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迷子の竜、都に行く
都の学校の友人の証言
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僕のクラスには
「魔女」と「英雄」の子供がいる。
僕の兄の学生時代にも、お二人の子供がいたそうだが、彼はその弟らしい。
お二人のことは大人の噂話でしか聞いたことがないが、彼のお兄さんのことは僕の兄から武勇伝を聞かされていた。
曰く、剣の達人であった。
曰く、因縁をつけてきた上級生を十秒で撃破した。
曰く、お城の王子様のマブダチである。
曰く、女生徒に人気でハーレムを率いていた。
他にも色々あったが、聞けば聞くほどどんな人だろうかと妄想が膨らんだものである。そんな人の弟が同じクラスに入るらしい。そんな話が流れてきて、ドキドキしながら彼を探した。
そして、見つけたのが彼だった。今でも忘れない。黒い饅頭みたいな生き物を抱えて、天使がうろうろと廊下で迷子になっていたのを。
明るい茶色の髪に青い目で、とっても綺麗な男の子だった。まるで彼が立っている場所だけスポットライトが当たっているかのように明るく見えた。
こんなに綺麗な男の子を初めて見たので、僕はしばらく彼をボーッと見つめていた。すると彼とばっちり目が合った。それから彼は何を思ったのか、僕に近付いてくる。彼の腕の中で饅頭がもぞもぞと動いているが、彼は気にしないようだ。
「……なに、をして、いる、の?」
緊張のあまり途切れ途切れになりながら、おそるおそる彼に話しかけると。
「今からなにをするの?」
のんびりとした口調で、彼が逆に質問してきた。
「教室で、お話がある、んだけど」
僕の言葉に、彼は首を傾げる。
「教室って、どこかなぁ?」
先生の説明を聞いてなかったのかと尋ねると、早口すぎて理解できなかったとのこと。
「同じクラス、だし、一緒に行こう、か?」
「うん、よろしく!」
そう誘うと、彼は嬉しそうに頷いた。
それ以来、彼に通訳認定されてしまい、彼に話しかけるには僕が窓口になってしまった。
彼が抱えていた黒い饅頭の正体も判明した。先生が、彼の抱えている饅頭は竜の子供で、彼の契約竜だと教えてくれた。饅頭ではなかったらしい。
竜という生き物を実際に見たことないが、絵本に書かれているのはもっとこう、少なくともスリムだった記憶がある。でもあれとは種族が違うのかもしれない。
彼の名前はコニーという。コニーはとっても頭がいい。学校の勉強以外にも、家で魔術師になる勉強をしているらしい。学校の勉強だって、むずかしい算数の問題だってスラスラ解いてしまう。
「……すごいね」
僕が感心すると、彼は偉ぶるでもなく、謙遜するでもなく、普通な顔をする。
「そう? 勉強はにーちゃんが教えてくれたんだぁ」
ただ、そんな事実だけを言った。彼にとって、勉強はできて当たり前のことなのかもしれない。
でも、天才とナントカは紙一重というけれど、コニーの思考回路はちょっと回転方向が斜めにずれていると思う。
いつもコニーは不思議な呪文を口にする。
「そうっと、やさしく、ていねいに」
何かしらの行動と起こす前に、必ずそう呟く。そして非常に動作が遅い。何かの儀式かと思って尋ねると、物を壊さないように兄に教えられた合言葉らしい。
後日明らかになったが、コニーは天使のような容貌に似合わぬ乱暴者だ。何も考えずに物をつかもうとすると、必ず壊す。
いつだったか、掃除の時間に初代校長の銅像の頭をもいでしまい(ぴかぴかに磨こうとしたらしい)、コニーのおじさんという人が謝りに来ていた。それ以来、コニーには箒しか持たせていない。
それに、コニーは仲良くなった友達に、必ず竜のお尻を撫でさせる。竜に匂いを憶えさせて、襲わないようにするためであろうと先生が言っていた。
本当なのかとコニーに尋ねた時の答えは。
「だって気持ちいいでしょ?幸せは皆で分かち合わなきゃ」
