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杉崎コワイ(鈴木Side)
しおりを挟む※引き続き鈴木Sideです。
──────────
シ──ン。
静けさが身を刺すようだが、そこで主任がボソリと言う。
「なあ、プロポーズをやり直した方が良くないか?俺が言うのもナンだけど、鈴木って女グセ悪いし。せめて『お前だけは特別だ』とアピールしておかないと、本気度が伝わらないぞ?
あとさ、指輪くらい渡しとけよ。
お前、何もかも手ェ抜き過ぎ」
ハイと膝を正し、そこから俺は動き出すのだ。
「えーっと。取り敢えず必要なのが、婚約指輪とレストランの予約かあ」
ネット検索し、まずは指輪探しから始めてみる。なんかもう全部一緒に見えるのに、値段の振り幅がエグイ。
「えーっと、相場は全国平均35万円ちょい。カラット、カット、カラー、クラリティを選択後にリングの素材とデザインを決めろだと?ううっ、もう一生決められない気がしてきた。いや、まず何処で買うかだよな。指輪ケースが立派なら、全て許されそうだし。
取り敢えず海外ブランドの有名どころを選んでおけば、無難か。って、こんな店に入れるのか、俺??」
…ひたすら自問自答を続ける。
とにかく美玲の薬指のサイズを訊いておかなければ。いや、サプライズなんだから訊いちゃダメなんだった。ううっ、フレンチレストランなんかもうどこでもイイや。それよりも俺、長い間フレンチなんか食べてないし、美玲に恥をかかすことになるんじゃないか?
あいつ、『自分にご褒美』とか言って、ちょくちょく高そうな店でメシ食ってるしな。あー、眠い。最近、あまり寝てないんだった。
はっ!ちくしょう、寝ちまったぞ。
もう今日は諦めて、明日ゆっくり考えようっと。
…てなコトを数日のあいだに何度も繰り返し、ようやく俺は決心した。人間には、得手不得手があるのだと。であれば、それを『得手』とする人に助けを乞うてしまおうではないかと。
そんなワケで待ちに待った同期会。
俺は勇気を出して杉崎に言う。
「一生のお願いだ。最高のプロポーズにしたいから、助けてくれ」
「んっと、確認するわよ。相手のことが本当に好きで、相手の為に一生懸命頑張れるんでしょうね?」
「そ、そりゃもちろん。世界で一番可愛いと思ってるからなッ。自分でもどうしようもないくらい、大好きだ」
「そんなに好きだと言われちゃ、仕方ないわね。うん、付き合ってあげてもいいわ」
ガッシリと握手し、それからはもう杉崎を師と仰いで必死に頑張った。
次々と出される、数々のミッション。…美玲が寝ている間に糸を使って薬指のサイズを測り、ついでに下着のサイズも調べて来いと。俺自身もスーツを新調させられ、テーブルマナーをみっちり叩き込まれた。
「分かってるわよね?サプライズなんだし、少しでもバラしたら殺すわよッ!!」
「うう、杉崎コワイ…」
何もかもがスパルタだったが、
どうにかこうにか当日を迎え。
いま、目の前で美玲がキラキラと笑っている。
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