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オヤジは10歳になりました
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「本当に行くのですか? リーヴリル」
やっと10歳になり地上世界にいくことにになったのだ。
「もう決めていたことですから」
寂しくなりますねと、不安いっぱいのノートリアス。
メリアから自分が創ったものはすべてばら撒き終えたとの報告がありその効果が少しずつ変化をもたらし始めているとの事だが地上世界に行ってみないことにはそれを確認できない。
「別にこれが永遠の別れになるわけじゃないよ【遠見の水晶球】があるから」
これは自分だけを写し出す特別製だがそれでもまだ不安を覚えていた。
「わたしは人間だから永遠に神様たちのところにいることは出来ない。リムリットとリムレットに世話を頼んでいますから安心ですよ」
すると突然ノートリアスが涙を流しながら抱きついてきた。
「ど、どうしましたか?」
「ごめんなさい、やはりどうしても離れるのが寂しくて・・・貴方との時間は本当に楽しかった」
今までのことを思い出しているのだろう。
この世界は完全に別物に変化していた。装飾の施された神殿、美しい柱や湖、美しい植物、オペラのように音楽を奏でる楽器たち、リムリットとリムレット。
まさに神が住まうにふさわしい場所で育った。
ノートリアスと食事をしたり一緒に遊んだりなどの時間は楽しいことばかりだ、無理矢理一緒にお風呂に入ろうなどと強引なこともあったがそれはそれで楽しいものだった。
「それでは行って来ます」
「待って、これを・・・」
それはシンプルな黒色の指輪だった。
「お守りだから」
そういわれれば断る理由はないな。それを填めようとするが・・・
「なぜ左手の薬指に填めようとするんですか!」
「いいじゃない!良からぬ虫が付かないようにとの母親の配慮ですよ!」
完全に違うだろ!
押し問答の末結局つけることになってしまった。
【暗黒の指輪】 魅了の呪い ノートリアスの加護
は、外れない。呪いが掛かっているのかガッチリと指に馴染んでいる、面倒な!トラブルを運んでこないだろうな?
「大事にしてね」
ノートリアスは満面の笑みだ。
「・・・一応感謝する」
地上世界へ行くことが出来る門の前に行く。
「沢山の可愛い子を惚れさせまくるのよ!」
ハーレムでも作れというのか?旅立ちの気分がどうも削がれてしまうが進む。
闇の中に吸い込まれていく感覚をしばらく味わうと。
一面に緑の匂いと動物たちの鳴き声が聞こえてきた。
「ふわぁ~、これがこの世界か~」
漆黒の世界にいた時間が長かったため前世の当たり前にあった色や自然の香りが懐かしい。ノートリアスの世界は病院の無菌室のような感じだったので余計に鮮明に映る。
スーハー、スーハーと何度も呼吸を繰り返して味わう。まわり一体が森なのでその香りを十分に味わうことしばし。
よし、何の問題もないな。
まずは人を探さないといけないな。
【探知魔法】で人の気配を探すと少し東の川の近くに人間の反応がある、数は30人ほどだな、そちらの方に走ることにした
装備品の効果で森の獣道だろうと問題なく進むことが出来る。もう少しで出会うことが出来る距離まで行くとそこは戦いの真っ最中だった。
馬車が様々な獣のような存在に襲われている、すでに何人かは戦闘不能で横たわっていた。モンスターのようだが明らかに人間らの方が不利だ。
割り込まなければおそらく全滅してしまうほどに数が多い。
すぐさま迅速に動くことにした。
「そちらに加勢する」
「旅人か!すまない!」
状況はこのままではひっくり返せないので援護する。
「【軍神の鼓舞】【ガーディアンウォール】【ワイドエリアリジェネーション】」
戦闘能力向上と防御能力上昇と範囲持続回復とまとめて行う。これで能力値は単純に5倍以上になる強力な効果で時間制限がない代わりに魔法力が常時減少してしまう難点がある。
