チート奴隷使いですが文句ありますか

無謀突撃娘

文字の大きさ
6 / 13

傭兵家業5

しおりを挟む
「ハクロウ殿、優先的な脅威の排除真にありがとうございます」

ナルダーの重役や傭兵ギルドの幹部は非常に笑顔だった。傭兵らが少なくなり物資も不足し他の都市ともまともな貿易が出来なくなるなどかなり危険な状態だったそうだ。

「こちらは依頼された仕事をしただけです。それよりも奴隷の子供らがいるのなら買いたいと思います」

相手は新しく傭兵らを雇おうとしても所持金が不足してるので奴隷を買うことで少しでも解消したいと考えていた。大人の奴隷らも買ってくれるように言ってくるが拒否する、反抗的で扱いづらいし装備と訓練を徹底させれば忠実な子供らのほうが信頼できるのだ。

奴隷は全て買えないので10000×250人買うので250万ギニーを支払う。この子らに訓練を施しつつ一緒に生活しながらこの都市での依頼を捌いていく。やはり新しい子供らは最初は馴染みづらいのでその辺りのケアを時間をかけて行なう。戦闘兵が多く欲しいが無理なら支援兵など色々役割も出来ているので数あまりとなることは無かった。お金や食料や装備などは自分の【無限収納】でいくらでも持ち運びができるので無駄に場所をとらないのが強みだった。

「それでは近隣の警備に行きたいと思います」

今日は周囲の警備の仕事だ。大体は掃除してるがどこからモンスターが現れるとも分からないのでこういう仕事は重要なのだ。出て行こうとするとやたら豪華な服装をした人たちがギルドに来た。

「『白狼』のリーダーは居るのか!すぐさま出て来いと伝えろ!!」

かなり乱暴な口調だ、こいつらは貴族か。出て行こうとするのを止めて近づく。

「自分がハクロウですが」

そいつらは自分を値踏みするように見ているが何の関心もない。

「われらの領地で魔物が暴れている、今すぐ依頼を受けてもらおう」

問答無用で自分たちの都合を押し付けてきた。視線はどう見ても見下しているとしか思えない。

「自分はこれから近隣の警備に出なければいけません。依頼の方は傭兵ギルドに出してください」

「何だと!貴族である自分らの依頼を後回しにするというのか!

貴族貴族うるさいがそれにどれほどの価値がある?実力で手に入れたのおならともかく圧倒的人数は親と金で手に入れていた。すぐさま抗議を上げるがギルド職員らが割って入る。

「貴族の方々、あなた達は私兵をお持ちのはずです。それならそちらで対応してください。無理なら依頼を出してください。事情を聞いて優先順位を判断しハクロウに依頼を出します」

「本人が目の前に居るのだからすぐさま受けてもらう!」

「ハクロウにはすでに依頼を数多く抱えていて割り込む余裕はありません!」

押したり引いたりと忙しい話となる。

「なぜ貴族であるわれらの話が通らないのだ」

「ですから依頼が大量にあり受けるのが無理なのです」

いつまでたっても話は進まない、もう30分になるが。

「金ならいくらでも出すから他の依頼を取り下げろ」

「そんな馬鹿なことが出来るわけないでしょう。無理を言って派遣してもらったのに使い潰したら両都市から二度と信頼してもらえませんよ」

それからさらに白熱していく。貴族らは今すぐ依頼を受けろと一点張りでギルド側は依頼がすでに一杯で待てとだけしか言わなくなる。こういうのはどこでもあるのだろうが相手より上の条件を出せばどうにかなると言う悪い典型だった。こんな話に何の意味もないと感じてるが一応最後まで付き合うことにした。

「たかか傭兵を上手く使ってやろうというのだ、さっさと来い!」

「その傭兵がいなければ都市の運営が成り立たないのですよ!」

時間が絶てばたつほど険悪さが浮き彫りになっていく。他のギルド職員から、

「あいつらはこちらで何とかしますから依頼を捌いて下さい」

と言われて出て行く。

こういう傲慢な奴らが多すぎるのでどこでも苦労しているようだ。依頼をこなしつつ周辺の警備や商人らの護衛などをこなしていくと徐々にだが都市の治安は良くなっていき経済も持ち直していく。その間も貴族などから横槍を何度か入れられたが傭兵ギルドから順番を守れとだけ言われて一応黙っているようだ。

「次は貴族の依頼か」

ある程度仕事をこなしていくとどうしても出て来てしまうこの問題、依頼主は貴族らしく大金だが本当に払えるのか不安だった。

「よくぞ来てくれたな」

少し高圧的な態度は典型的な姿であり別にどうと言う事は無い。

「早速ですが依頼内容を確認したいのですが」

内容は魔物の一掃だけ、それだけしか言わない。場所も情報も何もいわずそれだけ。普通はある程度情報を教えるものだが決まりきったようにそれだけしか言わない。結局これ以上の話は不可能だとして魔物の排除に向かう。それなりに強い固体が多く数も多いため3部隊に分けて動かす。各自情報の更新を最優先で行い敵を倒していく。半月ほどで安全確保が終わり依頼主に報告することになったのだが、

「ご苦労だった」

非常に不機嫌な顔をしていた。まるで依頼を達成して欲しくなかったように。

「報酬を支払ってもらいたいのですが」

それはギルドのほうに言ってくれ、と。おかしい、本人から支払うと書いてあるのに。

「依頼内容ではここで支払う約束ですが」

「ギルドのほうに行け」

決まりきったようにそれしか言わない。

「ふざけているのですか?依頼を達成したのだから支払うべきモノを出してください」

「・・・・・・」

こっちもそれなりに苦労してるのでこのままだとタダ働きとなる。

「ですから報酬を」

「金に汚いのはクズな傭兵らしいな、お前らなぞ役目が終われば必要など無い」

こいつ、何て暴言を言いやがる?金に汚い、それは当然だ、名誉や善意などでは飯は食えない。どうやらこいつは自分の愚かさを分かっていない。

「報酬を未払いにすると言うのですか」

「そうだ。自分らの役に立ったのだからそれでいいはずだ」

ハッキリと断言しやがった。そんなことをすれば今後は傭兵ギルドにどんなに頼んでも依頼は出来なくなるぞ。こいつの頭の中はどうなっている。馬鹿には違いないがこんな簡単な後先すら見えてすらいない愚か者の極みだった