確かに竜のお尻はぷにぷにしていた。
こんなコニーは、学校で一番の不思議ちゃんであった。
「魔女」と「英雄」の子供がいる。
僕の兄の学生時代にも、お二人の子供がいたそうだが、彼はその弟らしい。
お二人のことは大人の噂話でしか聞いたことがないが、彼のお兄さんのことは僕の兄から武勇伝を聞かされていた。
曰く、剣の達人であった。
曰く、因縁をつけてきた上級生を十秒で撃破した。
曰く、お城の王子様のマブダチである。
曰く、女生徒に人気でハーレムを率いていた。
他にも色々あったが、聞けば聞くほどどんな人だろうかと妄想が膨らんだものである。そんな人の弟が同じクラスに入るらしい。そんな話が流れてきて、ドキドキしながら彼を探した。
そして、見つけたのが彼だった。今でも忘れない。黒い饅頭みたいな生き物を抱えて、天使がうろうろと廊下で迷子になっていたのを。
明るい茶色の髪に青い目で、とっても綺麗な男の子だった。まるで彼が立っている場所だけスポットライトが当たっているかのように明るく見えた。
こんなに綺麗な男の子を初めて見たので、僕はしばらく彼をボーッと見つめていた。すると彼とばっちり目が合った。それから彼は何を思ったのか、僕に近付いてくる。彼の腕の中で饅頭がもぞもぞと動いているが、彼は気にしないようだ。
「……なに、をして、いる、の?」
緊張のあまり途切れ途切れになりながら、おそるおそる彼に話しかけると。
「今からなにをするの?」
のんびりとした口調で、彼が逆に質問してきた。
「教室で、お話がある、んだけど」
僕の言葉に、彼は首を傾げる。
「教室って、どこかなぁ?」
先生の説明を聞いてなかったのかと尋ねると、早口すぎて理解できなかったとのこと。
「同じクラス、だし、一緒に行こう、か?」
「うん、よろしく!」
そう誘うと、彼は嬉しそうに頷いた。
それ以来、彼に通訳認定されてしまい、彼に話しかけるには僕が窓口になってしまった。
彼が抱えていた黒い饅頭の正体も判明した。先生が、彼の抱えている饅頭は竜の子供で、彼の契約竜だと教えてくれた。饅頭ではなかったらしい。
竜という生き物を実際に見たことないが、絵本に書かれているのはもっとこう、少なくともスリムだった記憶がある。でもあれとは種族が違うのかもしれない。
彼の名前はコニーという。コニーはとっても頭がいい。学校の勉強以外にも、家で魔術師になる勉強をしているらしい。学校の勉強だって、むずかしい算数の問題だってスラスラ解いてしまう。
「……すごいね」
僕が感心すると、彼は偉ぶるでもなく、謙遜するでもなく、普通な顔をする。
「そう? 勉強はにーちゃんが教えてくれたんだぁ」
ただ、そんな事実だけを言った。彼にとって、勉強はできて当たり前のことなのかもしれない。
でも、天才とナントカは紙一重というけれど、コニーの思考回路はちょっと回転方向が斜めにずれていると思う。
いつもコニーは不思議な呪文を口にする。
「そうっと、やさしく、ていねいに」
何かしらの行動と起こす前に、必ずそう呟く。そして非常に動作が遅い。何かの儀式かと思って尋ねると、物を壊さないように兄に教えられた合言葉らしい。
後日明らかになったが、コニーは天使のような容貌に似合わぬ乱暴者だ。何も考えずに物をつかもうとすると、必ず壊す。
いつだったか、掃除の時間に初代校長の銅像の頭をもいでしまい(ぴかぴかに磨こうとしたらしい)、コニーのおじさんという人が謝りに来ていた。それ以来、コニーには箒しか持たせていない。
それに、コニーは仲良くなった友達に、必ず竜のお尻を撫でさせる。竜に匂いを憶えさせて、襲わないようにするためであろうと先生が言っていた。
本当なのかとコニーに尋ねた時の答えは。
「だって気持ちいいでしょ?幸せは皆で分かち合わなきゃ」
確かに竜のお尻はぷにぷにしていた。
こんなコニーは、学校で一番の不思議ちゃんであった。
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