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エクリプス辺境伯家23
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「これはどういうことか説明してほしいんだけど」
リミナージュ会頭のであるワシ、アルベルトと連れてきた商人たちは目の前の斬新な服装の絶世の美少女に見えるエクリプス辺境伯様からの言葉と目の前にある物との間で苦悩を深めていた。
娘であるリーシャから言われてこの領地に交易に来て売られている品々に目を疑った。莫大な食料を初め装備に織物に細工品にポーションなど世界中のどこにもない様々な品々に目を輝かせている。
まず最初に領主であるリーヴリル様に挨拶に行くことにしたのだが、
「初めまして、南部の商人の方たち。私の領地に良く来てくれましたね」
そこにいたのは恐ろしく可愛くて年下で斬新な服装をしている姿の少年・・・なのだが少女と言っても疑いがもたれないような相手だった。
まず最初に交易を始めるに当たった挨拶の代わりとして通貨や金銀財宝などを出来る限り用意してきたのだ、こういうことはどこでも同じでその領主への信頼を獲得するための商人としての常識だったのだが、
「これは?」
「交易を始めるために権利の購入金額です。どうぞお納めください」
木箱の中身を確認し始めるととたんに少し表情を変えたのをワシは見逃さなかった。それは中身を見るにつれて確実に顔に表れ始めて最後は呆れたような溜息をつく。
「すまないけどどれが自分が持ってきた品々なのかを分けて」
そうして商人たちは品々を分け始める。それが終わるとメイド服の美女がそれを左右に分け始める。かなり重いはずなのだが平然と持ち上げて動かす。
7割ほどが右に、残りが左側に分けられ商人たちに自分の品物の前に立つように言われる。
「右側の人はこれを持って帰っていいよ。金輪際二度とこの領地に来るな、この偽商人」
非情な発言。今後交易など許しはしないという明確な拒否だ。
「なぜですか!」
怒りの表情を浮かべている商人達だがそれを冷静かつ残酷に、
「意味がわからないの?ああ、説明がほしいのね。だったら簡潔にいうよ、こんな『偽物』で取引相手を騙そうとする相手になんか関わりたくないの」
何人かの商人がうろたえ始める。
「どこにそんな証拠があるのですか?」
一人の商人がそんなものは交易品を売らない理由にはならないのだと反論するが、
「だったら証拠をハッキリと確認させてあげる」
そうして水差しを持ってこさせてその水を右側の財宝にかけるととたんに嫌な匂いの煙が上がりしばらくたつと。
「これでもまだ嘘を付けるの?」
現れたのは粗悪な銅通貨やボロボロの錆び付いた細工品やクズインゴットなど様々だった。全部にかけると同じ様になりただのガラクタに変わってしまった。完全な贋作の粗悪品だ。
「これは【真実の水差し】といって中の水をかけるととたんにメッキなどが剥がれて本当の姿を現す。よくもまぁこれだけの数を用意できたと感心するんだけどこんなに多いんだと交易を締め付けないといけないね。メッキ加工の技術はこちらにもあるけどそれは購入者には必ず説明しているよ」
呆れ顔のリーヴリル様。
「リミナージュ商会の会頭殿」
「は、はいっ!」
「偽通貨や贋作の細工品などを説明も無しに売りつけることは重罪だよね?あなた達は本物を用意したけど半分以上が偽物で取引をしようとした。おそらく軍部と癒着していた商人たちがここでも甘い汁を吸えると思ったんだろうけどそうはいかないよ」
「・・・・・・」
「わたしがなぜ関所などを作らずにしている理由が分からないの?出来るだけ早く交易を通じて関係改善をして欲しいと考え無駄なお金を取って物価が上がり過ぎないように配慮しているからだよ?いちいち関所で持ってくる品々を確認させている時間がもったいないし誰からしても安い方がいいに決まっているからね」
ただただ黙るしかなかった。
「それをそっちがぶち壊そうとするならこっちにも考えがあるよ。南部全域の経済をストップさせて都市や町などの生活を完全に破壊も出来る。なんなら更地に変えようか?」
それが可能か不可能かと言われればどうなるか分からない。南部の軍部を完全に崩壊させた張本人からすればそのぐらいはやれるかもしれないからだ。
「で、この信頼関係を壊すような不始末をどうしてくれるのかな?」
もう答えは一つしかなかった。
「・・・こいつらを捕縛してハインケル公爵らに突き出せ」
連れてきていた護衛たちに全員捕縛させる。