すると、
「な、なんだこれは!」
そこにいた全員が突然の能力変化に驚く、動きが別次元と思えるほど良くなり攻撃を食らってもかすり傷一つ負わない上にすぐさま回復してしまう。
戦況は完全に逆転してモンスターの方だけが倒れていく。私も当然戦闘に参加しているが【蒼嶽】や【緋鳳】は強力すぎるので新しく作った太刀【満月】で攻撃していくがほとんど一振りで倒してしまう。
やがてモンスターは一体また一体と倒されていき最後の止めが刺される。
「ふぅ」
初めての実戦はやや苦いものになったが感傷に浸る暇などない。負傷して倒れている人を回復しなければいけない。【フルヒール】を使うとすぐさま傷がすべてなくなり穏やかな息をし始める。何人かいたが死者はいない、さすがにそこまでは出来ないわけではないがそこまですると異常者だと思われる。
「旅人よ、助かった。自分はディングル王国の兵士隊長の一人だ」
握手を求めてきたのでそれに答える。
「あれほどに強力な魔法を使えるだけでなく治癒まで行えるとは魔法使いかと思ったが戦士なのだな、不思議だ。普通はそこまでのことが出来るほど強くはなれないものなのだが」
質問したいという顔をしている。
「そこは秘密ということで」
腹を探られても痛いわけではないが打ち明けるには状況がわからない。すると馬車から二人降りてきた。どうやら女の子のようだ。
「たすかったのですか?」
周りの全員が地べたに座る礼をするのでそれに習う。
「はっ、状況は圧倒的に不利でしたが旅人の助けのおかげで全員無事であります」
「そうですか、旅人よ感謝いたします。私はディングル王国の王女でユーフォリアといいます」
ペコリと頭を下げられる。淡いクリーム色の髪をしている
「アタシは獣人族の公爵家フェンリルの娘でリースリット。異母妹だよ。よろしくね、旅人さん」
元気の良い笑いを浮かべている少女、青色の髪に獣の耳と尻尾を持っていてこの世界は人間だけではないようだ。
とりあえず状況確認だな。
「「男の子なのですか!?」」
馬車の中でユーフォリアとリースリットは驚愕の表情を浮かべる。
「信じられません、こんなに可愛いのに」「証拠を見せなよ?」
二人は確認を取ろうとするがそれは出来ない。年齢を教えるとさらに驚かれた。ユーフォリアは15歳、リースリットは一月遅くて15歳だった。
「その若さで旅をしているのは何か事情があるのですか?」
ユーフォリアが聞いてくる。
「この世界を広く知りたい」
少しだけ嘘をつく、神様から世界救済を頼まれているとは言えないし信じてもらえないだろう。
なぜ一緒にいるのかは、
「お礼をしたいのでわが国に来ませんか?」
そう誘われたのだ。
まだ情報がほとんどなく目的などないためいろいろな話を聞ける王国に行った方がいいと判断したのだ。王族とも面識があれば何かと都合がいいし。
そうして馬車の乗せられ王都まで向かっている。
「リーヴリルはどこの出身なのですか」
「わたしは生まれてすぐ両親から捨てられたんだ。隔離された場所で育ての親と二人暮しをしていて10歳なって旅に出ることを赦されたんだ」
「・・・すみません、つらい話を聞いてしまいましたね」
二人は罪悪感を持った顔になった。
「別に不自由はなかったし育ての親はいい人だったよ。まぁ、両親に捨てられたことは忘れてないけど今のほうが楽しいし家に縛られなくていいから楽だよ」
フォローを入れる。すると意外な提案が出てきた。
「わが国に仕官する気はありませんか?」
「えっ」
「わが国は領地はさほど広くはありませんがダンジョンの国と呼ばれるほど多彩なダンジョンがありそこからもたらされる莫大な利益で運営が行われています。当然有能なものは戦士から荷物を運ぶ者まで広く募集していますし王国の騎士も冒険者から成り上がった者も多くいます。
リーヴリルのように様々な方面で強さを発揮できる人材は貴重なのです。すぐに仕官しろとは強要いたしませんが考えてみてもらえませんか?」
「リーヴリルならすぐに将軍にもなれるよ!私たちも嬉しいしあれがすべてってわけじゃないでしょ?」
