オヤジが生まれ変わって?系救世主

無謀突撃娘

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エクリプス辺境伯家22

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「今後とも長い付き合いをお願いします」

 私達4人は部屋から出る。ここはディングル王国のとある商会の部屋だ。エルフの私メリッサを中心に妖精族と獣人族と鬼族の4種族でエクリプス辺境伯家から作り出される品々を売りに来たのです。

 辺境伯様は私達を差別していた南部の人間族とは違い寛大で優しく大量の亡命にもかかわらずすべて受け入れてくれました。仲のいい人達などに区分けして村々などを作り住居などを用意して生活環境をすべて不足なく自治権などだけでも破格なのに革新的な新技術を惜しみなく与えてくれました。

 それらは種族の秘匿技術として扱い他者に漏らさないことを約束してくれました。そのおかげで格段に豊かな生活が未来に用意されました。ですが、辺境伯様は他国の一族や仲間たちともこの技術を共有したらどうかと言われていて私達を商隊や交渉役などに命じて品々などの交易路をいち早く確立しようと莫大な金額を予算として組んでいます。

「今はまだ王国か南部しか交流が無いから仕方が無いけどこれからは南部との関係改善が出来るからそちらにも回さないといけないだろうね。思うところは多分にあるだろうけど領地には通貨がほとんど流通してないからその獲得を最優先にしないといけない」

 食料などは何不自由せずにあるのですが塩などの必需品が不足していて辺境伯様は出来るだけ早くそれらが行き渡るように考慮しています。この領地に来てからはすべて必要な量を計算して申請して出されていましたがいくらなんでも一生面倒を見ることなど不可能です。

 いくら領主でも万単位の住人の生活を見ていることなどありえません。生活などを豊かにするために知恵を出したり人を使うのが仕事でその人の生活はその人が自分で行うのが最低限の常識です。

 これまでは全財産を放棄して亡命してきたため生活補填を全部見てもらいましたが莫大な広さで肥沃的な穀倉地帯を初め豊富な鉱山資源や近くの森などから採取される木の実などや果物、王国や南部からも商隊などが来るなどして衣食住が保障されたのでこれからは私達が自立して生活できるように働かなくてはいけません。

 その最初の一歩として生産された品々を王国に売りに来たのです。販売品の評判は非常に良くすぐさま完売になり多額のお金を手に入れることが出来ました。

「この分だと買い手はまだまだ増えますね。他国の仲間たちを呼ぶなどして生産量を増やしましょう」

 人間族は血の繋がりや身分同士の繋がりを重要視するがそれ以外はほとんど種族同士や仲間同士で繋がりが強い。亡命したすべてが南部で非常に辛い生活だったので団結しなければいけなかったからだ。

 ハッキリ言って貴族などは信じてはいない。彼らは平然と人を貶め見下し生活を乱す。辺境伯様など一部は友好的だが大半はこういう奴らだ。

 ここに亡命してすぐに王国の貴族たちが「我らを重臣にして統治を任せろ」と言い大多数来たがほとんどが追い払われて残ったのは偏見や差別しない人たちでした。彼らは警備兵などに任され領地の治安を守っています。

 領地の法は分かりやすく人道的に沿って作られていて誰であろうともそれを破れば罰を受けるようになっていて良くても強制労働が待ち受けていて悪ければ領主様が『首輪』を付けます。これを付けられたが最後彼らにはひたすら善行を積むしかなく逃げ出せません。

 実は一人王国の上位貴族の子供がそれを付けられた後の姿を見ています。何度と無く私達の街に来て乱暴狼藉を繰り返して王国に突き出されても父親が王様に気に入られているので軽い罰で釈放されることを繰り返すことを怒った領主様が、

「お前に与えられる罰はこれしかない。自らの愚かさに気づかず秩序を乱す愚か者が!」

 王国の法が手緩いと断じて『首輪』を付けられた彼は最初こそ反発していましたが今では真面目に働く一市民になり毎日鉱山で労働に励んでいます。そのように変わっていく姿は変化というより変貌というほうが正しくもはや彼には労働以外の自由がありません。

 【空駆ける馬車】で領地に戻り手に入れたお金を先に税金の分だけ引いてから公平に分配します。税金はかなり安いのですが当分は生活資金に回しますがまだ手が入っていない未開発地域も王国にはあるので将来そこで生活できるようにある程度は貯金しなくてはいけません。この領地は非常に住みやすい場所で何も問題ありませんがこれからは他国から多くの種族が大量に来ることを見越しておかなくてはいけません。

 もっとも、領主様がほぼすべて魔法などで開発を凄まじい速さでできるのでただ生活すればいいだけなのですがさすがに一から十まで面倒を見てくれるわけがありません。

 私達に仕事を出来るだけ回したり子供には文字の書き方や計算などを勉強できる学舎という物を建てたりして帳簿の計算は完全に赤字なのですが催促の声は一度として来ていません、だから、それらを早めに返済するためです。

 最初の交易は見事成功したので皆がやる気を持っています。ところが2回目の交易から大問題が発生したのです。

「これらの交易品には王国から手数料が発生します。具体的には・・・・・・」

 交渉者が完全に変わりました。彼らはなんだかんだとこちらの販売額に「これは相場より暴利といえるほど高すぎる。だからこちらで査定した金額にしてくれ」と文句を付けてきました。

(こいつらは南部の貴族たちと同じだ)

 貴族家の者たちなのでしょう。臣下として入れなかったため交易での利権を手に入れようと無理矢理にでも従わせようとしているのです、ハッキリ言って価格はかなり安くしていますし向こうの要求だと大赤字です。愚かにもほどがあります。

 さらに彼らは生産場所を教えろとか独占権などを契約に入れてきます。露骨な引き抜きすら平然としてきます、さすがに疑問が大きすぎるので、

「あなた達は本当に交易をする気があるのですか?」

「これは『王国』のためになる取引だ。いいからサインをしろ」

 返ってくる返事はこれだけです、完全な押し付け以外ありえません。書類内容を説明せず無理やり書かせるのは脅迫罪になりますが自分たちは貴族なのでどうとでも逃げられると思っているのでしょうか?

 結局話し合いは完全に決裂して領地に帰ることになりました。シャナ様らにそのことを報告します。

「そういうことか。安心するがよい、リーヴリルならすぐに手を打ってくれるじゃろう」
 
 数日後、最初に取引をした人達と王妃様から使いが来て「前よりも高い金額で取引したい」と謝罪してきました。王国のほうでもそういう貴族らがいて彼らの横暴を正式に詫びました。

 ステラという少女が参加してきて南部方面の交易の通訳を受け持つことが説明されました。政治に変化がおきたのでこれから商人などが入ってくるそうです。

 私達としては弾圧した南部の人とはあまり顔を合わしたくありませんが、

「あなたたちの種族の家宝ともいえるものが南部には数多くあるからそれを交易条件で出させる」

リーヴリル様らからそういわれました。確かにかなりの財産が奪われていまだにそれを取り戻してはいませんし違法な取り引きなどは絶対に出来ないようにすると約束してくれました。

 とりあえず「早く仲間が来ないかなぁ」とぼやきつつ仕事に精を出す毎日です。次からは南部方面に生産物を交易する計画です、理不尽な要求をしてくるのなら問答無用で締め付けるとリーヴリル様は話していましたので横暴な態度は取れないでしょう、そうして交易の分配金を計算しながら明日をからの仕事を確認して眠りに尽きます
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