「会頭殿!同じ南部の商人でありながら裏切るのですか!」
残念だが明確な証拠がある以上逃げ道がない、ここで切り捨てなければ本当に南部が滅んでしまう。そいつらは全財産を没収され家族共々一生信仰に生きる生活をさせることにするのだと説明する。その大部分をエクリプス辺境伯様に献上して信頼が切れないようにするしか方法が無い。
「これでよろしいですか?」
「まぁ、このぐらいでいいでしょう。ステラ」
「はいっ」
「残った人たちの商会などにあわせて交易品の比率の分配を計算して。身内だからって甘く査定したりしたらダメだからね」
ステラは公平に金額に見合った品々を見積もっている。孫としてその成長は嬉しいのだがどこか寂しくもあった。もうハインケル公爵らとは血縁関係も相続権も失っているのでここで真面目に働くしか方法が無いからだ。
算盤という球で数字を数える道具をつかい購入可能な品々の見積もりを行いここに来た全員に均等に分配する。
「予想していたより多いのですが?」
「他国ではどうだか知らないけどここではこれで適正価格です」
甘くしないと言ったのだが用意した馬車全てが満載になるまで品々を積み込むことになった。
それらが終わると何かプレートのようなものを渡される。
「これは私が用意したオリハルコン製のプレートであなた達を『南部取引商人』を認める契約書代わりの物。商人として守るべき規律を書き込んでいてここで取引するために必要不可欠な物だから無くさないでね」
「ハ、ハハッ!」
とても貴重で優れたオリハルコンを契約書代わりに使うなどどんな大富豪でも不可能だが逆に言えばそれだけ信頼されているのだと言える。こんな物が渡されるとはよほど南部との交易を期待しているのかは一目瞭然だ。今後とも長い付き合いが必要だということだ。
「これをどのように売るかはあなたたちの商才に任せる。忠告しておくけど悪どく儲けたり偽物などを持ってきたりしたら容赦なくそれを取り上げて追い出すからね」
品物を積み終わるまでには少し時間がかかるので領地を見て回ることにした。町の建築方法は非常に頑丈で衛生的で何も不自由しない。そのうえ近くからは新鮮な食材が次々と手に入り調理方法などは世界中のどこよりも豊かだ。
「アルベルト殿。ここの料理はどれも見たことがない上に非常に美味しいですな」
一緒に来た商人たちとともに宿で食事を取っている。初めて料理を見たときは正直ゲテモノのような感じだったが食べ始めるともう止まらなかった。ひたすらに胃袋に詰め込み酒を飲む。この酒も南部のものとは味も風味も別物といえるほど美味いしよく冷えているのだ。
氷属性の魔法使いは少なく普通は生ぬるいのだがここではなんと酒を冷やす貯蔵庫だけではなく氷まで作り出せる魔道具が酒場には常備されている。高級品である氷がタダでいくらでも使えるのでこの魔道具を作り出した人物を聞くと、
「この酒場を設計したのはエクリプス辺境伯様だよ。『酒には適切な管理と温度調整が必要であり、それを保つためには氷も必要だ』って言ってね、すぐさまその貯蔵庫や魔道具を出してくれたんだよ。酒の造り方もいくつかあって甘口や辛口など色々あり好みがあるっていってすべて用意してくれたんだよ。いまはまだここで酒造りが始まっていないから用意するのは難しいんだけど辺境伯様に申請すればいくらでも用意してくれるよ。近くに大規模な鉱山があるからここには頻繁に労働者が来るからね」
まったく、どこからこんな美味い酒を大量に用意しているか不明だけどいい領主様だよ、と。
商人たちのざわめきが大きくなる。これが本当ならば世界中のどこにもない技術や知識がまだこの領地には数多く眠っていることになるな。この料理や酒だけでも個人的に持ち帰りたいぐらいだ。
「あんたらは南部の人だろ?」
「そうだが」
「ここに居る大半は元は南部からの移住者だから迂闊な言動や行動はしないほうがいいよ。いまだに恨みが深く残っていて領主様から乱暴狼藉の類を起こせばすぐさま罰が与えられる。たとえ誰であろうともここでは『法律』が最優先にされていて領主様とて例外ではない。賄賂などで誤魔化そうものなら死ぬよりもつらい厳しい罰が待ち受けているから」
王国の上位貴族の子供らが何人かがその罰を受けて行方不明になっているのだとか。間違いなく嘘ではないだろう。先ほどその姿を見てきたのだから。今後取引を続けるには誠心誠意嘘偽りなく行動するべきなのだと全員が思った。そうして馬車に満載した交易品を持ち帰るとすぐさま多大な利益が出る、まだまだ発展の余地が十分あるのでお得意様になるために色々と考えることにした。