熱烈に勧誘してくる二人。結局王都につくまでこの話は続いた。
やっと10歳になり地上世界にいくことにになったのだ。
「もう決めていたことですから」
寂しくなりますねと、不安いっぱいのノートリアス。
メリアから自分が創ったものはすべてばら撒き終えたとの報告がありその効果が少しずつ変化をもたらし始めているとの事だが地上世界に行ってみないことにはそれを確認できない。
「別にこれが永遠の別れになるわけじゃないよ【遠見の水晶球】があるから」
これは自分だけを写し出す特別製だがそれでもまだ不安を覚えていた。
「わたしは人間だから永遠に神様たちのところにいることは出来ない。リムリットとリムレットに世話を頼んでいますから安心ですよ」
すると突然ノートリアスが涙を流しながら抱きついてきた。
「ど、どうしましたか?」
「ごめんなさい、やはりどうしても離れるのが寂しくて・・・貴方との時間は本当に楽しかった」
今までのことを思い出しているのだろう。
この世界は完全に別物に変化していた。装飾の施された神殿、美しい柱や湖、美しい植物、オペラのように音楽を奏でる楽器たち、リムリットとリムレット。
まさに神が住まうにふさわしい場所で育った。
ノートリアスと食事をしたり一緒に遊んだりなどの時間は楽しいことばかりだ、無理矢理一緒にお風呂に入ろうなどと強引なこともあったがそれはそれで楽しいものだった。
「それでは行って来ます」
「待って、これを・・・」
それはシンプルな黒色の指輪だった。
「お守りだから」
そういわれれば断る理由はないな。それを填めようとするが・・・
「なぜ左手の薬指に填めようとするんですか!」
「いいじゃない!良からぬ虫が付かないようにとの母親の配慮ですよ!」
完全に違うだろ!
押し問答の末結局つけることになってしまった。
【暗黒の指輪】 魅了の呪い ノートリアスの加護
は、外れない。呪いが掛かっているのかガッチリと指に馴染んでいる、面倒な!トラブルを運んでこないだろうな?
「大事にしてね」
ノートリアスは満面の笑みだ。
「・・・一応感謝する」
地上世界へ行くことが出来る門の前に行く。
「沢山の可愛い子を惚れさせまくるのよ!」
ハーレムでも作れというのか?旅立ちの気分がどうも削がれてしまうが進む。
闇の中に吸い込まれていく感覚をしばらく味わうと。
一面に緑の匂いと動物たちの鳴き声が聞こえてきた。
「ふわぁ~、これがこの世界か~」
漆黒の世界にいた時間が長かったため前世の当たり前にあった色や自然の香りが懐かしい。ノートリアスの世界は病院の無菌室のような感じだったので余計に鮮明に映る。
スーハー、スーハーと何度も呼吸を繰り返して味わう。まわり一体が森なのでその香りを十分に味わうことしばし。
よし、何の問題もないな。
まずは人を探さないといけないな。
【探知魔法】で人の気配を探すと少し東の川の近くに人間の反応がある、数は30人ほどだな、そちらの方に走ることにした
装備品の効果で森の獣道だろうと問題なく進むことが出来る。もう少しで出会うことが出来る距離まで行くとそこは戦いの真っ最中だった。
馬車が様々な獣のような存在に襲われている、すでに何人かは戦闘不能で横たわっていた。モンスターのようだが明らかに人間らの方が不利だ。
割り込まなければおそらく全滅してしまうほどに数が多い。
すぐさま迅速に動くことにした。
「そちらに加勢する」
「旅人か!すまない!」
状況はこのままではひっくり返せないので援護する。
「【軍神の鼓舞】【ガーディアンウォール】【ワイドエリアリジェネーション】」
戦闘能力向上と防御能力上昇と範囲持続回復とまとめて行う。これで能力値は単純に5倍以上になる強力な効果で時間制限がない代わりに魔法力が常時減少してしまう難点がある。
すると、
「な、なんだこれは!」
そこにいた全員が突然の能力変化に驚く、動きが別次元と思えるほど良くなり攻撃を食らってもかすり傷一つ負わない上にすぐさま回復してしまう。
