31 / 86
四章 王城の女性文官
31話 王子様の事情
しおりを挟む
王子様は嬉しそうにミィの頭を撫でた。
「はい殿下、どうぞ」
パレットはミィの身体を王子様に渡す。
王子様はおっかなびっくりな様子で、ミィを抱き上げた。
「温かいな」
そう言ってミィをぎゅっと抱きしめた。
話がまとまったようなので、パレットが仕事に戻ろうかと思っていると。
「やあ、話はまとまったようですね」
窓の外から声がした。
そちらを見ると、窓に足をかけて越えてくる人影が一つ。
「ジーン、いたんですか!?」
驚くパレットに、純白の騎士服姿のジーンはにっこり微笑んだ。
「ずっといたとも、今は王子殿下の護衛中だし」
ジーンがそう言いながら、服に着いた葉っぱを叩いて落とした。
ついでに王子様についている葉っぱも取ってやっている。
王子様が一人でうろうろしていたのかと思っていたら、ちゃんと護衛を連れていたようだ。
「ジーン見ろ! 魔獣の子を抱いているんだぞ!」
ミィを抱き上げた王子様が、自慢気にジーンに向き直った。
ジーンはそんな王子様に頷いた。
「ね? 直接聞いてみてよかったでしょう」
「うむ、そなたの言った通りだったぞ!」
二人で通じ合っている様子だが、パレットにはなんのことなのかさっぱりわからない。
「あの、ひょっとしてジーンが殿下を連れてきたんですか?」
パレットが尋ねるとジーンは苦笑しつつ、何故王子様がミィと出会ったのかを説明した。
なんとミィは、散歩の途中でジーンに会いに行っていたようなのだ。
王子様の護衛中にも関わらず、そんなことは関係ないミィはジーンに突撃してくる。
――ミィって、意外とジーンが好きよね
よくジーンの食事をもらっている姿を見る。
ミィの食事は別途あるのだが、ジーンの食事をかすめ取るのが日課になっているようなのだ。
「そのミィが散歩の途中で私に構うのが、王子殿下にはとても羨ましかったようでね」
ジーンが苦笑すると、王子様がむくれた顔をした。
「私は最初、その動物を連れてこいと言ったのだ」
ミィに突撃されたジーンは、王子様と遊ばせるくらいはいいだろうと思ったらしいのだが、それを聞いた教育係が猛反対したのだとか。
「次期国王たる者が、動物ごときに甘い顔をしてはならぬ、とすごい剣幕で言われたのだ」
――なにその理屈
むすっとした顔の王子様につられるように、パレットはむすっとした顔をする。
しかめっ面のパレットがなにを思ったのか、ジーンにはわかったようだ。
そっとこちらに近寄って耳打ちした。
「教育係殿は、どうやら動物嫌いのようなんだ」
「……なるほど」
自分が嫌いだから、王子様にも近づけたくないということか。
身勝手だとは思うが、嫌いという感情はどうしようもない。
ジーンも教育係の面子があるので、王子の要望を叶えるのは難しかったそうだ。
だがそれでは諦めきれない王子様は、どうすればあの動物と遊べるのか、小さいなりにたくさん考えたようだ。
その結果が「黙って拾ったことにしよう作戦」なのだろう。
「この動物は私のものだと言えば、あやつも何も言えないだろうと思ったのだ」
そう言って王子様が胸を張るが、それを行った結果王子様が叱られることになってもまずい。
そう考えたジーンが、パレットの元へミィと王子様を誘導してきたということか。
――困った末に私に後始末を押し付けたわね、ジーン!
