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女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』(48) 寄せあう くちびる。
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リング上のNOZOMI vs ウルフ加納は最終ラウンドに入っていた。
ショーと言われるプロレスにおいても加納のそれは強さを追求したストロング・スタイルを目指している。並のプロレスラーとは違い体格差も大きい。
NOZOMI 182(64) 加納 185(100)
打撃でも組技でもNOZOMIのテクニックは加納を圧倒している。
しかし、体格差が大きくそのパワーに守勢に回ることも度々。加納は4年前に鎌田桃子にKO勝ちしており更に強くなっていた。中々仕留めきれず最終ラウンドまできたのだ。
しかし、そこまでだった。
(実況)
「おお! ついにNOZOMIの長い腕がウルフ加納の太い首にまわった。そして紐が食い込むように巻き付いたぞ」
背後にまわったNOZOMIが加納に飛びつくとあっという間に胴絞めスリーパーとなり、大木に巻き付く蔦のように
それは密着して離れない。
“私は美しくも残忍な雌蛇。
こうなったら絞め殺すまで放さない”
加納は下からNOZOMIに首を絞め上げられながら考えていた。天井がぼやけて見える。意識が薄れてきた...。
「お前はプロレスをやりたいのか?それとも強さだけを目指すのか!」
「僕はショーだと世間に思われているプロレスラーの真の強さを知ってもらいたいだけなんです!」
この試合が決まった時、師匠の権代さんとそんなやりとりがあった。
プロレスラーが弱いのではなく自分の力が足りなかったんだ...。
意識が更に薄れてきた。
そこへセコンドに就いている権代喜三郎からタオルが投げ込まれた。
権代喜三郎はウルフ加納を介抱しながら悔しさで震えていた。
(加納、お前が弱いんじゃない。あの女が魔女のように強かったんだ。お前はプロレスラーの名誉のため勇気を持ってよく戦った。この仇は...)
権代はそんなことを考えながら勝ち名乗りを受けているNOZOMIに目をやった。そして歩み寄った。
マイクを握ると権代は叫んだ。
「NOZOMI!次の大会では俺と戦え!
俺は甘くはないぞ!」
(実況)
「おお! サブミッションの鬼、権代喜三郎がウルフ加納を絞め落としたばかりのNOZOMIに挑戦してきました。これは大変なことになりました!権代はプロレス界ではセメントの鬼、関節技の鬼、裏最強レスラーとの異名がありかなりのシューターです」
NOZOMIは権代喜三郎の噂は鎌田桃子から聞いていた。
面白いことになってきた...。
・・・・・・・・・・・・・・・・
年は変わり3月になっていた。
龍太は大学へ、麻美も女子高校への進学は既に決まっていた。
残り少ない中学生活を麻美は練習の合間にエンジョイしていた。
「麻美は女の子嫌い? わたし、、麻美のこと好きなの、、、それに気付いたのは最近。ご、ごめんなさい! 変なこと言っちゃって。嫌だったなら何も言わないで、忘れて...」
ルームメイトの榊枝美樹にそう告白されたのは去年の秋だった。
麻美は戸惑った。
格闘技一筋で恋のことなんてあまり考えたことがなかったからだ。
それに同性である女の子から告白されるなんてどうしていいのか、どう受け止めていいものなのか?
同い年の美樹とはルールメイトであり親友と言ってもいい間柄。
麻美は美樹のことが大好きだ。でも、それはあくまで友達としてなのだ。
しばらくは美樹の告白に答えられず黙っていたが、気まずい雰囲気にもなりこのままではいけないと思った。
「私は男の子が好きか女の子が好きかって聞かれたら、多分男の子だと答えると思う。でも、本当のところは考えたことないから分からない。私、美樹のこと大好きよ。どうかしら、たまに外でデートとかしない?そのうち自分の本当の気持ちが分かると思う」
今日も麻美と美樹は精一杯のオシャレをして街に出た。
中三にして身長174に達そうとする麻美はブルージーンズに白シャツ、ボーイッシュなショートヘア。
手足が長くスタイルのいい麻美はまるできりっとした少年のようだ。
美樹は身長165で麻美とは対照的なロングヘアーにミニスカート。
そんなふたりが一緒に歩いていると、美少年、美少女のカップルのようでもあり、誰もこのカップルが殺伐とした格闘技の世界に身を置く中学生少女とは思えないだろう。
楽しかった。
厳しいトレーニングの毎日。麻美も美樹もこんな笑ったのは久しぶりだ。
ランチでパスタを食すとアイスクリームを食べながら街をぶらぶらとウィンドーショッピング。夕刻になるとそろそろ寮に帰る時間になってきた。
ふたりは人影のあまりないベンチに腰掛けると見つめ合う。
「麻美、楽しかったね...」
「う、うん」
美樹は麻美を見つめ目を瞑った。
麻美は美樹の肩に手をかけると、どちらからともなく唇を寄せ合った。
チュッ!
