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エクリプス辺境伯家9
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「ユーフォリアさんは〈マスター・ナイト〉でリースリットさんは〈フェンリル・ナイト〉ですか!それにカグラ家の姫のシャナ様ですか、始めまして。ハインケル公爵家の娘ステラです!」
「ええ、そうです。まだまだ修行中ですが」
「リーヴリルは悪魔のように鍛えるから」
ユーフォリアとリースリットとシャナとステラは仲良く話をしている。王族や貴族としての対面もあるだろう。もっとも王族といっても最底辺の王国の姫と南部有力の公爵家の令嬢ではかなり差があるがそんなことは気にかけていないようだ。シャナは元は南部有力の一族なのである程度知っているのだろう。
わたしが力を貸したということもあるだろうが。
「和気会い合いとしてるところ申し訳ないんだけどさ」
途中で止める。そろそろ現実問題をどうにかしなくてはならないからね。
「そろそろ戦のことを話さないとね」
全員に緊張が走る。
「一体どのように勝つつもりですか?兵力差は馬鹿馬鹿しいほど差があり王国にも援護を求めずさらに動かせる兵士は約200ほど。どう考えても敗戦は確実です。せっかく開発が順調に進んでいるのにリーヴリルなら回避できたのでは?」
「そうだよ!どうして挑発したの?その報告を聞いてお母さんたちは混乱してるよ。とても手が貸せる状態じゃないって切り捨てたよ」
二人はわたしの莫大なお金で解決すると思っていたようだが。
「ああいう手合いに下手に出て金を渡すとひたすら搾取するだけ。ここで沼に落ちてもらい息の根が止まるまで叩きまくらないと」
「そうはいうが具体的にはどうするのじゃ?やつらは強欲じゃ。いまさら引き返すことなどできぬぞ」
全員が不安の顔をしているがわたしからすればこんなのは軽い部類だ。
「すまないけどユーフォリア、リースリット、シャナはすぐさま動かせる兵士全員とゴーレムたちで【空駆ける馬車】で南部に向かって欲しい。道具は出す。作戦はね・・・」
全員が揃って話を聞くと絶句していた。こんなに簡単に勝利する方法などありえないと。
「さぁ、すぐに動いて!領地のことは心配いらない。存分に戦果を稼いできて!」
その命令の数日後、南部諸侯軍の先陣が南の防衛ラインの砦近くに来た。
「お~お~、よくもまぁこれだけの兵を送ってきたね~」
総数15000ほど。これで先陣なのだから南部の軍事力は高いのだろう。おそらく彼らはこのまま王国まで進軍しすべてを奪い去るだろう。もっともそんなことはさせないけどね。
砦の壁も頑丈で高く堀も深くしてあるのでまともに攻めて落とせなど出来ないし隙間など無いからここを突破しなくては北へはいけないようにしてある。全軍で攻めても落とせなどしないがこちらの兵力は私一人だけだ。
狙いは敵にこちらの総戦力を悟られないこととわたしが強大すぎるのでその力がどれほどの器なのか確認するためだ。
人を殺める恐怖はあるが遠慮なく力を振るえるのでやや緊張している。どちらにしても勝たなければここまでなのだ。
開戦の笛と怒号が響き渡る。
まず敵は騎兵を前面に出しそれを盾持ちなどが同伴しつつその後ろに歩兵や槍兵の後ろに弓兵を付けさせる。また相手は投石器や移動櫓などを持ってきていたがそれらを近づけようとしてくる。基本に忠実な攻め方だ。おそらく本隊が来る前に戦果を稼ぐことと戦力の確認だろう。
もっとも私一人という戦力は完全に計算違いだろうしユーフォリアたちが後方で仕事を終えるまでは勝負の決着はつけない。そのほうが都合がいいからだ。
【万里眼】で確認するとここから敵まで約2キロ。相手はまだ進軍途中だが私の攻撃範囲に入っている。戦争なので容赦などしないし貴族なのだから完全に勝ちを狙うだけだ。
「《フレア・ストライク》!」
上空に無数の火球を生み出す、その数はおそらく1000以上だ。《ファイア・ランス》の5倍以上の威力と着弾してから爆発を生むこれで攻撃すればただではすまないのだが敵の目前にいくつか飛ばして進軍を止める。ここからでは見えにくいが大地に穴が開いたようだ。