「おまえらなぞ貴族である自分らに使われるだけで十分だ、金などを支払う意味も無い」

「分かりました」

こちらのほうから引き下がる。こんな奴らは現実の恐ろしさをまったく理解してないようだ。傭兵ギルドに戻り嘘偽り無く報告すると、

「あのクズ貴族が!せっかく依頼を受注したと言うのにこれが答えですか!!」

全員が怒りの表情を浮かべる。

「ネームカラーが『青色』以上だと報酬の未払いなどあってはなりません!他の貴族らの依頼も全て取り下げましょう。今後は都市側だけの依頼に集中してもらいます。ハクロウ殿、せっかく来ていただいたのに申し訳ありませんが貴重な物資を不足分出しますからどうか都市に留まって下さい」

全員が頭を下げてくる。別に報酬の未払い自体や貴族の態度などどうでもいいが傭兵ギルドなどにとってはかなり大問題らしかった。役員らは近隣の貴族などの依頼を全て抹消し都市の利益になる依頼だけを斡旋するようになる。ここまでする必要があるのか?そう思うがこれが普通の対応らしい。

「各部隊は資源の確保だ、各自道具を受け取ったら作業するように」

今日は木材などを調達するために森に来ている、弓矢の消費が激しく補充しなくてはいけないのだ。それ以外に薬草やキノコなど山菜も確保する。強い体を作るには何よりも食べることが必要なのだから。毒性のある薬草やキノコなども採取させる、これらは新装備作成のために使うのだ。戦力増加のために毒矢などもそろそろ欲しくなったのだ。

「そろそろご飯にしようか」

「「「わーい」」」

お昼ごろになりご飯とすることにした。大鍋や薪などを出して簡易的な竈を作り料理を作る。基本は粥のままだがそれ以外サラダや焼肉なども少し出せるぐらいに余裕が出来た。味付けは魚醤油を基本にマヨネーズやケチャップやソースなども作成している。かなり大人数なので大量に必要だし自分が作っては時間が足りないので調味料以外の料理はほとんど子供達で行なわせている。

「いただきます」

「「「いただきま~す」」」

料理を作り終えると無我夢中で食べていく。育ち盛りなので出来るだけ多く食べさせる。こんな簡単な食事ですらも殆ど食べることが出来ない状況が大半の子供らにありここでは遠慮せず食べられるのですぐさま鍋の中身が減っていき空っぽとなる。新しい子供らも最初はオドオドしてたがしばらくすると馴染んでいく。基本的に犯罪行為は禁止して暴行を受けそうな場合のみ力を出せるようにしている。服などを買うには事前の申告が必要だがよほど高価でない限りは買ってあげている。

「(そろそろカインらは次の段階に行ってもよさそうだな)」

カインら最初に買った子供らは上のジョブに進ませても良いと判断している。このままでは十分に能力を発揮させることが出来ないほど実力を付けている。『ガーガス・オルタネイト・システムマスター』でカインを『半槍将』、エレンを『半剣将』、ミリオンを『精霊術師将』、ミエスクを『半弓将』、ミアータを『義賊』に変化させる。本人らは気がついていないが戦闘になればハッキリと自覚できるようになるだろう。『ガーガス・オルタネイト・システムサポートマスター』も追加しておく。ある程度制限がかけられるが部隊の明確な動きなどが分かるようになるしある程度自己判断できる権限も与えておく。いつか自分とて死ぬのだ。この子らが自分で居場所を守れるように強くなればそれが一番なのだから。

そうとは気がつかずに先を競って食べている子供らを笑顔で見つめていた。

3日は資源採取だけで終わった。モンスターなどは出てこず平和な時間で終わると思ったのだが、

「?」

ナルダーに戻ると都市全体が警戒態勢だった。

「ハクロウ殿、ちょうど良い時に戻ってきてくれました。連絡が行き違いにならなくて助かりました」

「どうかしたの?」

事情を聞くことにする。

「依頼金の未払いから貴族らの依頼を全部消したことで相手が怒り兵を集めて検問などを勝手にしてるそうです。村々にも兵を派遣して支配下においています。せっかく立て直す猶予ができたというのにこのままでは都市が崩壊します。グリムレムルフェルテ公爵様などに連絡を入れて戦を起こす大義名分を手に入れる工作を開始してます。多額の報酬を出しますからこの都市の防衛の依頼を受けてください」

もはや戦争状態寸前になったので信頼の置ける貴族などに戦いの正当性を主張して愚かな貴族らを追い出すことにしたそうだ。自分の部隊は最前線の主力として配置され戦うことになった。

自分らの軍勢は3000ほどで向こうは7000を越えるほど。普通に考えればまともに戦って勝ち目など無いがこちらには『白狼』がついていた。各部隊の将らは戦力差がありすぎることに不安を覚えているが、

「面倒なので戦後処理の話をしましょうか」

意外なことを自分は言い出した。

「なぜそんなことを?」

「どうせこっちの勝ちは約束されてますから傭兵団を率いるこちらとしては明確に手に入れたいものがあるのですよ」

「それは何かな?」

公爵様は非常に興味を持つ。

「こちらからは戦いがどうなろうと一切口を出さず眺めていてください、敵は全滅させ領地などは全てこちらが手に入れる、それに変わりはありませんが戦後処理で利権の分配などで揉めないようにきちんとしておくべきです」

こちらの要求は莫大なお金と各都市への融通、塩などの優先的な購入などだけ。領地などはすべてそっちに出すから今後一切自分らに何も口出しするなという保障をもらえればそれで十分だ。

「本当にそれでよいのか?」

公爵様らは釣り合いの取れない条件に困惑してたが結局折れた。

「各自柵を設置して待機」

柵などで防備を固める、この世界にはこんなことすらもしないようで大半が丸裸の防備だった。

「フィアナ、戦の醜さと愚かさを嫌というほど見せてあげるから逃げないようにね」

「はい」

彼女にはこれをきっかけに力をつけてもらわなくてはならない、相手のように愚かな行動が出来ないようにしっかりと教育する。翌朝戦笛が吹かれ本当の戦争になる。

「各戦術単位は3段構成で進撃してくる敵に弓矢を食らわせろ。相手が弱るまで接近戦は厳禁だ」

接近してくる敵全てにこちらのクロスボウの矢を絶え間なく打ち込む。向こうは馬に乗った人が多かったので簡単に的となり落馬しそこに仲間が押し寄せるので死亡、ただの力押ししかないので小細工無しで倒すしかない。矢の補充は交代で行い切れないようにして絶え間なく打ち続ける。夕暮れまでその戦闘が行なわれ結果は味方の負傷者無し、向こうは約3500人の死亡が確認された。もっともこれは自分の能力で確認しただけだが。

「なんてむごい」

フィアナや他の仲間らはあまりにも残酷に殺していくことに嫌悪感を顕にし吐き戻す人もいた。自分だってこんなのはしたくないが指揮官が無能ならどんな戦いにも勝てない。だが、これでこちらの攻撃が終わったわけではない。

