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美香編
運命の日曜日
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ボクシングで例えると1ラウンド目でKOされたのに、そのまま延々と殴り続けられて朝を迎えたという感じだろうか。
クリオネなのに絶倫とか恐ろしいな望月。
最後の方はもう、抱き潰されたというか最早、横たわっているだけの状態だったと思う。ようやく解放してくれた望月はかいがいしく私の体をタオルで拭きながら何度もキスした。なんだかそのキスがあまりにも優しくて、とうとう私は観念してしまうのだ。
「あのさ…私ね、望月のことが好きかも」
「そうですか!奇遇ですね、俺もですよ」
あはは、軽ぅい。
言っとくけど、私の『好き』はそういう『好き』じゃないから!!…でも、もういいや。だって好きじゃない人と結婚なんか出来ないし、それならば一生、この男に片想いし続けてやろう。
うん。お父さんにも正直に言って先に香奈たちを結婚させて貰うんだ。大丈夫、お父さんならきっと分かってくれる。…こんな私の気持ちを。
「内藤に言ってお見合い断らなくちゃ」
「はい、明日の朝イチで連絡してください」
それから繋いだ手にチュッチュとキスしながら望月は笑顔で私に言った。
「次の日曜は予定空けといてください」
「え?…ああ、うん…。ふわぁ…」
疲労困憊で意識朦朧としていた私は、この後の会話は殆ど覚えていない。段取りを決めるのが大好きな望月がどうやら何かをするらしい。
「俺、朝10時頃に美香さんの自宅へ行きますから…って聞いてます?大丈夫かな」
「ん~、分かったあ、大丈夫だよ…」
すやすや、すやすや。
翌朝、あまりの熟睡っぷりに望月に揺り起こされ、噂の美味しい朝食バイキングを心ゆくまで堪能し、激務な4日間を過ごしてそれでも足りずに土曜も出勤となり。
やっと迎えた日曜日。
約束どおり望月は私を迎えに来た。それだけで私は感無量だ。だって、この広い世の中で相手の家族に会ってしまうリスクを負いながら、実家まで迎えに来るなんて、
そんなセフレ、いる??
しかも身なりもきちんとしたスーツ姿で、
将来も有望という私ご自慢のセフレだよ!
玄関まで迎えに出て、さあ一緒に行きましょうかと外に足を一歩踏み出したその時。…何故か家の中に連れ戻された。
「えっ?出掛けるんじゃないの?」
「はっ?ご両親に会いに来たんだけど」
ワザワザどうして危険な真似を??するとこちらに来た母に向かって彼は言う。
「結婚の申し込みに参りました、望月です」と。
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