発動状態を維持するのは魔力の無駄だがそのほうがこちらに強力な魔法使いが無数にいるのだと判断されるので上空に無数の火球を展開したまま相手の出方を待つ。
相手は歩兵の動きでは魔法で殲滅されると判断して2000の騎兵をバラバラに動かして近づく作戦に出た。たしかに騎兵の機動力ならこちらの魔法でも隙間が生まれるので攻撃範囲から逃げられると判断したのだろうがそれは非常に甘い。わたしがそのぐらい予測してないと思っていないはずはない。
「《ダイヤモンド・ダガー》!」
こちらに進軍する騎兵の足を止めるために地面に無数の刃の領域を前面に作る。この刃に触れると馬の足はもちろん人の足ですら簡単にズタズタだ。馬の胴体を狙うと回避は出来ると思うが足を狙われている上にこれだけ広ければまず逃げられない。結局勢いのついた騎兵のすべてがこれに捕まり馬はすべて足を切られ馬上の人が大多数落馬して残りがなんとかその刃を避けて後ろに逃げた。
魔法を解除して元の平地に戻すと馬や人の死体が山ほど出来るのでこれをどうにかしなければ進軍は不可能だ。最初の一日目はそうして終わった。
2日目は魔法の威力を恐れてうかつに進軍するのではなく確実に陣地を進める作戦に出てきた。ある程度進みつつ死体をかたづけて防衛用の柵を立てるという地道な作業だ。わたしが攻撃しようと思えばいくらでも出来るが敵本隊が到着するまではなるだけここに引き付けるのが仕事なのでのんびり食事しながら敵を見ていた。
3日目は投石器や移動櫓による攻撃だったが投石は魔法防壁で弾いて移動櫓は魔法攻撃で近づけさせないようにした。こちらの兵数を把握されるのはまずいからだ。それ以外では砦に接近してくる兵士たちなどもいたが砦によじ登ろうにも梯子よりも高い壁と深く幅の広い堀に加えエンチャントした柵をいくつも作っていてそれが立ちはだかり接近できない。弓矢や魔法で攻撃してくるが反撃はしないしこの壁がそんなものでどうにかなるはずも無い。
4日目は後方から砂塵が舞い上がり敵本隊が到着した。数を確認するとその数は予想より1万以上多い65000ほど。どうやら戦争に不参加を決めていた周囲の貴族から追加の兵を募集したのだろう。敵はかなり近くまで接近していて弓矢が届くぐらいまで進軍できる状態だ。
(いくらやろうと無駄なんだけどね)
ハッキリ言えばこちらに兵を向ければ向けるほど後方ががら空きになる。そろそろユーフォリアたちが仕事を開始し始める頃だろうと判断して連絡する
「こちらリーヴリル。敵は予測より多くの兵を動員してきた。そちらの仕事はどう?」
「こちらユーフォリア。仕事の方は非常に順調です。兵士たちが完全にいないので物資や財産などは奪い放題です。【魔法の倉庫】に次々入れています。この分だと南部が財政破綻を起こすのは確実です。リースリットはハインケル公爵らのところに向かい説得工作をしてシャナさんは領地の占領を行っています」
リースリットに連絡を入れる。
「リーヴリル!こっちはすぐにでもハインケル公爵様たちを動かせるよ。戦場はどうなの?」
予想より兵数が多いことを伝えると。
「わかった!これなら戦争に参加している貴族家などの防備はまったくないんだね。穏健派の人達と共に背後を強襲して領地を奪い取るよ」
最後にシャナに連絡を入れる。
「リーヴリルか。こちらの仕事はもうほとんどおわったぞ。それにしても南部の兵たちは恐ろしく弱いのぅ、これでは遊びにもならん。まぁ鬼神族であるわらわから見れば当然か。ゴーレムたちとともに目立った貴族の妻や子供、家臣などの家族も捕虜にした」
全員やるべき仕事は終えたようだ。
「南部の援軍が領地などを完全に制圧するまでみんなはそこで待機して。奪った領地などの統治は向こうに回して利権はこちらで握る。これだけの広さになるとコントロールが難しいから戦争に参加しなかった貴族家に統治などを委任する。もちろん戦争に参加した貴族家のいくつかの特権はこちらにもらうけどね」
全員が了承の返事を出す。もはやかれらは帰る場所も財産も何も無くなった。賠償金などはごねるので先に回収させているのだ。さて後やるべきことはこの戦争を圧倒的に勝利するだけだ。これだけの捕虜を取られ何もかもを押さえればもう南部には敵対勢力などいなくなる。
