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2.みどり
しおりを挟む皆さま、おはようございます。
有川 翠です。
とうとう、その日が来たんだあ。
昨晩…ううん。一週間前から、ドキドキして眠れなくて。美容院で髪は可愛く揃えて貰ったし、あの邪魔なダテ眼鏡も外した。ボディクリームを塗って、全身イイ香り。制服のスカートの丈も、ほどよく短くして、少しだけ色付きのリップクリームも塗った。
そんなに変わってないと思うけど、この格好、久々なので恥ずかしい。残念ながら、おさげのクセがついたのか、せっかく解いても、巻き毛っぽくなってしまう。あの学校、そんなに校則厳しくないから、大丈夫だと思うけど。
いつも通り、バス停でトモと待ち合わせる。私の姿を見て、第一声、
「おお。これぞ翠ちゃんだわ。とうとう、待ちに待った日だね」
などと、私以上に感慨深げだったりして。コクンと頷き、いつものバスに乗る。えっと、なんだか周囲の様子がおかしい。今までは、平気で足を踏まれたり、乱暴に押しのけられたりしたのに。それが、なぜか今日は…。
ドラマでよく見るけど、誰かが、乗車口に壁ドンするみたいにして、私を守ってくれている。そっと顔を上げると、同じクラスの鈴木君で。思わず『有難うございます』とお礼を言ったら、耳まで真っ赤にしている。
次のバス停で人が乗って来たので、少し前に進むと、また誰かが私を守ってくれる。乗車中、万事この調子。暫くして、トモが手を引っ張ってくれたから、そのことを報告したところ、『当たり前じゃない、その姿の翠ちゃんを、邪険に扱う男はいない』と。
戸惑いながらも、バスを降りて登校。教室に入った途端、なぜかザワつく。普通に自席に座ったのに、皆んなが私を見て、何か言っているようだ。それから暫くして、学園王子がやって来る。
「キミ、転校生?俺、森野龍之介っていうんだけど。いやあ、一瞬、天使かと思ったよ。どこから来たの?驚きの美しさだね。キミレベルの女のコ、そうそういないよ」
「…えと。森野君?」
「うん、もう名前覚えてくれたんだ、感激!」
「そうじゃなくて」
私は話を続ける。
「からかってるの?有川だよ、有川翠。ごめんね、あまり面白くないから笑えなかった」
ピタッと教室内に静寂が訪れる。その直後、
「うええええええーーーーーッ??!!」
一斉に頓狂な声が上がった…。
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