朝日家の三姉妹<1>~香奈の場合~

ももくり

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日向の関係

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 酔っているせいか、デリカシーを失った内藤さんの声は徐々に大きくなっていく。
 
「だ~か~ら~。それはどうでもイイ女の場合で、惚れた女は別モノだつってんだろッ!可愛い彼女にだったら最高のシチュエーションを用意して、一晩かけてゆ~っくりお相手するさ」
 
 うんうん。

 って、なぜか店内のオジサン連中が一斉に頷いているんですけど。
 
 もしや私達の会話を聞いていたりしますか?だってほら、カウンター越しに店長っぽい親父さんまで頷いてるしッ。そんなのプライバシーの侵害です!と文句を言いたいところだが、残念ながら内藤さん自身が拡声器の役割を果たしているため、怒るに怒れない状態だ。
 
 おのれ、内藤めッ。
 
 調子こいてジョッキ3杯もビールを飲んだりするから、こんなことになってしまうんだぞ。しかも空腹時にグイグイ飲んだせいで、顔どころか首までほんのり赤いし。
 
「いいじゃないか!香奈ちゃんはまだ23歳なんだから、知らないことが有っても全然おかしくないよ。どうして知らないことを恥ずかしがるのかな?神様じゃあるまいし、経験してみないと分からないのは当たり前だろう?
 
 好奇心を失くしたら人は成長しなくなる。
 
 セックスに限らず、初めてのことに対して『恥かしい』より『知りたい』と思わなくちゃ。さあ、勇気を出して言ってごらん『私はセックスが知りたいです』と!!」
 
 
 言えるか、ボケ。
 
 うら若き乙女がオジサンだらけのホルモン店でそんなことを叫んだら、アッという間に連行されてしまうわ。それにしても、この人ってお酒には強いはずなんだけどな。もしかして本気で酔ってるとか?探るようにその目を覗き込んでみると、穏やかなその表情が一瞬崩れ、頬の赤みも増していく。
 
「えっ」
「あっ」
 
 つられて私まで赤くなってしまったではないか。
 
「んっ?」
「おっ?」
  
 もう殆ど会話になっていないのに、相手の気持ちが分かってしまうという不思議。

 男として、そして女として意識していないと断言していたはずが。いま明らかに私達は、互いを意識し合っている。それは多分、大介さんからの告白が影響しているせいに違いない。
 
 ずっとこのままでいいと思っていた日向の関係。
 そこにほんの少しだけ差した、影のような。
 
 もしかして内藤さんは私のことを?
 いやいや、そんなの有り得ない…。
 
 
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