ふたりにとって生まれて初めての甘い甘い口づけキッスだった。
格闘技をする少女はカンが鋭い。
(やっぱり麻美は違うのね?...)
美樹は唇が触れ合った瞬間、麻美がビクン!と、その行為を身体が無意識に拒んでいたのを感じ取っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
春になると龍太も麻美も新しい生活に入っていた。
龍太の入った大学は生徒の個性を重んじる方針であり、龍太は当然柔道部に入部したのだが、その柔道部は体育会系特有の古臭い縛りはなかった。
柔道をやりながら格闘技戦のリングにも立ちたい。その気持ちは部にも伝えてあるが、龍太は柔道の格闘技戦での強さを知っている。一年間は柔道一筋でやっていこうと思っている。
驚いたことに、同じ大学の柔道部に高校時代の全国大会で準決勝をかけて戦ったあの迫田宗光も入ってきた。
彼は去年夏の『G』主催格闘技戦ワンナイトトーナメントの優勝者であり、
高校生MMA王者に輝いたのだが、一回戦で年下女子に敗れた龍太を侮辱。それだけでなく父源太郎まで侮辱した。
(あいつは柳紅華から逃げたくせに...)
龍太はこの男が大嫌いであった。
こいつだけには絶対負けたくない!
麻美の女子高校生活は穏やかに過ぎ勉強にも身を入れていた。
しかし、NLFSでのトレーニングは益々激しさを増している。
この三年間が格闘技をする上で最も大切な期間だからだ。
堂島麻美。
174cm 62kg この夏に16才となる。
女子にしては長身でしなやかな肢体。まるでネコ科の猛獣を思わせるキレ長の鋭い眼光。
麻美は更に驚くほど進化した!
美しく強い!
夏の格闘技戦に向けて着々とそのデビュー戦計画が立てられている。
相手は誰だ!?
堂島麻美は豹になる!
美しくも強く気高い女豹になる。
ショーと言われるプロレスにおいても加納のそれは強さを追求したストロング・スタイルを目指している。並のプロレスラーとは違い体格差も大きい。
NOZOMI 182(64) 加納 185(100)
打撃でも組技でもNOZOMIのテクニックは加納を圧倒している。
しかし、体格差が大きくそのパワーに守勢に回ることも度々。加納は4年前に鎌田桃子にKO勝ちしており更に強くなっていた。中々仕留めきれず最終ラウンドまできたのだ。
しかし、そこまでだった。
(実況)
「おお! ついにNOZOMIの長い腕がウルフ加納の太い首にまわった。そして紐が食い込むように巻き付いたぞ」
背後にまわったNOZOMIが加納に飛びつくとあっという間に胴絞めスリーパーとなり、大木に巻き付く蔦のように
それは密着して離れない。
“私は美しくも残忍な雌蛇。
こうなったら絞め殺すまで放さない”
加納は下からNOZOMIに首を絞め上げられながら考えていた。天井がぼやけて見える。意識が薄れてきた...。
「お前はプロレスをやりたいのか?それとも強さだけを目指すのか!」
「僕はショーだと世間に思われているプロレスラーの真の強さを知ってもらいたいだけなんです!」
この試合が決まった時、師匠の権代さんとそんなやりとりがあった。
プロレスラーが弱いのではなく自分の力が足りなかったんだ...。
意識が更に薄れてきた。
そこへセコンドに就いている権代喜三郎からタオルが投げ込まれた。
権代喜三郎はウルフ加納を介抱しながら悔しさで震えていた。
(加納、お前が弱いんじゃない。あの女が魔女のように強かったんだ。お前はプロレスラーの名誉のため勇気を持ってよく戦った。この仇は...)
権代はそんなことを考えながら勝ち名乗りを受けているNOZOMIに目をやった。そして歩み寄った。
マイクを握ると権代は叫んだ。
「NOZOMI!次の大会では俺と戦え!