パレットがじろりと睨むと、ジーンはにこりと笑みを深めた。
ここで問い詰めたいところだが、パレットも仕事中であるし、王子様の前でケンカはまずい。
ひとまずパレットは表情を取り繕って、王子様に向き直った。
「殿下、ミィは勝手に王城の中をうろうろしているようですから。
見かけたときは構ってやってくださいね」
パレットの言葉に、王子は真面目な顔をしつつも口元を緩める。
「そうか、勝手にうろうろしているのか。
だったら私がミィと一緒にいてもおかしくないな!」
こうして王子様はジーンを引き連れて、ご機嫌な様子で戻って行った。
パレットは嵐が過ぎ去ったので、ようやく管理室に戻った。
パレットは部屋に入るなり、室長に声をかけられた。
「ずいぶん遅かったな、誰かにつかまっていたのか?」
確かにすぐそこまでのお使いに行ったにしては、時間がかかり過ぎである。
パレットは今しがたの出来事を、室長に報告した。
「実は……」
王子様との遭遇の話を聞いて、室長は疲れたようにため息をついた。
「それは災難だったな。
滅多にそのように他人を困らせることをしないお方なのだが」
どうやらパレットは稀有な事例に行き当たったようである。
これは光栄なことだと喜ぶところだろうか。
パレットとしては、妙なことに巻き込まれたとしか思えない。
そしてものはついでなので、パレットは室長に聞いてみた。
「王子殿下の教育係とは、厳しいお方なのでしょうか?」
教育係に、王子様に妙なことを吹き込んだと、叱られるのではないか、と今更ながらに気付いたのだ。
室長は特にためらうこともなく答えた。
「王子殿下の教育係は、代々王族の教育を担ってきた家だ。
今代の教育係は、特に理不尽な御仁だとは聞いてはおらぬな」
パレットの心配事を察したのだろうか、室長が表情を和らげて言った。
「こういう時勢だ、帝王教育を優先させているのだろう。
貴族たちに上げ足をとられないように、かのお人も必死なのだ。
それに殿下もよく応えていると聞いている。
歳の近い遊び相手も、おいそれと王城に入れることはできない。
他の貴族に買収済みかもしれないからな」
「そうなんですね……」
王子様を立派に育て上げるため優先順位を付けた結果が、「お願い」を教えていないという事態になったのだろう。
もしかして教育係も、王子様が「お願い」を知らないことに気付いていない可能性もある。
――なにかに必死な時って、大事なことが抜け落ちたりするものなのよね
それはパレットのような事務仕事でも同じだ。
忙しい時ほど計算ミスをしがちである。
それにしても、遊びたい盛りの子供であろう王子様が、遊び相手を動物に求めたことが、パレットはなんとも不憫に思えた。
「だったら、せめてミィと遊ぶことは許可してもらえるといいんですけどね。
殿下がミィに隠れて会いに行く方が、危ない気がして……」
特に王位争いが懸念されているのであれば、王子様の身辺は厳重に警護されているはずだ。
そのためにジーンを騎士に取り立てたはずなのだ。
それをパレットがいらぬことを言ったせいで、台無しにしたくはない。
室長がパレットの発言を聞いて、顎を撫でて考えた。
「心配ならば君から、オルレイン導師にでも伝えておいてくれ」
室長から意外な人物の名前を聞いて、パレットは首を傾げる。
「オルレイン導師に、ですか?」
理解できていないパレットに、室長は続けて説明してくれた。
「オルレイン導師は侯爵家の次男で、国王陛下のご友人である。
普段から陛下の相談にのっていらっしゃる立場だ」
オルレイン導師が偉い人であるとは思っていたが、どうやら想像以上の立場の人だったようである。
彼とは初対面で気軽に会えた印象があったので、パレットは非常に驚く。
オルレイン導師はたまにミィにおやつを上げているという話も伝え聞いている。
――今度なにか、お礼を持っていこう
パレットはそう心に刻んだ。
「はい殿下、どうぞ」
パレットはミィの身体を王子様に渡す。
王子様はおっかなびっくりな様子で、ミィを抱き上げた。
「温かいな」
そう言ってミィをぎゅっと抱きしめた。
話がまとまったようなので、パレットが仕事に戻ろうかと思っていると。
「やあ、話はまとまったようですね」
窓の外から声がした。
そちらを見ると、窓に足をかけて越えてくる人影が一つ。
「ジーン、いたんですか!?」
驚くパレットに、純白の騎士服姿のジーンはにっこり微笑んだ。
「ずっといたとも、今は王子殿下の護衛中だし」
ジーンがそう言いながら、服に着いた葉っぱを叩いて落とした。
ついでに王子様についている葉っぱも取ってやっている。
王子様が一人でうろうろしていたのかと思っていたら、ちゃんと護衛を連れていたようだ。
「ジーン見ろ! 魔獣の子を抱いているんだぞ!」
ミィを抱き上げた王子様が、自慢気にジーンに向き直った。
ジーンはそんな王子様に頷いた。
「ね? 直接聞いてみてよかったでしょう」
「うむ、そなたの言った通りだったぞ!」
二人で通じ合っている様子だが、パレットにはなんのことなのかさっぱりわからない。
「あの、ひょっとしてジーンが殿下を連れてきたんですか?」
パレットが尋ねるとジーンは苦笑しつつ、何故王子様がミィと出会ったのかを説明した。
なんとミィは、散歩の途中でジーンに会いに行っていたようなのだ。
王子様の護衛中にも関わらず、そんなことは関係ないミィはジーンに突撃してくる。
――ミィって、意外とジーンが好きよね
よくジーンの食事をもらっている姿を見る。
ミィの食事は別途あるのだが、ジーンの食事をかすめ取るのが日課になっているようなのだ。
「そのミィが散歩の途中で私に構うのが、王子殿下にはとても羨ましかったようでね」
ジーンが苦笑すると、王子様がむくれた顔をした。
「私は最初、その動物を連れてこいと言ったのだ」
ミィに突撃されたジーンは、王子様と遊ばせるくらいはいいだろうと思ったらしいのだが、それを聞いた教育係が猛反対したのだとか。
「次期国王たる者が、動物ごときに甘い顔をしてはならぬ、とすごい剣幕で言われたのだ」
――なにその理屈
むすっとした顔の王子様につられるように、パレットはむすっとした顔をする。
しかめっ面のパレットがなにを思ったのか、ジーンにはわかったようだ。
そっとこちらに近寄って耳打ちした。
「教育係殿は、どうやら動物嫌いのようなんだ」
「……なるほど」
自分が嫌いだから、王子様にも近づけたくないということか。
身勝手だとは思うが、嫌いという感情はどうしようもない。
ジーンも教育係の面子があるので、王子の要望を叶えるのは難しかったそうだ。
だがそれでは諦めきれない王子様は、どうすればあの動物と遊べるのか、小さいなりにたくさん考えたようだ。
その結果が「黙って拾ったことにしよう作戦」なのだろう。
「この動物は私のものだと言えば、あやつも何も言えないだろうと思ったのだ」
そう言って王子様が胸を張るが、それを行った結果王子様が叱られることになってもまずい。
そう考えたジーンが、パレットの元へミィと王子様を誘導してきたということか。
――困った末に私に後始末を押し付けたわね、ジーン!
