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第5章:燃ゆる女の肖像

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「ねえ、本当はさ……」
「言いたい事は判るが……」
 どうやら、王都では獣化能力者ワーアニマルのヤクザ達と兵隊との戦いが始まってるらしい。
 宿屋の2階か3階らしいこの部屋から、下を見ると、大怪我してる兵隊が次々と運ばれている。
「葬儀屋は大儲けだな……」
「心配じゃないの?」
「誰の事が?」
「ラートリーとか……」
「私達が行ったとして、何が出来る?」
 その時、部屋のドアからノックの音。
「何だ?」
「あの……武器屋からお届け物が……」
 ドアの向こうでは、宿屋の店員らしき声。
「はあ?」
「徹夜でやったけど、届けられそうにないからって……」
「何をだ?」
 草原の民の女の子は……。
「えっ?」
 どうやら、ドアを開けた時に、自分の背後うしろに居ろ……身振り手振りで、そう伝えたいらしい。
 ボクは、言われた……と言っても身振り手振りだけど……通りに、草原の民の女の子の背後に移動。
 草原の民の女の子は……ドアを開けながら、体を移動。
「わっ?」
 ぶつかりそうになる。
 そして、振り向いた草原の民の女の子の表情は……「この馬鹿」とでも言いたげな怒った表情。
 どうやら、ドアの向こうに居る誰かに見えない位置に移動したいらしい。
「あ……あれ?」
 腰に差してた短剣を抜いて、店員の目の前に……。
「届けモノとやらを置いて、すぐ戻れ」
「は……はい……」
「何やってんの?」
「女2人しか居ないんだぞ。用心するにこした事は無い」
「いや、でも……」
「相手の安全の為だ」
「はあ?」
「相手が、女だけだと、こっちを舐めて、変な真似をしてみろ……殺さずに済ます自信が無い」
「あ……そ……。ところで、これ何?」
 長めの槍ぐらいの曲った棒。
 でも、こんなに曲ってちゃ、槍としては使えそうにないし……それに、鞘に入ってる刃の部分も槍にしては、やけに長い。
「まさか……」
 草原の民の女の子は……鞘を取ると……。
「こう云う事か……」
 曲刀の柄をムチャクチャ長くして、槍のように使えるようにした武器。
 そして、その刃は……。
獣化能力者ワーアニマルを殺せる……刀……」
「なるほど……刀のままよりも、こっちの方が……多少は使う奴にとっては安全になるか……」
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