戦況は完全に逆転してモンスターの方だけが倒れていく。私も当然戦闘に参加しているが【蒼嶽】や【緋鳳】は強力すぎるので新しく作った太刀【満月】で攻撃していくがほとんど一振りで倒してしまう。
やがてモンスターは一体また一体と倒されていき最後の止めが刺される。
「ふぅ」
初めての実戦はやや苦いものになったが感傷に浸る暇などない。負傷して倒れている人を回復しなければいけない。【フルヒール】を使うとすぐさま傷がすべてなくなり穏やかな息をし始める。何人かいたが死者はいない、さすがにそこまでは出来ないわけではないがそこまですると異常者だと思われる。
「旅人よ、助かった。自分はディングル王国の兵士隊長の一人だ」
握手を求めてきたのでそれに答える。
「あれほどに強力な魔法を使えるだけでなく治癒まで行えるとは魔法使いかと思ったが戦士なのだな、不思議だ。普通はそこまでのことが出来るほど強くはなれないものなのだが」
質問したいという顔をしている。
「そこは秘密ということで」
腹を探られても痛いわけではないが打ち明けるには状況がわからない。すると馬車から二人降りてきた。どうやら女の子のようだ。
「たすかったのですか?」
周りの全員が地べたに座る礼をするのでそれに習う。
「はっ、状況は圧倒的に不利でしたが旅人の助けのおかげで全員無事であります」
「そうですか、旅人よ感謝いたします。私はディングル王国の王女でユーフォリアといいます」
ペコリと頭を下げられる。淡いクリーム色の髪をしている
「アタシは獣人族の公爵家フェンリルの娘でリースリット。異母妹だよ。よろしくね、旅人さん」
元気の良い笑いを浮かべている少女、青色の髪に獣の耳と尻尾を持っていてこの世界は人間だけではないようだ。
とりあえず状況確認だな。
「「男の子なのですか!?」」
馬車の中でユーフォリアとリースリットは驚愕の表情を浮かべる。
「信じられません、こんなに可愛いのに」「証拠を見せなよ?」
二人は確認を取ろうとするがそれは出来ない。年齢を教えるとさらに驚かれた。ユーフォリアは15歳、リースリットは一月遅くて15歳だった。
「その若さで旅をしているのは何か事情があるのですか?」
ユーフォリアが聞いてくる。
「この世界を広く知りたい」
少しだけ嘘をつく、神様から世界救済を頼まれているとは言えないし信じてもらえないだろう。
なぜ一緒にいるのかは、
「お礼をしたいのでわが国に来ませんか?」
そう誘われたのだ。
まだ情報がほとんどなく目的などないためいろいろな話を聞ける王国に行った方がいいと判断したのだ。王族とも面識があれば何かと都合がいいし。
そうして馬車の乗せられ王都まで向かっている。
「リーヴリルはどこの出身なのですか」
「わたしは生まれてすぐ両親から捨てられたんだ。隔離された場所で育ての親と二人暮しをしていて10歳なって旅に出ることを赦されたんだ」
「・・・すみません、つらい話を聞いてしまいましたね」
二人は罪悪感を持った顔になった。
「別に不自由はなかったし育ての親はいい人だったよ。まぁ、両親に捨てられたことは忘れてないけど今のほうが楽しいし家に縛られなくていいから楽だよ」
フォローを入れる。すると意外な提案が出てきた。
「わが国に仕官する気はありませんか?」
「えっ」
「わが国は領地はさほど広くはありませんがダンジョンの国と呼ばれるほど多彩なダンジョンがありそこからもたらされる莫大な利益で運営が行われています。当然有能なものは戦士から荷物を運ぶ者まで広く募集していますし王国の騎士も冒険者から成り上がった者も多くいます。
リーヴリルのように様々な方面で強さを発揮できる人材は貴重なのです。すぐに仕官しろとは強要いたしませんが考えてみてもらえませんか?」
「リーヴリルならすぐに将軍にもなれるよ!私たちも嬉しいしあれがすべてってわけじゃないでしょ?」
熱烈に勧誘してくる二人。結局王都につくまでこの話は続いた。
応援ありがとうございます!
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