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Unknown Planet
しおりを挟む何かの波に乗ってしまったのか、続けば続くもので。三沢くんからの告白、初めて知った兄の真意、そして次に旧友と再会する。
数日後の土曜、私はムーさんとノッチの3人でカフェランチを楽しんでいた。女友達というのは時に冷たく、時に温かい生き物で、どうやら2人とも私が三沢くんと上手くいかなかったことを知っているだろうに、一切その話題には触れてこなかった。いや、いっそ触れてくれた方が事情を説明出来るのに、恐ろしいまでのスルーっぷりだったのである。
きっと三沢くんのことだから、先手を打って伝え済みなのかもしれない。『俺の好みじゃなかった』とか『気が合わなかった』などと、さも自分が振ったかのようにして報告した可能性は大いに有る。だとすれば、そこはかとなくムーさんから漂ってくる気遣いも納得出来るというものだ。とにかく振られた私を労わるつもりらしく、彼女はこんな代案を用意してきた。
「あのさ、アッちゃん。私ね、この前とっても懐かしい人と再会したんだよ!誰だと思う?」
「え~っ、誰だろう?分かんないなあ~」
ムーさんはグフグフと笑いながら答える。
「カズって覚えてる?ほら、久瀬和也くん」
「えっ、ああ、もちろん覚えてるよ。だって男子の中じゃ一番仲良かったし」
私の通っていた学校はいわゆる名門の小中高一貫校で、生徒はどこぞの令息や令嬢という感じの人ばかりだった。正直、そんなハイソな学校はまったく性に合わなかったのだけれども、庶民出身の父が強く希望したので仕方ない。なんとなく行動を共にしていた女友達は偏見と見栄の塊だったため、本音で会話することも殆ど無く。ただただ波風を立てず淡々と時間を過ごしていれば平和なはずだったが、残念ながらそうもいかなくなった。
ホスト狂いの母親がいるという噂が広がったからだ。
『そんな家のコと仲良くしてはいけません』という通達が各家庭になされたらしく、私は分かり易く虐められた。さすがに良家の子女と言おうか、その内容は無視と中傷オンリーだったものの、日頃から甘やかされて育っていた私には非常にダメージが大きく、そのまま登校拒否に突入してしまうのである。
でもまあそれは何だかんだと色々あって私は新たに仲良くなった4人の女子に救われるのだが、その辺りの話は端折るとしよう。ちなみに今ココにいるムーさんとノッチは救ってくれたうちの2人だ。
さて、話を本筋に戻すが、先程話に出て来た『カズ』というのは、小学生の頃に一番仲の良かった男子だ。中学時代に虐められていた際も、彼だけは態度を変えることが無く普通に話し掛けてくれた。人懐っこくて可愛らしい顔立ちの彼は、誰からも愛される人気者だったと思う。
「そのカズが友達の友達だったのね。で、この前、サークルの打ち上げで偶然会って連絡先の交換をしたの」
「へえ、そうなんだ」
「はあっ?反応薄くない??だって、高校の時とか結構イイ感じだったじゃん、アンタたち」
「イイ感じ…」
とは、いったい何ぞや?きっとソレ、世間話をしていただけだと思うんだけど。戸惑う私にムーさんは尚もカズを推してくる。
「アッちゃんの話をしたら、カズも会いたいと言ってたよ。だから呼んでおいたの、ふふっ、今から来るって」
「そっか、来ちゃうんだ」
正面からイ~ッという呟きが聞こえたが、だって何とも思っていないのだからしょうがない。菩薩のように微笑みながらカフェの片隅でちんまり座っていると、後ろ斜め方向からその人が颯爽と登場する。
「ごめん、待たせちゃったかな?あっ、明恵~ッ!!お前、久々だな」
「カズ?!うわあ、なんだその茶髪にピアスは~」
顔自体は変わらないのに好青年だったはずのその人は見るからに軽薄そうに様変わりしており、時の流れをシミジミ感じているうちに隣席へと腰を下ろされた。
「なにジロジロ見てんだよ、俺、どこか変?」
「うん、なんかちょっと私の知ってるカズじゃないみたい」
どこがどう、とは上手く言えないがでも確かに昔のカズでは無くなっている気がしたのだ。その違和感を払拭するかのように、話し始めるとスグにあの頃へと引き戻された。なんだ、気のせいか。外見だけで判断して悪かったな、やっぱりカズはカズのままだ…そんなことを思いながら話は尽きず。
私達はそれ以降も2人だけで頻繁に会うようになるのだ。
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