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14.みどり
しおりを挟む「…そう?ほええ。わあ、ほんと?ふふ。でも、なんかそんな気がした~」
電話が終わり、スマホの画面を拭こうとしたらシュウちゃんがそれを奪い取る。
「ああ、もう、なんなのお前。この状態で電話に出るって、有り得ないし」
「え、だって。ねえ、聞いて聞いて。トモと森野君、本当に付き合うんだって。トモがいま言ってた。泣きながら告白されて、可哀想だから断れなかったんだって」
って、話、聞いてないよね?
え、うわ、そこはちょっと…。
「言っとくがな、俺も初めてだから。痛くても文句は受け付けないぞ」
「はい」
照れる。本当に照れる。
シュウちゃんに告白し、両想いになった途端、シュウちゃんの部屋に連れて行かれ。優しいキスのあと、そのまま服を脱がされた。恥ずかしいので、シーツを巻き付けたら、それを素早く奪われてベッドにドスンと。そこでスマホが鳴ったので即、応答してみたり。
相手はトモからで、森野君と付き合うことになったよって。ほら、アレだよね。『嘘から出たマコト』ってヤツ?
その声があまりにも嬉しそうだったから、
心配はしていない。
おめでとう、トモ。
「予想どおり、ちぃせえ胸だな。これは俺が頑張って揉まないと」
ふにふに。
シュウちゃんが優しく私の胸に触れる。
「予想どおり、尻はまあまあデカイな。まあ、これくらいの方がイイけど」
さわさわ。
シュウちゃんが優しく私のお尻を掴む。
いちいち『予想どおり』って付けるけど、そんなにしょっちゅう私の裸を想像してたの?シュウちゃんって案外、エッチだね。
う、うわッ。私にも一応、知識はあったんだよ。でも、そんなところに指を入れるなんて…。
「シュ、シュウちゃん?これって普通??」
「んああ、濡らさないとお前が痛いんだぞ」
濡れる?なにがどう濡れるのかな?
何?何なの??
おっかなびっくり。
冷房ついた部屋なのに、もう、シュウちゃんは汗びっしょりで。必死な顔してそれを続けている。
うわあ、うわあ。
こ、これが世間の皆さまのやっている、『愛の営み』というヤツなの?衝撃過ぎて、頭がついて来ない。
ん、ああッ。
「翠、エロイ声を出すなよ。ここ、気持ちいいのか」
口を両手で押さえ、涙目で頷く。初めては痛いだけなんでしょ?どうしてこんな、気持ちいいの?私、おかしいのかな。相手がシュウちゃんだから?だから、こんなに気持ちいいの?
ダメ、もう溶けちゃいそう。
痛いけど、もっともっとくっつきたい。
もっともっと、ねえ、もっともっと。
「バカ、もうくっそ気持ちいい。なあ翠、お前は?」
コクコクと私も頷く。
生まれて初めての経験なのに、誰からもやり方を教わっていないのに。なぜか体が覚えているの。
もしかして、DNAに組み込まれているの?
そして、生まれながらに決まっているの?
好きな人とソレをすると、
うんとうんと気持ち良くなるって。
…………
「ふう、暑いよお」
「くそ、もっと色っぽいことを言えっての。これで、無事、完了したから。俺は翠の初めての男ね。で、翠も俺の初めての女」
ぐふぐふとシュウちゃんが笑っている。私は頭の中がふわふわとしていて、何も喋ることが出来ない。ボンヤリと宙を眺めていたら、その姿を見て、シュウちゃんが言った。
「くそ翠、分かってるだろうけど、
俺の『不細工』は『超カワイイ』という意味で、
俺の『ブス』は『愛してる』という意味だから。
その都度、頭の中で変換しろよ?
ああ、もう本当に…不細工でブスなんだから」
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