「(N単位全員で夜襲し敵に『アサルト・ボム』を所かまわず投げ込め)」

『アサルト・ボム』 硫黄、木炭、マッカ石などを合成して作られた歩兵火器装備 着弾点を中心に爆破攻撃 金属片などを入れ込んでいてより凶悪化 大きさは拳ぐらい

これはあまり使いたくないが相手に同情などかけない。すぐさま部隊は闇の中移動して敵陣地に到着、一人につき30個持たせてあるので250人分も投げ込む。

ドッカ~ン、ドッカーン

「なんだなんだ!この音は何だ!?」

敵陣に大爆発の音が響き渡り休んでいた全員が右往左往、それを見逃すなどせずさらに踏み込んで投げ入れる。もはや敵陣は大混乱し敵が分からず同士討ちしてさらに死人が増える。こちらの部隊は小回りの効く子供らなので逃げ出すことなど容易いがこれでまだ終わりではない、さらにそこに部隊を繰り出して大打撃を与える。こちらも疲労が大きいが敵が混乱している今だからこそ戦力を減らす必要があるのだ。テントなどに火をつけてさらに煽り立てる。結局敵は陣地を放棄して着の身着のまま逃げ出した。

翌日敵が逃げ出したことを報告してみると全員が半信半疑だったので押さえた敵陣のところに行く。

「本当に勝ってしまうとは」

ここまでされるともうその実力を認めざるを得なかった、莫大な物資は馬車などで運ばせて残りの敵を一掃することにした。ここからは味方の出番となる。敵は壊滅状態なのでほんの少しの兵でも領地の制圧が可能なので正当性を確保するため味方の貴族の部隊で制圧したほうが反感も買いにくい。

「ヒッ!お前らは!」

さすがに部隊が壊滅してからすぐさま領地の制圧をするとは考えていなかったのだろう。別にこのぐらい当たり前だが自分以外はおかしいと考えていた。もっと堂々と余裕を持って進軍するべきだと判断していたがそれでは自分らがした仕事の意味が無くなってしまう。強引に説得して兵を出してもらった。

「これからこの領地はグリムレムルフェルテ公爵様が抑える、お前らは全員追放か死罪だ」

最終宣告を出して追い出すか処分する。多数の貴族らがそうしていなくなってしまう。とりあえず手に入れた領地は一時的に公爵様の手元に置かれ後で戦後交渉し分配することになる。

「ハクロウ殿、このたびは真にありがとうございます。おかげで無駄な貴族を一掃することが出来ました」

殆どの人はお礼を言ってくる。どうやら全滅させた敵は色々恨みを買っていたようでそれをほぼ壊滅させたことが喜ばしいようだ。まぁ、こっちも支払ってもらうモノは支払ってもらったしあいつらがどうなろうと何の関心も無い。こんな醜い殺し合いなどやりたくないが愚か者が多すぎてどうしても武力で制圧するしかないのだ。都市に戻ろうとすると公爵様が引き止めて部屋に来るように言われたので来る事にした。

「おおっ!ハクロウ殿、あれだけの人数でよく戦を勝利に導いてくれた」

嘘偽り無く感謝しているという姿を見せる。

「一体何の用ですか?こちらには戦後処理に口を出す権利は無いはずですよ」

領地だとか財産だとかの分配は口出しできないはずだ。

「そう寂しいことは言わないでくれ。かなりの貴族家を潰してしまい領地分配などで頭が痛いのだよ」

貴族にはそういう面倒な仕事があると。それはそっちの仕事だ、傭兵が口出しするべき仕事ではない。

「まずは勝利を祝おう、酒は飲めるか?」

完全に弱いので無理だと答える。

「手に入れた領地はしばらくこちらで管理しておく。傭兵ギルドらと協力して統治体制を固めてから分配するということにするからな。優秀な人物らを上に上げて基盤を固めるようにしよう」

「それが最善ですね」

「で、だ。フィアナに男爵位を与えようと考えておるのだがどうかな?」

別にそんなことぐらいで呼び出したのか。与えたいなら与えればいいし手に入れた領地だってかなり広い。

「そのぐらいのことで悩むのですか?」

「そなたは傭兵という立場だから気楽そうだが普通は大変なのだぞ。根回しは当然で他にも色々と・・・」

そういう長い話は面倒なので聞き流す。

「・・・・・・とにかく、フィアナとその母親が冷遇されておるぐらいは聞いておろう。他の兄弟や姉妹らから『下賎な血筋』と思われていて立場が危うく発言力も無い。君が出した条件を聞いたがかなりの無理がある。大人しく気弱なあの子がそれを手に入れてもすぐさま陰謀の種に成ってしまう。優秀な側近がどうしても不可欠だ」

「でしょうね。それは当然でありそうしなければ彼女はいつ殺されてもおかしくありません」

非常に厳しい条件だが自立して生きるためには乗り越えてもらわないといけない。基本的に自分の側にいてもらい側近らもこちらの息がかかった人間だけになるだろう。もちろん種族差別身分差別などは無しだ、勉強することは山ほどある。自分としては婚約などどうでもいいし彼女が力を持てば色々と便宜を図ってもらえるという打算もあるが現時点では手を出す気などまったく無い。それだけ傭兵の仕事が忙しいのだ。

「領地などは現時点では与えられないからもう少し時機を見てからにする」

「それはいいのですが彼女の母親など関係の深い人間をこちらの方に出してください」

フィアナの勢力が増せば人質を取る可能性がある。先を見越してこちらに確保しておく。その人たちは自分らの手元において生活させる。冷遇されているということなので生活は貧しいだろうし誰かしら大人は欲しかったのだ。いつまでも子供だけで運用するのは難しく調理や裁縫などなど仕事は多い。

「色々とすまぬ」

「先に明言しておきますが乱暴狼藉の類をすれば追い出しますから」

そうしてすぐさま公爵様からフィアナの母親や家族などをこちらに呼んでくれた。

「始めまして。フィアナの母のファレナ・ベーリングと言います」

「始めまして。傭兵団のリーダーのハクロウです」

連れてきた人数は僅か20人しかいなかった。全て女性である。

「私の家族は殆ど殺されてしまい戦士として身を立てていて幸か不幸か公爵様の愛妾となりフィアナを生みました。側の者達も殆ど難民寸前の所を雇い入れたのです。主人からこちらでお世話になるように言われています。色々な仕事をしてやりくりしていたので大概の事はできます」

よろしくお願いします、と。

「分かりました。基本的な仕事は子供らの面倒です。食事から裁縫まで色々仕事があるので忙しいかもしれませんが給金は保証します。出来るだけ子供らと親密になってください、ここにいるのは全員奴隷ですが乱暴狼藉の類は絶対禁止です。子供らは大人をあまり信用してないのでその辺りを考慮して生活してください」

