朝日家の三姉妹<2>~美香の場合~

ももくり

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美香編

手練れの望月

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 決別を決意した私は決心も新たに
 
 …何だか妙に『決』が多いな。えっと、もしや決め過ぎ?ふるふると首を左右に振り、改めてッ!!
 
 決別を心に誓った私は腹を据え
 
 …うーん、これだとまどろっこしくて勢いを感じないなあ。でも、まあいいわ。
 
 最近、新入社員の日報をチェックさせられているせいで、文法とか言い回しが妙に気になるのよね。これはもう職業病とでも言いますか、もう体に染みついてい…
 
「美香さん?行きますよ」
「あ、う~ん!」
 
 会計を済ませて店を出た私たちは駅に向かって歩いていたはずだった。いや、そう思っていたのはどうやら私だけのようだが。

「へ?何ココ…」
「あー、なんかこのホテル評判いいそうですよ。朝食ランキングではいつも1位か2位らしくて、バイキングなんですがイクラかけ放題ですって」
 
 ゴクリと喉が鳴った。
 
 残念ながらイクラは大好物だ。な、なんで今日に限ってそういうホテルを選択するの?いつもはいわゆるラブホで朝食はコンビニで買って来たパンかおにぎりだったのに。澄まし顔で私を見ている望月が急に憎くなる。

「いや、でも、先程の宣言通り、私は他の男を探すことに決めたからッ」
「へえ~、そうなんですか」
 
 な、ちょ、ムカつくううう。
 
「だから帰るね!もう望月とは会わない」
「シーッ。美香さん、ホテルの入口で騒ぐのはマナー違反ですよ。とにかく中に入りましょう」
 
 え?えええっ??
 
 右手首を掴まれ、腰もホールドされた。
 
「望月って何でも冷静に対処し過ぎだよッ!絶対に場慣れしてるでしょッ?!」
「ええ、まあ…人並みには」
 
 そんな話をしながらもズンズンとホテルの中を突き進み、チェックインも済ませ、いつの間にか室内にいる2人。
 
「だから、どうして分かってくれないの?望月と遊んでるヒマは無いんだってばッ」
「だったら…本気になればいい」
 
 ふあああああっ。
 誰か助けて!望月が、カッコイイ。
 
 こんなのもう無理なんですけどッ。やだもう、子宮がズキズキする。あの言葉だけで受精しちゃったかもしれない。って、いったいどんなテクニックなのよッ?!
 
「うーっ」
「もう美香さんは俺のだから絶対に離しません。また別れるって言ったら、カラダで分からせてあげますからね。ほら、気持ちいいでしょ?俺の指、こんなに美香さんの中に入るんですよ」
 
 水音が段々と大きく響き出し、思わず声が出た。
 
「あ…ん」
「別れるって言ったの、撤回してください」
 
「撤回しない…んッ、別れると決め…あん」
「撤回しないと、コレあげませんよ」
 
 ズボン越しに望月の望月が存在を主張している。今まで望月が与えてくれた快感が次々と浮かんできて、抗えなくなってしまう。
 
「望月の意地悪。もう無理、我慢出来ない」
「じゃあ言いましょうか?別れないって」
 
「わ、別れない」
「はい、確かに聞きましたよ!」
 
 …てな感じで呆気なく望月の手中に落ちた私は、関係継続を約束させられてしまったのである。
 
 
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