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25.龍の恋愛事情
しおりを挟む軽いパニック状態に陥った私は、半笑いのまま固まってしまう。いや、あの、どう答えれば?
「え…っと、でも、私、今はもう圭くんと付き合うことで同意してしまったし…」
「は?そういうことを訊いてるんじゃないんだ。だいたい、付き合って2日目でアレも半分しか入らなかったのならクーリングオフ出来るだろ。希代、俺と御門さんのどっちが好きかを答えろ」
「クーリングオフって、モノじゃあるまいし~」
「いや、お前が言い出したんだがな」
「半分でも入れられたことに間違い無いよね?」
「いや、出されて無いならノーカンにしてやる」
何を言っても反論される。なんと口が達者な男なのだろうか。ちょっと感心していると、再び龍のターンになってしまう。
「希代はそこそこのイケメンと付き合いたかったんだろ?だったら俺がその条件にピッタリだ。恋愛はな、先着順じゃねえんだよ。本当に好きな方と付き合うべきなんだ。…取り敢えず今日はこのくらいにしといてやる。急だったからな、じっくり悩んで答えを出してくれ」
「あ…っと、うん、はい」
ここで『待たなくてもいいよ、私には圭くんがいるから』と即答できなかったのは、アレコレ考えてしまったからだ。だって龍は一番仲の良い同僚であり友人でもある。そう、私にとって仕事でも私生活でも絶対欠かせない存在なのだ。好きか嫌いかで答えると勿論好きだし…いや、大好きだし、それを圭くんと比べるとベクトルが違うと言うか犬も好きだけど猫も好きみたいな話になってしまうと言うか。
考えれば考えるほど分からなくなってきた。2人とも同じくらい好きかもしれない…。もしかして龍から先に告白されていたら、私はそっちを選んだのだろうか?
「あのさあ、龍。ひとつだけ訊いてもいい?」
「え、ああ、何だ?」
「錯覚とかじゃなくて本当に私のことが好き?何というかさ、ほら、スキー場で会ったら素敵だったけど、街で会ったらダサダサだったとかよく聞くじゃない?」
『なに言ってんだコイツ』と言わんばかりに、龍の顔が歪み始める。
「職場に女が1人しかいないから、この平凡の凡子が“素敵フィルター”で十割増しに見えてしまっているのかもしれないってこと」
「は?バカか。俺はな、そんな理由で女を好きになったりしない。…俺さァ、未来の後に付き合った同期の女がいるんだけど、実は何もかもソイツに騙されてたことが分かってな。ソイツ、最初は俺の同期の男と付き合ってて、俺はその男といつもツルんでたんだよな。…で、ある日突然、未来が俺の前から姿を消して。連絡も取れなくなって、ショックでボロボロになってた時にソイツが慰めてくれて。まあ、弱ってたもんで友人の彼女なのに手を出しちゃったワケ。それが驚くほどアッという間に周囲にバレて、俺とソイツは仲間内でハブられるんだな。まあ結局それで付き合うんだけど。ところが暫くして分かったんだよ。未来に有ること無いことベラベラ喋って、俺から遠ざけたのがソイツだったってこと。最初から俺狙いで前の男とも付き合ってて、全部計算だったんだ」
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