Dystopia Now!!/「正義の味方」監査委員に選ばれてしまった「悪の組織」の末端構成員ですが……

蓮實長治

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第二章:POWER FOOL

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「大丈夫ですか?」
「は……はぁ……」
 翌日の体調は最悪だった。
 課長から、とりあえず、そこそこの金を巻き上げた。足が付かないように、今時、紙幣だ。
 さぁ、これで美味い者でも食うか……となった時に、ようやく気付いた。
 貧乏生活が長かったせいで、何が「美味いモノ」か、よく判らない。
 結局、全国チェーンの居酒屋で暴飲暴食。
 安酒を飲み過ぎたせいで、二日酔いだ。
 とりあえず、請求していた「何故、『正義の味方』の金玉を『レスキュー隊』が握るようになったのか?」の経緯に関する資料を……えっ?
 最初に書いてあったのは……俺が就職した年に、故郷で起きたアレだ。
 復旧に数ヶ月かかったJR久留米駅近辺の壊滅事件。
 陰謀論なのか?
 「正義の味方」達は陰謀論に取り憑かれて……いや……。
 俺の故郷で何度も起きた事だ。
 それから導き出される結論は……。
 ここから「正義の味方」の歴史が変ったのか?
「すいません、届けていただいた資料に名前が出て来る『正義の味方』に直接、話を伺いたい事が有るのですが……」
 俺は、駄目元でそう訊いた。
『誰でしょうか?』
「コードネーム・羅刹天ラーヴァナ
『既に死亡しています』
「コードネーム・風神ヴァーユ
『既に死亡しています』
「コードネーム・水神ヴァルナ
『何代目ですか?』
「へっ?」
『ああ、失礼。何年か前に3代目が死亡してから、そのコードネームを使用している者は居ません』
「あ……あの……二〇二X年のJR久留米駅の壊滅事件に関わった方で、今、生きている方は……その……」
 あの事件の時には、伝説レジェンド級の「正義の味方」達が集結していたらしい。
 しかし、その伝説レジェンド級の「正義の味方」達の何名かが既に……死んでいた。
『ほぼ、全員が死亡か引退しています。死亡・引退理由の大半は「特殊武装法人」活動中の負傷によるものです』
 い……いや……待て……。
 ウチの会社の上部組織が手も足も出なかった連中だぞ……。
 「本当の関東」の3大犯罪組織を全て倒し、「シン・日本首都」こと大阪府をウチの会社の上部組織の前身に当たる「獅子の党」の支配から「解放」し、犯罪組織と化した在日軍を壊滅させ……。
「あ……あの……いわゆる伝説レジェンド級の『正義の味方』を……誰が殺したんですか?」
 返ってきたのは予想して然るべきだった。
 ウチの会社の「親会社」も、奴らと手を組めば……あるいは「正義の味方」に対抗出来るかも知れない。
 しかし……手を組むには……。
「大半は、世界的テロ組織『神の怒りフューリー』によるものです」
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