リミナージュ会頭のであるワシ、アルベルトと連れてきた商人たちは目の前の斬新な服装の絶世の美少女に見えるエクリプス辺境伯様からの言葉と目の前にある物との間で苦悩を深めていた。
娘であるリーシャから言われてこの領地に交易に来て売られている品々に目を疑った。莫大な食料を初め装備に織物に細工品にポーションなど世界中のどこにもない様々な品々に目を輝かせている。
まず最初に領主であるリーヴリル様に挨拶に行くことにしたのだが、
「初めまして、南部の商人の方たち。私の領地に良く来てくれましたね」
そこにいたのは恐ろしく可愛くて年下で斬新な服装をしている姿の少年・・・なのだが少女と言っても疑いがもたれないような相手だった。
まず最初に交易を始めるに当たった挨拶の代わりとして通貨や金銀財宝などを出来る限り用意してきたのだ、こういうことはどこでも同じでその領主への信頼を獲得するための商人としての常識だったのだが、
「これは?」
「交易を始めるために権利の購入金額です。どうぞお納めください」
木箱の中身を確認し始めるととたんに少し表情を変えたのをワシは見逃さなかった。それは中身を見るにつれて確実に顔に表れ始めて最後は呆れたような溜息をつく。
「すまないけどどれが自分が持ってきた品々なのかを分けて」
そうして商人たちは品々を分け始める。それが終わるとメイド服の美女がそれを左右に分け始める。かなり重いはずなのだが平然と持ち上げて動かす。
7割ほどが右に、残りが左側に分けられ商人たちに自分の品物の前に立つように言われる。
「右側の人はこれを持って帰っていいよ。金輪際二度とこの領地に来るな、この偽商人」
非情な発言。今後交易など許しはしないという明確な拒否だ。
「なぜですか!」
怒りの表情を浮かべている商人達だがそれを冷静かつ残酷に、
「意味がわからないの?ああ、説明がほしいのね。だったら簡潔にいうよ、こんな『偽物』で取引相手を騙そうとする相手になんか関わりたくないの」
何人かの商人がうろたえ始める。
「どこにそんな証拠があるのですか?」
一人の商人がそんなものは交易品を売らない理由にはならないのだと反論するが、
「だったら証拠をハッキリと確認させてあげる」
そうして水差しを持ってこさせてその水を右側の財宝にかけるととたんに嫌な匂いの煙が上がりしばらくたつと。
「これでもまだ嘘を付けるの?」
現れたのは粗悪な銅通貨やボロボロの錆び付いた細工品やクズインゴットなど様々だった。全部にかけると同じ様になりただのガラクタに変わってしまった。完全な贋作の粗悪品だ。
「これは【真実の水差し】といって中の水をかけるととたんにメッキなどが剥がれて本当の姿を現す。よくもまぁこれだけの数を用意できたと感心するんだけどこんなに多いんだと交易を締め付けないといけないね。メッキ加工の技術はこちらにもあるけどそれは購入者には必ず説明しているよ」
呆れ顔のリーヴリル様。
「リミナージュ商会の会頭殿」
「は、はいっ!」
「偽通貨や贋作の細工品などを説明も無しに売りつけることは重罪だよね?あなた達は本物を用意したけど半分以上が偽物で取引をしようとした。おそらく軍部と癒着していた商人たちがここでも甘い汁を吸えると思ったんだろうけどそうはいかないよ」
「・・・・・・」
「わたしがなぜ関所などを作らずにしている理由が分からないの?出来るだけ早く交易を通じて関係改善をして欲しいと考え無駄なお金を取って物価が上がり過ぎないように配慮しているからだよ?いちいち関所で持ってくる品々を確認させている時間がもったいないし誰からしても安い方がいいに決まっているからね」
ただただ黙るしかなかった。
「それをそっちがぶち壊そうとするならこっちにも考えがあるよ。南部全域の経済をストップさせて都市や町などの生活を完全に破壊も出来る。なんなら更地に変えようか?」
それが可能か不可能かと言われればどうなるか分からない。南部の軍部を完全に崩壊させた張本人からすればそのぐらいはやれるかもしれないからだ。
「で、この信頼関係を壊すような不始末をどうしてくれるのかな?」
もう答えは一つしかなかった。
「・・・こいつらを捕縛してハインケル公爵らに突き出せ」
連れてきていた護衛たちに全員捕縛させる。
「会頭殿!同じ南部の商人でありながら裏切るのですか!」
残念だが明確な証拠がある以上逃げ道がない、ここで切り捨てなければ本当に南部が滅んでしまう。そいつらは全財産を没収され家族共々一生信仰に生きる生活をさせることにするのだと説明する。その大部分をエクリプス辺境伯様に献上して信頼が切れないようにするしか方法が無い。
