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セクシーでワルな男
しおりを挟むじゃあ何と呼べばいいのよ。
それに便乗する美香ネエもどうかと思う。
「お気に障ったのでしたら申し訳ありません。でしたら、そちらから呼び方を指定してくだされば」
「は?自分で考えるんだなッ。そんな風に他人に判断を丸投げする男はダメだ」
「そうだそうだ!お父さん頑張れ~!!」
うう、お父さんったらウザイ。
そして美香ネエはもっともっとウザイ。
「では、“香奈さんのお父さん”と。そう呼ばせていただきます」
「まどろっこしいから却下」
ココでとうとう私がキレる。
「ちょっとお父さんッ!そういう子供みたいなくだらないことを言うのはヤメてよ!これじゃ話が全然先に進まないでしょッ」
「うるさい、香奈は黙ってなさい!」
「そうよそうよ!お父さんカッコイイ」
この恋を応援してくれる人は誰もいないのか…。そう思ったら急に悲しくなって泣きそうになる。すると、意外な援軍が現れるのだ。
妹の奈月が瞳を輝かせてこう呟いた。
「内藤さんってワルな感じがして…素敵。凄いじゃない香奈ネエ!こんな人をどうやって落としたの?やだ、もう、マジでタイプ~~!なんか胸がキュンキュンするう~、いいッ私は賛成!!『お義兄さん』って呼んじゃうううッ」
そして母も。
「お、お母さんもいいと思うわ。今まで誰にも本気にならなかったプレイボーイが初めて真実の愛に目覚めたのでしょう?実はお母さんね、御三家の中では一番ヒデキが好きだったのよ。なのに周囲からヒロミにしろと強要されて…。
ほら、お母さんってお嬢様だったでしょ?級友たちはセクシーでワルなヒデキを敬遠したのね、それでヒロミVSゴロウという二大派閥での争いになっていたから、とてもヒデキを好きとは言えない雰囲気だったワケ。でも今なら、そう、今なら声を大にして言えるわ!
…お母さんは内藤さんを気に入りましたッ。
香奈、やっぱりお前はお母さんの子ね!!セクシーでワルな男性を選んだのは、これもう絶対にお母さんの血を引いてるからよ」
これはマズイ。
何故なら父はセクシーやワルとは真逆の、繊細で神経質な人間だからである。案の定、母が並べたお茶請けの羊羹をワイルドに楊枝でブッ差しながら父は言う。
「俺は反対だッ!!大事な娘をそんな浮ついた男になんぞ任せられるかッ!!」
「そうだそうだ!お父さん頑張れ~!!」
朝日家、分断。
父派と母派でクッキリ分かれてしまったの巻。
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