荒神録─ Demonic Divinity Saga ─ 見えざる戦争

蓮實長治

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第1章:地獄のリベンジャー

コードネーム「ギャル」(1)

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 古典的な「巡回セールスマン問題」の変形だ。
 厳密解を出す確実な方法は、総当たり法しか無い。
 なので、AIによる解析であっても「準最適解」でしかなく、その結果、経路を割り出すAIによって「癖」が出てしまう。
 ここまでは、大学の共通科目レベルの……下手したら、高校1~2年生でも頭がいい奴なら理解出来る話だ。
 という話を、恐ろしい事に、ウチのIT担当の「レオ」が理解しているか疑わしい。多分、AIの取説に書いてある事を、さも自分の意見のように復唱しているだけだ。
 ともかく、私達は「レオ」がAIで割り出した……いや、AIが動いてるPCを操作するのは別に「レオ」じゃなくても出来る事だけど……「防犯カメラに補足される可能性が最も低い経路」に沿って、対象の自宅に向かっていた。
 私達の上部組織が、自称「正義の味方」に取って代わる為に日本各地で行なっている運用試験……その中で、私達のチームが割り当てられたのは、多分、「外れ」ケースだ。
 コードネームが「チーム・リーダー」のチーム・リーダーがアレだから仕方ない。
 多分、私達の隠れ家付近で噂になってる謎の妖怪の正体は、チーム・リーダーだが、御本人は、それに気付いてない。
『既に現場に到着した。突入する』
「はい、こちらも1分以内に到着します」
 相棒のコードネーム「オタク」……いや、長髪に眼鏡なだけで、このコードネームにされてしまっただけで、下手したら「レオ」の方が「駄目な中高年オタク」にしか見えないけど……が「リベンジャー」に応答する。
 念の為、戦闘要員の「リベンジャー」と、後始末部隊の私達は別経路で現場に向っている。
 現場に到着すると……始まっていた。
 ほぼ無音のEV電動車……しかも目立たない色の御蔭で、私が来た事に気付かれてはいない。
 勝負が付くまで、車から出ない方が良いようだ。
 ゴガッ‼
 古びたプレハブ作り建物……工事現場の仮設事務所……の外で「リベンジャー」が中年男の鳩尾を殴る。
「効かねえよッ‼」
 もちろん、車の中から聞こえる訳がない。「リベンジャー」のヘルメットに仕込んだマイクが捕捉とらえた音だ。
 男の顔が……徐々に変る……。表情が変っていってるんじゃない……。
 亀を思わせる顔に……。
 ブンっ‼
 男が「リベンジャー」を殴るが……。
 ゴキャっ‼
「えっ?」
 その拳は「リベンジャー」のヘルメットにブチ当たる。
 ガンっ‼ ガンっ‼ ガンっ‼
 何度も何度も何度も、「リベンジャー」が姿に変身しつつ有る中年男の足にローキック。
「な……何だよ……おめえは……?」
 攻撃が効いてるのかは……不明。
 しかし……自分より明らかに体格が劣る相手が、常人より固い皮膚に覆われた自分の体を、痛みを感じていないかのように、殴り続け、蹴り続ける。
 その異常な姿に……恐怖か……混乱を感じているらしく……段々と後退し……。
 次の瞬間、「リベンジャー」が「河童」の足を払う。
「えっ?」
 そのまま、河童は地面に叩き付けられ……更に、「リベンジャー」が「河童」に馬乗りになる。
「他の奴らは……どこだ?」
「あっ……」
「ここだよ、マヌケッ‼」
 背後に別の男が居る。
 そいつが、バールで「リベンジャー」を殴り付け……。
 幸いにも……ヘルメットで守られている頭だった。
 「リベンジャー」の片手が背後に何かを投げる。
 多分……近くに有った砂利か小石だろう。
 背後の男が一瞬、怯んだ隙に……「リベンジャー」は馬乗りになった相手の顔に肘撃ち。
 立ち上がり、振り向いた「リベンジャー」に、横殴りのバールの打撃。
「えっ?」
 効いていない。
 いや……効いていないように見えるだけだ。
 バールの男は、更に殴る殴る殴る。
 けど……「リベンジャー」は男に近付く。
「な……何だよ、これ?」
 怯みながらの打撃……あっさりと「リベンジャー」はバールを掴み……。
 しかし、「リベンジャー」は……バールを掴んだ自分の手を見ているようだ。
 マズい……。もう限界が来てる……。
 どうやら……手に力が入らなくなっているらしい。
 そして……
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