「これでよろしいですか?」
「まぁ、このぐらいでいいでしょう。ステラ」
「はいっ」
「残った人たちの商会などにあわせて交易品の比率の分配を計算して。身内だからって甘く査定したりしたらダメだからね」
ステラは公平に金額に見合った品々を見積もっている。孫としてその成長は嬉しいのだがどこか寂しくもあった。もうハインケル公爵らとは血縁関係も相続権も失っているのでここで真面目に働くしか方法が無いからだ。
算盤という球で数字を数える道具をつかい購入可能な品々の見積もりを行いここに来た全員に均等に分配する。
「予想していたより多いのですが?」
「他国ではどうだか知らないけどここではこれで適正価格です」
甘くしないと言ったのだが用意した馬車全てが満載になるまで品々を積み込むことになった。
それらが終わると何かプレートのようなものを渡される。
「これは私が用意したオリハルコン製のプレートであなた達を『南部取引商人』を認める契約書代わりの物。商人として守るべき規律を書き込んでいてここで取引するために必要不可欠な物だから無くさないでね」
「ハ、ハハッ!」
とても貴重で優れたオリハルコンを契約書代わりに使うなどどんな大富豪でも不可能だが逆に言えばそれだけ信頼されているのだと言える。こんな物が渡されるとはよほど南部との交易を期待しているのかは一目瞭然だ。今後とも長い付き合いが必要だということだ。
「これをどのように売るかはあなたたちの商才に任せる。忠告しておくけど悪どく儲けたり偽物などを持ってきたりしたら容赦なくそれを取り上げて追い出すからね」
品物を積み終わるまでには少し時間がかかるので領地を見て回ることにした。町の建築方法は非常に頑丈で衛生的で何も不自由しない。そのうえ近くからは新鮮な食材が次々と手に入り調理方法などは世界中のどこよりも豊かだ。
「アルベルト殿。ここの料理はどれも見たことがない上に非常に美味しいですな」
一緒に来た商人たちとともに宿で食事を取っている。初めて料理を見たときは正直ゲテモノのような感じだったが食べ始めるともう止まらなかった。ひたすらに胃袋に詰め込み酒を飲む。この酒も南部のものとは味も風味も別物といえるほど美味いしよく冷えているのだ。
氷属性の魔法使いは少なく普通は生ぬるいのだがここではなんと酒を冷やす貯蔵庫だけではなく氷まで作り出せる魔道具が酒場には常備されている。高級品である氷がタダでいくらでも使えるのでこの魔道具を作り出した人物を聞くと、
「この酒場を設計したのはエクリプス辺境伯様だよ。『酒には適切な管理と温度調整が必要であり、それを保つためには氷も必要だ』って言ってね、すぐさまその貯蔵庫や魔道具を出してくれたんだよ。酒の造り方もいくつかあって甘口や辛口など色々あり好みがあるっていってすべて用意してくれたんだよ。いまはまだここで酒造りが始まっていないから用意するのは難しいんだけど辺境伯様に申請すればいくらでも用意してくれるよ。近くに大規模な鉱山があるからここには頻繁に労働者が来るからね」
まったく、どこからこんな美味い酒を大量に用意しているか不明だけどいい領主様だよ、と。
商人たちのざわめきが大きくなる。これが本当ならば世界中のどこにもない技術や知識がまだこの領地には数多く眠っていることになるな。この料理や酒だけでも個人的に持ち帰りたいぐらいだ。
「あんたらは南部の人だろ?」
「そうだが」
「ここに居る大半は元は南部からの移住者だから迂闊な言動や行動はしないほうがいいよ。いまだに恨みが深く残っていて領主様から乱暴狼藉の類を起こせばすぐさま罰が与えられる。たとえ誰であろうともここでは『法律』が最優先にされていて領主様とて例外ではない。賄賂などで誤魔化そうものなら死ぬよりもつらい厳しい罰が待ち受けているから」
王国の上位貴族の子供らが何人かがその罰を受けて行方不明になっているのだとか。間違いなく嘘ではないだろう。先ほどその姿を見てきたのだから。今後取引を続けるには誠心誠意嘘偽りなく行動するべきなのだと全員が思った。そうして馬車に満載した交易品を持ち帰るとすぐさま多大な利益が出る、まだまだ発展の余地が十分あるのでお得意様になるために色々と考えることにした。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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