ちゃっちゃと終わらせますか。
「ええ、そうです。まだまだ修行中ですが」
「リーヴリルは悪魔のように鍛えるから」
ユーフォリアとリースリットとシャナとステラは仲良く話をしている。王族や貴族としての対面もあるだろう。もっとも王族といっても最底辺の王国の姫と南部有力の公爵家の令嬢ではかなり差があるがそんなことは気にかけていないようだ。シャナは元は南部有力の一族なのである程度知っているのだろう。
わたしが力を貸したということもあるだろうが。
「和気会い合いとしてるところ申し訳ないんだけどさ」
途中で止める。そろそろ現実問題をどうにかしなくてはならないからね。
「そろそろ戦のことを話さないとね」
全員に緊張が走る。
「一体どのように勝つつもりですか?兵力差は馬鹿馬鹿しいほど差があり王国にも援護を求めずさらに動かせる兵士は約200ほど。どう考えても敗戦は確実です。せっかく開発が順調に進んでいるのにリーヴリルなら回避できたのでは?」
「そうだよ!どうして挑発したの?その報告を聞いてお母さんたちは混乱してるよ。とても手が貸せる状態じゃないって切り捨てたよ」
二人はわたしの莫大なお金で解決すると思っていたようだが。
「ああいう手合いに下手に出て金を渡すとひたすら搾取するだけ。ここで沼に落ちてもらい息の根が止まるまで叩きまくらないと」
「そうはいうが具体的にはどうするのじゃ?やつらは強欲じゃ。いまさら引き返すことなどできぬぞ」
全員が不安の顔をしているがわたしからすればこんなのは軽い部類だ。
「すまないけどユーフォリア、リースリット、シャナはすぐさま動かせる兵士全員とゴーレムたちで【空駆ける馬車】で南部に向かって欲しい。道具は出す。作戦はね・・・」
全員が揃って話を聞くと絶句していた。こんなに簡単に勝利する方法などありえないと。
「さぁ、すぐに動いて!領地のことは心配いらない。存分に戦果を稼いできて!」
その命令の数日後、南部諸侯軍の先陣が南の防衛ラインの砦近くに来た。
「お~お~、よくもまぁこれだけの兵を送ってきたね~」
総数15000ほど。これで先陣なのだから南部の軍事力は高いのだろう。おそらく彼らはこのまま王国まで進軍しすべてを奪い去るだろう。もっともそんなことはさせないけどね。
砦の壁も頑丈で高く堀も深くしてあるのでまともに攻めて落とせなど出来ないし隙間など無いからここを突破しなくては北へはいけないようにしてある。全軍で攻めても落とせなどしないがこちらの兵力は私一人だけだ。
狙いは敵にこちらの総戦力を悟られないこととわたしが強大すぎるのでその力がどれほどの器なのか確認するためだ。
人を殺める恐怖はあるが遠慮なく力を振るえるのでやや緊張している。どちらにしても勝たなければここまでなのだ。
開戦の笛と怒号が響き渡る。
まず敵は騎兵を前面に出しそれを盾持ちなどが同伴しつつその後ろに歩兵や槍兵の後ろに弓兵を付けさせる。また相手は投石器や移動櫓などを持ってきていたがそれらを近づけようとしてくる。基本に忠実な攻め方だ。おそらく本隊が来る前に戦果を稼ぐことと戦力の確認だろう。
もっとも私一人という戦力は完全に計算違いだろうしユーフォリアたちが後方で仕事を終えるまでは勝負の決着はつけない。そのほうが都合がいいからだ。
【万里眼】で確認するとここから敵まで約2キロ。相手はまだ進軍途中だが私の攻撃範囲に入っている。戦争なので容赦などしないし貴族なのだから完全に勝ちを狙うだけだ。
「《フレア・ストライク》!」
上空に無数の火球を生み出す、その数はおそらく1000以上だ。《ファイア・ランス》の5倍以上の威力と着弾してから爆発を生むこれで攻撃すればただではすまないのだが敵の目前にいくつか飛ばして進軍を止める。ここからでは見えにくいが大地に穴が開いたようだ。
発動状態を維持するのは魔力の無駄だがそのほうがこちらに強力な魔法使いが無数にいるのだと判断されるので上空に無数の火球を展開したまま相手の出方を待つ。