俺は甘くはないぞ!」
(実況)
「おお! サブミッションの鬼、権代喜三郎がウルフ加納を絞め落としたばかりのNOZOMIに挑戦してきました。これは大変なことになりました!権代はプロレス界ではセメントの鬼、関節技の鬼、裏最強レスラーとの異名がありかなりのシューターです」
NOZOMIは権代喜三郎の噂は鎌田桃子から聞いていた。
面白いことになってきた...。
・・・・・・・・・・・・・・・・
年は変わり3月になっていた。
龍太は大学へ、麻美も女子高校への進学は既に決まっていた。
残り少ない中学生活を麻美は練習の合間にエンジョイしていた。
「麻美は女の子嫌い? わたし、、麻美のこと好きなの、、、それに気付いたのは最近。ご、ごめんなさい! 変なこと言っちゃって。嫌だったなら何も言わないで、忘れて...」
ルームメイトの榊枝美樹にそう告白されたのは去年の秋だった。
麻美は戸惑った。
格闘技一筋で恋のことなんてあまり考えたことがなかったからだ。
それに同性である女の子から告白されるなんてどうしていいのか、どう受け止めていいものなのか?
同い年の美樹とはルールメイトであり親友と言ってもいい間柄。
麻美は美樹のことが大好きだ。でも、それはあくまで友達としてなのだ。
しばらくは美樹の告白に答えられず黙っていたが、気まずい雰囲気にもなりこのままではいけないと思った。
「私は男の子が好きか女の子が好きかって聞かれたら、多分男の子だと答えると思う。でも、本当のところは考えたことないから分からない。私、美樹のこと大好きよ。どうかしら、たまに外でデートとかしない?そのうち自分の本当の気持ちが分かると思う」
今日も麻美と美樹は精一杯のオシャレをして街に出た。
中三にして身長174に達そうとする麻美はブルージーンズに白シャツ、ボーイッシュなショートヘア。
手足が長くスタイルのいい麻美はまるできりっとした少年のようだ。
美樹は身長165で麻美とは対照的なロングヘアーにミニスカート。
そんなふたりが一緒に歩いていると、美少年、美少女のカップルのようでもあり、誰もこのカップルが殺伐とした格闘技の世界に身を置く中学生少女とは思えないだろう。
楽しかった。
厳しいトレーニングの毎日。麻美も美樹もこんな笑ったのは久しぶりだ。
ランチでパスタを食すとアイスクリームを食べながら街をぶらぶらとウィンドーショッピング。夕刻になるとそろそろ寮に帰る時間になってきた。
ふたりは人影のあまりないベンチに腰掛けると見つめ合う。
「麻美、楽しかったね...」
「う、うん」
美樹は麻美を見つめ目を瞑った。
麻美は美樹の肩に手をかけると、どちらからともなく唇を寄せ合った。
チュッ!
ふたりにとって生まれて初めての甘い甘い口づけキッスだった。
格闘技をする少女はカンが鋭い。
(やっぱり麻美は違うのね?...)
美樹は唇が触れ合った瞬間、麻美がビクン!と、その行為を身体が無意識に拒んでいたのを感じ取っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・
春になると龍太も麻美も新しい生活に入っていた。
龍太の入った大学は生徒の個性を重んじる方針であり、龍太は当然柔道部に入部したのだが、その柔道部は体育会系特有の古臭い縛りはなかった。
柔道をやりながら格闘技戦のリングにも立ちたい。その気持ちは部にも伝えてあるが、龍太は柔道の格闘技戦での強さを知っている。一年間は柔道一筋でやっていこうと思っている。
驚いたことに、同じ大学の柔道部に高校時代の全国大会で準決勝をかけて戦ったあの迫田宗光も入ってきた。
彼は去年夏の『G』主催格闘技戦ワンナイトトーナメントの優勝者であり、
高校生MMA王者に輝いたのだが、一回戦で年下女子に敗れた龍太を侮辱。それだけでなく父源太郎まで侮辱した。
(あいつは柳紅華から逃げたくせに...)
龍太はこの男が大嫌いであった。
こいつだけには絶対負けたくない!
麻美の女子高校生活は穏やかに過ぎ勉強にも身を入れていた。
しかし、NLFSでのトレーニングは益々激しさを増している。
この三年間が格闘技をする上で最も大切な期間だからだ。
堂島麻美。
174cm 62kg この夏に16才となる。
女子にしては長身でしなやかな肢体。まるでネコ科の猛獣を思わせるキレ長の鋭い眼光。
麻美は更に驚くほど進化した!
美しく強い!
夏の格闘技戦に向けて着々とそのデビュー戦計画が立てられている。
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堂島麻美は豹になる!
美しくも強く気高い女豹になる。
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