すぐさま彼女らに仕事を与える。子供らの話し相手となったりしながら少しずつ馴染んでいく努力をする。事前に聞いていたのだろうがこんな子供らが凶暴なモンスターと戦っていることなど信じていなかったのだろう。ファレナさんはそれなりの戦闘技術を持っていたので子供の師範役として訓練を教えたりもしてくれた。これは正直助かった、どうしても集団戦闘は得意でも個別戦闘では誰かしら教えてくれる人が欲しかったのだ。けっこう能力が高いし面倒見もいいので信頼を手に入れるのは難しくなかった。

「大人の奴隷は買わないのですか」

しばらく経つとファレナさんから質問された。やはり子供だけで傭兵をやらせていることがおかしいのだと。

「買おうと思えば出来なくは無いですが反抗的で横暴な大人が多いんですよ。【奴隷化】してもそれは変わらず子供らに暴力を振るうので無駄なお金がかかるだけです。能力は低くても忠実に動く子供らのほうが部隊運用しやすいですし仲間意識も高いですから」

自分としては大人の構成員も欲しいが横暴な振る舞いばかりして手が付けられない、殆どがそうなので子供らに傷を付けられては困るのだ。

「子共に比べて大人は買い手が多くよほどのことがなければ生きていけます、需要が殆ど無くあっても使い捨ての処理要員の子供らのほうがよほど大変なのですよ。あの子達は今は奴隷と言う立場ですがお金を回収できればこのまま留まるか自由になるかの選択肢を与えますし積み上げた金の余分などはそのまま渡すようにキチンと計算しています」

基本的に均一の金額にしてるが勉強や訓練を真面目にすれば甘い果物や砂糖を使ったお菓子などを与えているため反抗しにくいし多少なりのお金も渡している。衣食住などの必需品は不足無くしてるし服等も買っているし分かりやすくするために軍隊のような均一とした頑丈な作りがいいだろうな。訓練などは苛酷だがそうしなければ生きていけないというのが全員分かっている。5日に1日ほどで休みを与えている。それなりの宿屋にベッドで寝られ風呂にも入れるなどこの世界では有り得ないほど待遇は良い。

子供らはその生活を守るには自分の指揮に従うのが最善だと納得していて凶暴なモンスターでも他の人間が相手でもハクロウの脅威となるなら冷酷に排除する。別に強制はしてないが他の奴隷の子供らの待遇は最悪としか表現できないほど苛酷であることを理解しているからだ。大人だと多少大目に見るが子供だと簡単に暴力を振るってくる人たちばかりなので大人を殆ど信用していない。一部は大丈夫だが記憶を見るとかなりの子供が暴力を振るわれ心に大きな傷を負っている。

そんな状態で『大人だから信用しろ』など逆効果だろう。親身に話を聞いて時間をかけて解決するしかないのだ。

「色々そちらも言いたいことはあるかと思いますがこれが『白狼』の常識なのです。面倒を見てもらっているのですから余計な口出しをすると居場所を失いますよ」

「それは嫌というほど分かってますがもう少し善意を持って欲しいと・・・」

こいつらも先ほど滅ぼした貴族らと同じ穴のムジナなのか?善意善意と言うがそれがどういう形で与えられるべきかまったく理解していない。

「善意善意と馬鹿のように言えば敵はいなくなりますか?それとも平和が訪れますか?何の力もないのに無駄口ばかりでは何も理解できない愚か者でしかありません!それでは安全な生活も出来ないし食っていけないんだよ!!」

「!」

こいつらはどこまで現実が見えていないのだ。善意善意とうるさいがそれで報酬を拒否すれば平和になるのか?奴隷らがいなくなるのか?争いが終わるのか?そんなことが出来るなら自分は必要ではない。自分は救世主でもなんでもない一人の人間だ。夢物語をいくらほざこうともそれでは何も変えられない、変えられるのは現実に生きる人々の努力が作り上げる物だけだ。

「それならばあなた達が奴隷を買い善意を施し面倒を見ればいいではありませんか?別にそこまで強制はしてませんよ、ほら、奴隷市場に行って買ってくるといいですよ」

30万ギニーほど袋で放り出す。

「先に言っておきますがそいつらの全ての面倒はそちらで見てください。子供らのように衣食住などの面倒は見ませんしどのように扱うのかも問いません。そいつらが問題を起こせばあなた方で責任を取ってください。善意を否定はしませんが与えるべき人間と与えるべきではない人間にハッキリと分かれていますからね」

それだけ言って放り出す、こいつらは何も見えていない。人の醜さというものが。


~ファレナ視点~

「ファレナ様、どうしましょうか?」

目の前に出された大金を眺めながらファレナは考えていた。

『大人がクズだから子供もクズになる。血筋だとかなんだとかは関係ない、優秀な人物は良い教育を受け無能な人物は無用な教育を受けた、ただそれだけで未来が変わる』

ハクロウは現在の教育が全て最悪だと断言した。教える側も教わる側も何も学ばないからこんな無秩序な世界となっていると痛烈に非難、全ては指導者が無能極まりなく何も守ろうとしなかったからだと。

王族だとか奴隷だとかは関係が無い、公平平等に意見を出し合い徹底的に規律を守らせることを最優先としその上で嘘偽りない能力評価が必要であると。

確かにそのとうりだ。私もそれなりの戦場を経験してきてもっとこうすれば良かったと思う事が数え切れないほどある。昔ある部隊に配属された新兵の時にモンスターと戦ったときの記憶を思い出す。その時は弓兵や魔術師で先制攻撃すれば敵に大被害を与えられるのに、

「総員抜刀による突撃~!」

貴族出の指揮官らが装備や能力を考えず全軍を前進させてしまい魔物との乱戦となった。

数多くの負傷者が出てしまい私も仲間の助けを借りながら何とか生還した。当然その部隊に大被害を出した指揮官らは責任を取ることになったのだが『これで頼む!』と多額の賄賂を贈り部下に全ての責任を被せるだけでなく立派に指揮したと間違った答えを貰い昇進すると言う最悪さ。部下からの大反発に合い部隊は解散したがそいつらは今なお軍部で権力と賄賂に取り付かれた生き方をしている。私もそんな風になりたくはなかったが傭兵になることは出来ず結局軍に留まり生活しながら何度もそんな責任転嫁を見てきた。ヴァトラー公爵様の目に留まらなければどんなことになったか分からないのだ。

「お前らはただ部下に『誇りを持って死ね』というがその誇りとは何だ?正面から堂々と戦い負ける事か?部下に責任を押し付けて昇進することか?死者の前で言い訳することか?何もせずに飲み食いするだけしか出来ない無能の指揮官に一言言ってやれ。『お前が無能すぎるから味方が大勢死んだんだよコノヤロウ!』と。それだけで結構気が楽になるよ。死者らだって無意味に冥府に行きたくないし神様だって困ってると思うから」

自分を平然と非難できるくせに何でそいつらを非難しない?よく考えればどう見たって罵倒され非難されるのはハクロウではなく無能な指揮官らだ。ハクロウは戦いとなれば容赦なく敵を殺し排除する、生かしておけば再び牙を剥いてくることが分かってるからだ。ハクロウは非常に大規模な傭兵団を何不自由なく動かしている。莫大な都市からの援助も嘘偽りない報告と群を抜くほどの結果から信頼され頼られているからだ。

目の前の金で奴隷を買ったとしても『奴隷使い』ではないため拘束する力は無い、それどころか逆に殺されてしまうかもしれないのだ。結局自分らには現実を変える力は無い。いくらでも不満を言えるだけでも幸せなのだ。いくらもがいてもハクロウには勝てない。

「どうしましょうか」

いくら悩んでも答えは同じ場所を回るだけ、全員が王族や貴族の愚かさを知っているので大半の権力者は信用できない、他の妻も敵対関係なのでもはやハクロウに頼るしかないのだ。先の戦で既存の貴族の勢力を大部分奪い取ったのでその領地は一時的に公爵様が預かることになる。

今後フィアナが自立できるように協力はしてもらえるがハクロウの匙加減一つで左右されることになるがその約束が叶えられるのかは確証がない。毒をあおってまでつなぎ止めようとしたが条件次第ということなのだ。我が娘のことだがそれだけ危険な立場でありこのままでは不幸な未来が待ち受けている。ハクロウはただ従順なだけの女は嫌いだし反論しようにも非常に現実を知っていて冷酷かつ冷徹だ。年は20歳ほどだと言うがどうすればあそこまで合理的に部隊を動かせる思考が理解できない。

普通はどんな指揮官でも感情がある、被害を出したくない、犠牲を出したくない、恐怖を覚えない兵士など存在しないがハクロウにはそんな常識がまったく無い。最善かつ最速で勝利の可能性を力ずくで引き寄せてしまう。それ以外関心が無いのか?そう聞いたが、

「はぁ?あんたら馬鹿?指揮官が戦いの命令を受けたなら考えるべきは勝つことだけであり味方の損失を抑えることだけ。賄賂だ金品だ領地だ名誉だなんて先に要求なんて絶対にしない。今日勝つことが出来なければ明日勝つなど不可能。イチイチそんな物を要求してどうする?それを与えられるべきは奮闘した仲間や部下のほうが先であり指揮官は勝てば平等に与え負ければ責任を取って死ななければいけない。地獄の沙汰も金次第と言う言葉があるけど勝利を買えるのならいくらでも金払うよ。負けると言うことは死ぬ、それだけしかないからね」

指揮官とはそういうものだと。

「ゴテゴテでピカピカの服着て偉そうにふんぞり返ってるなんて自分には絶対出来ないよ。そんな姿だと真っ先に殺されてしまう。出来るだけ地味な方が分かりづらくていいし無用に注目されなくて良い。大体敵を生かして帰す理由は必要ないでしょ?」

「それでは敵は皆殺しにするだけと?」

「いや、除名嘆願の類はある程度話は聞くよ。でもさ、大抵がまったく話を聞かず数が多いと言うだけで勝った気でいるから始末が悪い、貴族なんて助けられて当たり前と思ってるからさらに悪い。捕虜にも人権が存在するから保釈金稼ぎにはいいけどね、でもさ、普通当主だと高いし跡継ぎでもそれなりに行くし何度も繰り返せば領地の経済が簡単に傾く。何度も捕虜になってたら領民から処刑されるよ。もうちょっと戦争とはどういうものなのか理解してほしいかなぁ」

先の戦では倍以上の敵がいたが『白狼』だけで完全に打ち破ってしまい戦死者も捕虜も大多数出てしまった、そいつらは捕らえられると、

『保釈金を出すから見逃してくれ』

簡単に金で身の安全を確保しようとした。

騎士や兵士らはどうするのか?そう聞いたが彼らには一銭も支払わないと言う完全に身勝手な自己防衛でありその後始末も大変だったのだ。主が見捨てたのを伝えると大反発が起こり主人を殺してでも助かろうという人が続出、さらに反感の火種が出来てしまった。保釈金を盾に逃げ出した主を二度と信じることが出来ず難民が多数生まれてしまい今後どのように生活していくのか公爵様らは非常に悩んでしまった。

「どうしようか。まさかこれほどの難民を受け入れる余裕などどこにも無いぞ」

勝ったこちらが面倒を背負うということなど普通は有り得ないが相手は完全に自己防衛しかないのだ。

「仕方がありませんね。緊急事態なので生活していた場所に戻ってもらうしかありません」

ハクロウが僅かながら金を出して捕虜を全て解放する判断をした、捕虜の解放で金が取れずむしろ負債になってしまうためである。参加した味方からは『【奴隷化】して強制労働送りにしろ!』との声が上がったが、

「大して仕事してないくせに偉そうに言うな。戦いの責任を取ったのは自分だけ、その判断に文句を付けたいなら実力で言え。それとも自分と戦争して欲しいの?」

これで黙るしかなかった。公爵様以外は殆ど兵を出しておらず見せ掛けだけの軍隊だったからだ。ここでごねると手に入れた領地などの分配が行なわれないことを考えて引くしかなかった。ハクロウと戦争などしようものならば領地が火の海と死体で染まるかもしれないのだ。

ハクロウに命乞いはまったく意味が無い。敵と見なせばどのような手を使ってでも完全排除になる。奴隷の子供らですらその命令にほとんど疑問を持たないのだ。他の場所の奴隷とは別世界の生活を与えているので裏切っても苛酷な生活が待っているだけであり【奴隷化】してるので隠し事はできない。まったく犠牲者を出さないほど合理的な戦闘であり従っていれば平民なんかより生活待遇は良いのだから反乱なども皆無だ。

最初見たときも自分らより生活が良い状態を見て、

「何でこんなに待遇がよいのですか?」

文句を言った。毎日それなりに美味いモノを腹いっぱいに食えるので平民どころか下級貴族よりも生活水準は高いはずだ。服などもそれなりに良いのでその金でどうしてこんなことをしてるのかと。

「『奴隷使い』である自分には大して戦闘能力はありません。奴隷の子供らで成り立ってるのですから彼らに出来る限り与える物は与えるだけです。苛酷な訓練も国語や算数などの学問も自立して生きていくために必要不可欠ですから」

このぐらいは常識の範疇であり与えられるべき物である、そう断言した。

子供の種族に統一性は無く男女の差異がまったく無く全員が文字の読み書きを習得しある程度高度な計算まですぐさま出せるし上手い絵を描いたりよく考えられたゲームなどで遊んでいたのだ。

「お姉さん、遊んでくれるの?」

『しょうぎ』というゲームのルールを説明され遊ぶとあっと言う間に追い詰められ敗北、何度もしたが結果は変わらず能力差を埋めるためわざと手駒を減らすまで実力差がそこに存在した。

「(こんな子供がこれほど学習してるなんて普通では有り得ない)」

大半の子供は無邪気に遊んでるのが普通だが、ここでは洗脳に近いほど全てが徹底されている。訓練は成人ですら苦痛に感じてしまうほど苛酷なのだが、

「ここではこれが普通です。全ては生き抜くため。グダグダ反論などしても訓練時間が延びるだけ、一人サボれば全員分追加されます。苛酷に見えますが横暴な大人や凶暴なモンスターらから自分や仲間を守るにはすぐさま状況を理解し判断しなければいけません。いつでもハクロウが最適な判断を出してくれるとは限りませんから一部の子供らは自己判断で動ける権限があります。何らかの緊急事態で部隊の混乱を最小限にするためです」

そこらの大人なんかよりも遥かに精神年齢が高かった。

「ここではどんな訓練をしてるの」

「無手による白兵戦や捕縛術を基本に適切な装備の使い方や仮想戦場による模擬戦闘に始まり最低限の水と食料を与えられてのサバイバルからモンスターの解体技術まで色々ありますが」

仮想戦場?初めて聞く言葉だった。どういうものか確認させて欲しいとハクロウに頼むとことにした。

「これ付けて」

何か眼鏡のようなモノを渡される。それを付けて見ると、

「な、なにこれ!」

そこに見えたのは人の姿をした『何か』が大人数、よく見ると集団で行動をしていて一部隊のようだ。

「各自自分の戦力確認を行え、それが済んだら開戦だ」

地形は廃墟と化した村のようで敵味方に分かれて敵を撃破するようだがあまりに現実味がありすぎる。まるで戦場その物が頭の中に移動してきたようだ。子供は8つの部隊を時間交代制で動かす。単独で前進させたり死角を突きながら移動したり待ち伏せしたりと本物の指揮官として采配を振るう。基本的にYESかNOだけであり多少移動なども出来るが非常に最低限のことだけしか選択できない。すると戦端が開かれ互いに殺しあう戦場しか見えなくなる。しばらくすると味方の一人が弓矢で殺されてしまうと、

「ハゥッ!」

指揮していた子供の一人が苦痛に喘ぐ。外傷はまったく無い。だけどその姿は死を目前に足掻いているとしか見えない。

「この仮想戦場はほぼ現実化してあり味方に死人が出れば指揮していた誰かにペナルティが出されヘッドサークレットを通じて苦痛となります。負傷すればするほど他にも苦痛が広がり判断力を鈍らせ臨死に近づくように設定されています」

「こんな子供らになんて残酷なことをするのですか!」

さすがに子供らにこんな危険なことをさせることに嫌悪感を持つが。

「戦場では誰かが助けてくれるとは限らないんだ!自分一人だけ死ねば味方が救われるなんて夢物語はどこにも存在しない。命乞いしたら敵は助けてくれるか?モンスターは見逃してくれるのか?そんな話は生き延びた者だけの話、現実には大半が見殺しにされている。反論があるのならあなたが指揮を執って味方を勝利に導いて見せろ!!」

それにこれは互いに納得の上で行なわれていることを教えられる。敵はハクロウ一人が指揮を執っているがこちらは300人以上もの子供らが判断して動かしている。その分だけ負担が圧縮されるか分散させるかだがまともに考えればハクロウ一人のほうが圧倒的に不利なのだ。

「ここには数任せで倒せる敵は存在しません。生き延びたかったら逃げ出せばよいという選択肢も存在しません。敗北は死への一直線だけ、それだけが答えなのです。物語のように『勇者が戦いを制した』という馬鹿な夢物語など有り得ません」

邪魔をするなと子供らに脅される。こんなことを何度と無く行なっているそうだ。どう考えても理不尽極まりないがなぜ『白狼』が奴隷の子供らで上手く大量に依頼を捌く理由もこれで納得できた。

『潜り抜けた修羅場の数が圧倒的に違う』

その一言だけ。正規兵など比べる価値すらないほど苛酷な戦場を生業としている古兵だけで構成されているのだからあれほどの戦果を安定して出すことが出来るのだ。強く勇敢な兵ほど早く死ぬ、そんな言葉があるほどそれだけ確保が難しいと言うことだ。年齢制限などで弾くことが当たり前だがハクロウにはそんな考えはどこにも無い。老若男女誰であろうとも訓練を施し戦場に出させる。当然だが非戦闘員でも敵は情けをかけてなどくれない、殺すか殺されるしかないのだ。

結局子供らの部隊は惨敗し多数の死者を出したのでペナルティで苦痛にもがく子供らが大多数、他の子供らもそれを見ていることしか出来ない。私は慰めの言葉を言えなかった。あのような状況は王国だけでなく世界各地で当たり前に存在しているからだ、実際にはそれ以上に酷い場所すら報告がある。そんな場所にいきなり出されればほぼ全てが逃げ惑うしかなく大半が死んでしまう。傭兵は金次第依頼次第でどんな場所にも派遣される、このような戦場などいつ有り得るのか分からないからこそ苛酷な訓練を徹底し残酷であろうとも結果だけで分からせるしかないのだ。

見せ掛けばかりの正規軍と完全に違う実戦本意の部隊がここにハッキリと存在していた。これならばあの高い評価も当然である。徹底的に有用な選択だけしか取ろうとしないのだから。

「既存の軍隊が馬鹿の集まりではないですか」

もし、この人が自分の指揮官だったらあんな惨い死に方をした味方は少なくなっただろう、助けられる味方を見殺しにはしなかっただろう。

過去を出来事を思い出す、満足な治療を出してもらえず死んだ仲間や退却する時間を稼ぐために死んだ仲間は多かったのに指揮を執った人間は誰一人として責任を取らなかった。派閥で防衛し全ての責任をこちらに丸投げし返って来た言葉は『仕方が無かった』だけである。それに殺意を覚えたのは両手の指を折っても足りないほどで解決策を探したが出て来ず今なお悩んでいる。

ハクロウの言うとおり戦場に出るのに年齢も性別も関係など無い、結果だけこそが正義なのだから。無能な指揮官とは別世界にいる優秀な指揮官。今の世界では受け入れるのに抵抗があるのかもしれないがこのような人物でなければもはや無駄に墓場送りが増えるだけなのである。



「私の無知と非礼を詫びます、どうか力を貸して下さい」

悩みに悩んだがこちらが折れることにした、どう考えてもハクロウのほうが正論で筋が通っている。世界中で惨敗を繰り返す正規軍などもはや何の意味も無い、大半の人が金を払ってでも脅威の排除を望んでいるのだ。傭兵ギルドの資料を確認したが『白狼』は一度として依頼を誤魔化したり依頼金を水増ししたりなどしていないことが分かった。よほどの緊急事態でない限り依頼は期日内に終わらしているし結果を出すのが非常に早く、金額の査定もすべてギルドの職員らに任せている。

大多数が色々ごねて条件を変えたり金額を増加させたり報告が遅かったりするが結成からそんなことは一度もないそうだ。それどころか出される依頼の中でもっとも危険度が高い依頼ばかり受けている。

「こんな面倒な依頼を先延ばしにしたら住民が非常に迷惑だよね」

普通は危険度の低い依頼を受けるのが大半でいくつかの依頼は長い時間張り出しても無視されている、それをハクロウは次から次に上手く捌いてしまい評価を上げてしまう。それで得た資金や経験を生かし戦力をさらに増加させさらに難易度の高い依頼をこなす。そんなことを毎日当たり前にしている。そのおかげで傭兵ギルドの評判は最高であり今まで手付かずの困難な依頼も優先的に来るのだがそれすらも余裕で捌いてしまうのだ。

もちろん、定期的に休日はあるし資源採取や訓練日数も事前に申告してくるので病気などで予定が狂わない限り常時仕事をこなしている。大半が身勝手に予定を設定するので非常に信頼されているのだ。金銭なども予算内で明確に書いているので審査はすぐさま上まで通る、一部用途が分からない物もあるが結果は文句なしで満点である。

今は限定的にこちらに来ているそうだが統治体制が乱れているためやや長めに期限を伸ばす気でいるそうだが、

「身勝手な引き抜きは絶対に出来ませんからね」

向こうから来たギルド職員らから警告された。それも当然である、ここまで優秀であるならばまず外に出す気など無いのが普通だ。少し前貴族らが依頼金を未払いにしたため少し警戒してるそうだ。今後同じことが起こると強制的に帰還命令が出される。ネームカラーが青色以上では全てが長期的な契約をしてるので当たり前だし無理矢理動かされないように配慮するのが傭兵ギルドの規則の最重要項目だ。ただ、それを理解できない愚かな依頼主も存在していて相手より上の条件を出せば動かせると思う勘違いも多い。

結局の所王国が召喚し動かしている勇者などとはまったくの別物であると言うことだ。勇者らとて人間である。働けば疲労が溜まるし不満だって出るが、

「何でこいつらはここまで愚か者ばかりなのですか?」

ファレナは情報を調べていくともはや王国は無法地帯と変わっていく様子が書かれていた。傭兵ギルドからの情報では現在召喚されたのは40人まで増加してるが半数以上が訳が分からない言葉を言い出して戦闘を放棄してるそうだ。

「これはゲームの中だから自分は無敵だ。そうだ、どこかに蘇生させる神殿があるんだよな!」

「私は勇者なのだからすばらしい未来があるのだわ、こんな醜い敵と戦うのなんて有り得ない!」

「もっと装備や女をくれよ、お金だって出せるだけ出せ!」

そんな馬鹿で愚かな妄想を口走りいくら命令しても逃げ出しているそうだ。そんな連中ですら可愛いもので表現できない支離滅裂な言葉まで叫びだす精神が崩壊したような連中までいるそうだ。そんなのに魔物との戦闘などできるはずも無く王国の信頼はガタガタである。そいつらは多少能力が出ているぐらいでありハクロウのように大軍指揮の能力など皆無、もはや国王も最高司祭も混乱していて手当たり次第に召喚しているそうだがそれには尋常ではない信者の信仰を削って出されている。神々とて無償で奇跡を出せるわけではない、明確な対価があるからこそ異世界と繋がることが出来るのだ。

おそらくハクロウも勇者召喚でこの世界に来たのだと傭兵ギルドは当たりを付けて身元の確認をしている最中である。勇者らには基本的に名前しかなく個別の呼び方が無い。一応奴隷にもあるのだが大半は使われていない。

ハクロウ自身もあまり話そうとはしないが王国側からの対応は非常に悪かったのだろう。奴隷使いはこの世界で一番嫌われている悪職業でハドルニア信仰ですら『愚劣な存在』『神々の冒涜者』だと槍玉に挙げられる絶対悪なのだ。でも、ハクロウが悪なのかといえばまったく違う。手助けするべき人間には優しいし礼儀も守る、敵に対しては一切容赦が無いがそれも全て力なき人たちを守る為なのだ。

今までの奴隷使いは無知と無能で最悪の人物、奴隷を扱き使いいたぶるだけしか能が無いがハクロウはそんな姿とは完全に真逆だ。奴隷使いの見方が一変してしまうほど非常に優れている。

渡されたお金は全て返し真摯に関係を始める事を約束するが嫌そうな顔をしていた。

「自分はあんたらの常識で押さえ込もうとしないことを約束して。それと、奴隷使いだとか偏見も持たないこと、これしかないからこんな仕事をしてるだけだし非難しようと嫌悪しようとかまわないけど子供らにそんなことを言うのは許さないから」

自分はどう思われようともかまわないが子供らにそんなことを言うのなら敵でしかないと。やはりこの人は色々厳しいことを言うが善人で優しい人だと思う。でなければ徹底的に厳しい訓練も勉強も全てこの残酷な世界で生き抜くために必要不可欠な物なのだから。

フィアナとファレナらは非常に信頼を寄せるようになった。

それからしばらく都市の依頼を捌く忙しい毎日が続く、ナルダーにいる傭兵は現時点で白狼ぐらいでしかいない、商人らや要人の護衛にモンスターの討伐まで仕事は腐るほど有りそれに優先順位を付けて他人の何倍もの速さで短時間で大量に捌いていく。そうしていくと治安や経済はすぐさま改善していき都市は活気が出てくる。いつまでも白狼にだけ依頼を出し続けるのは不可能なので新規に傭兵団を雇うことを決定したがアラールやバラードと同じ契約内容とした。無能で契約破りを行なう傭兵らを弾くためである。

「条件が少し厳しいと思いますが」

「もうちょっと甘くしてくれ」

「項目が増えていますが」

ここに来た傭兵らは以前より審査が厳しくなっていることにどうしても躊躇しているがハクロウが無能な者らを振るいに掛けるため色々と内容を書き直したのだ。中央ギルド本部も公認していて不明瞭な部分はハッキリとし曖昧な表示も分かりやすく書き直した。ナルダーに来る前に都市側では依頼放棄や契約破りが何度も発生し最悪金だけ取って逃げ出す者や勝手に依頼金の未払いなども行なわれるなど傭兵ギルドの信頼が非常に悪かったのだ。