相手は歩兵の動きでは魔法で殲滅されると判断して2000の騎兵をバラバラに動かして近づく作戦に出た。たしかに騎兵の機動力ならこちらの魔法でも隙間が生まれるので攻撃範囲から逃げられると判断したのだろうがそれは非常に甘い。わたしがそのぐらい予測してないと思っていないはずはない。
「《ダイヤモンド・ダガー》!」
こちらに進軍する騎兵の足を止めるために地面に無数の刃の領域を前面に作る。この刃に触れると馬の足はもちろん人の足ですら簡単にズタズタだ。馬の胴体を狙うと回避は出来ると思うが足を狙われている上にこれだけ広ければまず逃げられない。結局勢いのついた騎兵のすべてがこれに捕まり馬はすべて足を切られ馬上の人が大多数落馬して残りがなんとかその刃を避けて後ろに逃げた。
魔法を解除して元の平地に戻すと馬や人の死体が山ほど出来るのでこれをどうにかしなければ進軍は不可能だ。最初の一日目はそうして終わった。
2日目は魔法の威力を恐れてうかつに進軍するのではなく確実に陣地を進める作戦に出てきた。ある程度進みつつ死体をかたづけて防衛用の柵を立てるという地道な作業だ。わたしが攻撃しようと思えばいくらでも出来るが敵本隊が到着するまではなるだけここに引き付けるのが仕事なのでのんびり食事しながら敵を見ていた。
3日目は投石器や移動櫓による攻撃だったが投石は魔法防壁で弾いて移動櫓は魔法攻撃で近づけさせないようにした。こちらの兵数を把握されるのはまずいからだ。それ以外では砦に接近してくる兵士たちなどもいたが砦によじ登ろうにも梯子よりも高い壁と深く幅の広い堀に加えエンチャントした柵をいくつも作っていてそれが立ちはだかり接近できない。弓矢や魔法で攻撃してくるが反撃はしないしこの壁がそんなものでどうにかなるはずも無い。
4日目は後方から砂塵が舞い上がり敵本隊が到着した。数を確認するとその数は予想より1万以上多い65000ほど。どうやら戦争に不参加を決めていた周囲の貴族から追加の兵を募集したのだろう。敵はかなり近くまで接近していて弓矢が届くぐらいまで進軍できる状態だ。
(いくらやろうと無駄なんだけどね)
ハッキリ言えばこちらに兵を向ければ向けるほど後方ががら空きになる。そろそろユーフォリアたちが仕事を開始し始める頃だろうと判断して連絡する
「こちらリーヴリル。敵は予測より多くの兵を動員してきた。そちらの仕事はどう?」
「こちらユーフォリア。仕事の方は非常に順調です。兵士たちが完全にいないので物資や財産などは奪い放題です。【魔法の倉庫】に次々入れています。この分だと南部が財政破綻を起こすのは確実です。リースリットはハインケル公爵らのところに向かい説得工作をしてシャナさんは領地の占領を行っています」
リースリットに連絡を入れる。
「リーヴリル!こっちはすぐにでもハインケル公爵様たちを動かせるよ。戦場はどうなの?」
予想より兵数が多いことを伝えると。
「わかった!これなら戦争に参加している貴族家などの防備はまったくないんだね。穏健派の人達と共に背後を強襲して領地を奪い取るよ」
最後にシャナに連絡を入れる。
「リーヴリルか。こちらの仕事はもうほとんどおわったぞ。それにしても南部の兵たちは恐ろしく弱いのぅ、これでは遊びにもならん。まぁ鬼神族であるわらわから見れば当然か。ゴーレムたちとともに目立った貴族の妻や子供、家臣などの家族も捕虜にした」
全員やるべき仕事は終えたようだ。
「南部の援軍が領地などを完全に制圧するまでみんなはそこで待機して。奪った領地などの統治は向こうに回して利権はこちらで握る。これだけの広さになるとコントロールが難しいから戦争に参加しなかった貴族家に統治などを委任する。もちろん戦争に参加した貴族家のいくつかの特権はこちらにもらうけどね」
全員が了承の返事を出す。もはやかれらは帰る場所も財産も何も無くなった。賠償金などはごねるので先に回収させているのだ。さて後やるべきことはこの戦争を圧倒的に勝利するだけだ。これだけの捕虜を取られ何もかもを押さえればもう南部には敵対勢力などいなくなる。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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