パレットがじろりと睨むと、ジーンはにこりと笑みを深めた。
ここで問い詰めたいところだが、パレットも仕事中であるし、王子様の前でケンカはまずい。
ひとまずパレットは表情を取り繕って、王子様に向き直った。
「殿下、ミィは勝手に王城の中をうろうろしているようですから。
見かけたときは構ってやってくださいね」
パレットの言葉に、王子は真面目な顔をしつつも口元を緩める。
「そうか、勝手にうろうろしているのか。
だったら私がミィと一緒にいてもおかしくないな!」
こうして王子様はジーンを引き連れて、ご機嫌な様子で戻って行った。
パレットは嵐が過ぎ去ったので、ようやく管理室に戻った。
パレットは部屋に入るなり、室長に声をかけられた。
「ずいぶん遅かったな、誰かにつかまっていたのか?」
確かにすぐそこまでのお使いに行ったにしては、時間がかかり過ぎである。
パレットは今しがたの出来事を、室長に報告した。
「実は……」
王子様との遭遇の話を聞いて、室長は疲れたようにため息をついた。
「それは災難だったな。
滅多にそのように他人を困らせることをしないお方なのだが」
どうやらパレットは稀有な事例に行き当たったようである。
これは光栄なことだと喜ぶところだろうか。
パレットとしては、妙なことに巻き込まれたとしか思えない。
そしてものはついでなので、パレットは室長に聞いてみた。
「王子殿下の教育係とは、厳しいお方なのでしょうか?」
教育係に、王子様に妙なことを吹き込んだと、叱られるのではないか、と今更ながらに気付いたのだ。
室長は特にためらうこともなく答えた。
「王子殿下の教育係は、代々王族の教育を担ってきた家だ。
今代の教育係は、特に理不尽な御仁だとは聞いてはおらぬな」
パレットの心配事を察したのだろうか、室長が表情を和らげて言った。
「こういう時勢だ、帝王教育を優先させているのだろう。
貴族たちに上げ足をとられないように、かのお人も必死なのだ。
それに殿下もよく応えていると聞いている。
歳の近い遊び相手も、おいそれと王城に入れることはできない。
他の貴族に買収済みかもしれないからな」
「そうなんですね……」
王子様を立派に育て上げるため優先順位を付けた結果が、「お願い」を教えていないという事態になったのだろう。
もしかして教育係も、王子様が「お願い」を知らないことに気付いていない可能性もある。
――なにかに必死な時って、大事なことが抜け落ちたりするものなのよね
それはパレットのような事務仕事でも同じだ。
忙しい時ほど計算ミスをしがちである。
それにしても、遊びたい盛りの子供であろう王子様が、遊び相手を動物に求めたことが、パレットはなんとも不憫に思えた。
「だったら、せめてミィと遊ぶことは許可してもらえるといいんですけどね。
殿下がミィに隠れて会いに行く方が、危ない気がして……」
特に王位争いが懸念されているのであれば、王子様の身辺は厳重に警護されているはずだ。
そのためにジーンを騎士に取り立てたはずなのだ。
それをパレットがいらぬことを言ったせいで、台無しにしたくはない。
室長がパレットの発言を聞いて、顎を撫でて考えた。
「心配ならば君から、オルレイン導師にでも伝えておいてくれ」
室長から意外な人物の名前を聞いて、パレットは首を傾げる。
「オルレイン導師に、ですか?」
理解できていないパレットに、室長は続けて説明してくれた。
「オルレイン導師は侯爵家の次男で、国王陛下のご友人である。
普段から陛下の相談にのっていらっしゃる立場だ」
オルレイン導師が偉い人であるとは思っていたが、どうやら想像以上の立場の人だったようである。
彼とは初対面で気軽に会えた印象があったので、パレットは非常に驚く。
オルレイン導師はたまにミィにおやつを上げているという話も伝え聞いている。
――今度なにか、お礼を持っていこう
パレットはそう心に刻んだ。
0
あなたにおすすめの小説
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さくら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる