしまったのだから今更恥ずかしがっても無意味だろう。奴隷から女王様へいきなり昇格した気分だ。豊さんは私のすることにいちいち反応し、そしてすぐにそれを受け入れた。
「な、奈緒さん、これはいったい…。キミはもしかして物凄く経験豊富なのか?」
「ちっ、違いますよッ。経験豊富なのは昔付き合った彼氏の方で、その人から様々な技術を叩き込まれたのです」
あと、愛情ね。
気持ち良くなって欲しいと思うからこそ、いろいろご奉仕出来るんですよ。…なんて、死んでも言いませんけど。ああ、もう豊さんがグズグズに溶けてる。普段は冷静で、崩れた姿を見せない男の乱れまくった姿態に子宮がキュンキュンする。
「ヤバイ、もうほんとヤバイ。お前、いったいどうなってるんだ??気持ち良すぎて、まるで天国にいるみたいだ」
「…行きましょう、一緒に天国へ」
脳からおかしな何かが分泌され、2人とも既に正気では無くなっていた。そしてそのまま一気に繋がり、互いの熱を高め合いながら何度も何度も果てた。
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