ハクロウからの進言で依頼主も依頼者も身勝手に判断したり行動したり出来ないように契約書は以前より真っ当な物に変わっている。

「そもそも元となる原本自体の作りが甘いから簡単に破られてしまう。金と命が関わるのだから互いに納得の上で徹底させないと秩序が守れない」

そうして書類などを書き改めるとすぐさま違反者が続出、調べると数多くの悪事が発覚し裁判で重罪となる。そんなことが続出するが契約内容自体は人道的に沿った健全なものであり最低限守るべき秩序なのでそれすら守れない愚か者を今まで見逃していたと言う非常に悪い前例となってしまった。もちろん悪い事ばかりではなく良い事もあった。審査内容を改めたことで乱暴狼藉の類を行なう傭兵らや身勝手な依頼主は圧倒的に少なくなったのだ。依頼を誤魔化したりすれば罰則があり放棄すれば違反金を出さなくてはならず依頼主や依頼者どちらも簡単に逃げられない、逃げようとすれば信頼や評価は格段に下がるため依頼を出したり受けたりしずらくなり最悪傭兵ギルドから追放まで出されるのだ。こうなると常時追っ手が出され居場所が無くなる。

それにこれまで健全に依頼をこなしてきた傭兵らにも利益がある。身勝手に依頼放棄が出来なくなり仕事を達成しなくては報酬が出されないのは当然でありこれまでは依頼主の未払いも多かったがそれが殆どなくなったのだ。依頼項目で縛ってるが『結果を出すほど働いたのだから正当な報酬を出せ』と単純明快なだけであり以前にはこんな当たり前のことすらも書かれていなかったのだ。

問題が起これば依頼主と依頼者で解決していたが互いの主張が違いすぎて良くて互いに何も支払わず終わるか酷いと無意味な長期裁判で無駄な時間とお金だけ取られてしまった。

色々と良い例悪い例が出たが総評するとギルドの審査基準や契約内容が古くなりすぎていたのだ。だから抜け道を利用して騙し取ったり放棄して逃げ出す者らには徹底的に潰すことにしたので違反者は激減し傭兵ギルドの信頼も非常に良くなった。

ハクロウは『当たり前のことをしただけだ』だけ言って何も望まなかった。ギルドの審査は厳しくなったがそれはモンスターの脅威が大きすぎることを考えると無駄な死人を出さないために当然の措置であり愚か者を弾くためだ。破ればどうなろうと自己責任でありこちらに負うモノはない。

そうして新規に契約した傭兵らはキッチリと依頼を捌いている。以前のように誤魔化しなど出来ないから仕事をこなさなければ依頼金は出されないのだから当然だ。中には難易度が低いのに逃げ帰ってくるのもいるがそれはお前らの実力不足と判断ミスなためこちらの文句は受け付けない。傭兵ギルドはキチンと傭兵団の情報を集め実力評価はとても厳しい。ほぼ全てが緑色なのだから青色である白狼がいかに優秀なのかすぐさま分かってしまう。

白狼にはこの辺りでも一番危険な依頼を優先的に受けてもらっている。かなり長いこと受けられていなかったので滅んだ村などもあるぐらいだ。モンスターは非常に強く数も多いため期限は長めに取っているのだが、

「これで依頼は達成しました。詳しい内容は審査役の職員から聞いて下さい」

非常に短い日数で報告が出される。仕事が恐ろしいほど速いので審査役を何名も派遣して事実確認と報告書類の作成をしてるが追いつかない。

「大変ご苦労様です。報酬を支払います」

ニッコリと笑顔で大金の入った袋をいくつも出して支払う。

「急ぎの依頼はありますか?」

「現在は他の傭兵らが仕事をしてるので張り出してある分だけです」

ハクロウは掲示板のほうに依頼を見に行く。

「ハァ~、これから大量に書類作成しなければいけないかと思うとしんどいです」

審査役はこれからしばらく書類と格闘することに溜息をつく。

「仕事の方はどうですか?」

「言葉が出てこないよ。脅威の排除は徹底的だし仕事は速いし負傷者はまったく出さないしそこらの傭兵らじゃいくら集めても天秤が釣り合わない。無理を言ってまで派遣してもらったのは正しかったね。この分だと都市の経済はいくらでも上がる一方だよ」

審査役は非常に喜んでいた、ネームカラーが青色なのは過大評価でないことを証明していると。

「限定派遣だなんて言わないでずっとここにいてくれたら嬉しいんだけど」

全員一致でここに留まって欲しいと思うがすでに派遣元と長期契約を結んでいるのでそちらのほうが優先されるのだ。

「重役達はどうにかしてアラールやバラードとの契約に入れるように交渉してるようです」

貿易が活発化して経済が安定してきたので他の都市との交流も多くなっていた、護衛は白狼が任されていてモンスターから山賊まで完全に排除、商人らから専属の護衛として確保したいと言ってくるほどだ。本音は約束を反故にしてでも手放したくないがそんなことをすれば全ての都市から敵意を向けられてしまう。

「とりあえず近隣の貴族などは大体潰したので統治に口出しはしてこないでしょうし優先的に依頼を回して捌いてもらいましょう。危険度が高い依頼は大体終わってますのでハクロウの能力ならなんてことは無い依頼ばかりですができるだけ滞在時間を引き延ばしましょうか。長く放置していた場所も多いですからここに居る間はこちらの判断が優先されます」

「そうだね。他の傭兵らを信用してないわけではないけど短時間で大量に捌いてくれるから忙しいけどそれだけ治安が安定すると言うことだから。さてと、向こうには申し訳ないけど時間稼ぎさせてもらいますか」

ナルダーの傭兵ギルド職員らは全員一致で白狼を引き止めるための時間稼ぎを工作し始める。アラールやバラードの辺りは事前に掃除が終わっているのでよほど緊急事態でない限り手持ちの駒で治安が成り立つのは確認済みだ。

と、いっても長くて1ヶ月ほどぐらいにしかならないがそれだけで十分すぎる。都市の重役たちもハクロウに覚えが良くなるように援助をしたりパーティに誘って面識を広げる努力をしている。こういう下地作りはどこでもあることなのでハクロウとて断れない。向こうから来たギルド職員らも懐柔しこっちにも融通してもらえるように話を通しておく。そうした地道な工作を時間をかけて行いアラールとバラードから白狼の派遣先に登録されることが決定した。
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~

名無し
ファンタジー
 突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。  自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。  もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。  だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。  グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。  人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...