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第六章 最強チーム、強大国へ
54 【北部、捕獲隊:レオン組】
しおりを挟む【北部、捕獲隊:レオン組】
旧トラン国の誇る強靭な大型戦艦では、甲板の床板が折れる音や、剣と剣がぶつかり合う激しい金属音が聞こえた。
その音の元となっているレオンと、エフセイからは全身から大粒の汗が零れ落ちる。
レオンと、エフセイが再び剣と剣を押し当て、ピクリとも動かない。
エフセイの早くなった呼吸音が聞こえ、レオンの額からは汗が流れ落ちて彼の目に入った。瞬きをして痛みに耐えたが、剣を両手で握っているのでこれが今、レオンに出来る精一杯の対処だった。
もう、どのくらいになるだろう。
二人の剣の音が響く中、ランヴェルトが顔を上げた。
「よし、この船の兵は全て捕えた」
すでにレイヴィンたちもエフセイとレオンの船に乗っていた者たちは全て捕えて、他の船の兵を捕らえる手伝いをしてる。
ランヴェルトは、じっと二人の戦う船を見ながら呟いた。
「本当に……あいつだけで防いでいるのか……」
そんなランヴェルトの元に兵が走って来た。
「ランヴェルト様、合図です」
そしてランヴェルトがニヤリと笑った。
「そうか……ご苦労」
これまで散々、捕獲に苦労してきた旧トラン国の水賊と呼ばれ世界を混乱に落とし入れてきた者たちの捕獲も残すところあと数隻。
南からの合流があれば、ラウルやガルドも合流する。そう時間もかからず残りの兵を捕らえることができるだろう。
「あれだけ手を焼いていたのに……」
かつて、ランヴェルトの国カナンは、エフセイたちの手で滅ぼされた。それが、ダグラスの元に行った今も彼らに悩まされていた。
何度か彼らに挑んだが、エフセイという絶対的な存在もあり、旧トラン国の残党の水賊はかなり統率が取れており、彼らを捕らえることができなかった。
だがそれはイドレ国だけの話ではない。
これまで、ダラパイス国、スカーピリナ国も独自に水賊を討伐するために動いていた。
でも誰も抑えることが出来ずに、水賊はさらに仲間を増やし肥大していった。
それにもかかわらず、クローディアがかかわった途端に水賊を制圧するまであと一歩まで迫っていた。
全ては――クローディアという一人の女性の采配だった。
彼女へ人望、適材適所を把握し人員を配置する観察力、戦局を見極める眼識、そして部下の士気を上げる器量。
そして何よりも……ハイマのブラッドや、スカーピリナのレオン、ベルンのアンドリュー、イドレのダグラス、ダラパイスのサフィールと各国の鍵を握る人物を自在に動かす求心力。
「本当に……いい女だな……ハイマだけが独占するのは……もったいない」
ランヴェルトの元に、隣の船からレイヴィンが飛び乗って来た。
「あちらの船の捕獲は終わりました。南からの船が合流したようですね。私はラウル殿たちに戦況を説明してきます」
「ああ」
そして、ランヴェルトはレイヴィンの背中を見送ったのだった。
◇
金属音が鳴り響き、レオンとエフセイが剣を押し合っていると二人の近くに長いかげが見えた。
二人は影を見ると、ほとんど同時に呟いた。
「死神……」
「ガルド・シュトラールか……」
ガルドはゆっくりと二人の側に立った。
「この船以外の船の兵は、全て捕獲しました」
すると、レオンとエフセイの腕からゆっくりと力が抜けた。そして、エフセイが剣を鞘に納めた。そして、レオンは剣を腕から離すと、大の字になって船の甲板に寝転んだ。そして汗を拭きながら言った。
「あ~~強ぇ~~な……勝てなかった……」
するとエフセイが、小さく笑った。
「ふっ……私も貴殿には勝てなかった……」
そしてエフセイは、ガルドを見ながら言った。
「少し待て、シュトラール」
「はい……」
エフセイは、船の中に入るとガラス瓶を二つ持って来て、一つをレオンに渡した。
そして、エフセイは一気にガラス瓶の中身を飲み干して、口を手の甲で拭った。
「ふう、こんなに旨いのは初めてだ。待たせたな、連れていけ」
するとレオンも身体を起こして、座ったままガラス瓶の中身を飲み干した。
身体に染み入るように美味しいと思えた。
「確かに旨いな……」
エフセイはレオンを振り返ると、「久しぶりに……胸が躍った……感謝する」と言って小さく笑った。
レオンは、座ったままエフセイとガルドを見ていると、レイヴィンがやってきた。
「エフセイ率いる無敵と言われる船団を制圧しました」
レオンは、ニヤリと笑った。
「そうか、では早く後処理を終えて、精々クローディアに労ってもらうか」
レイヴィンが柔らく微笑みながら言った。
「それがよろしいかと」
二人は、傷つきボロボロになった船の上で笑ったのだった。
【北部、捕獲隊:レオン組 制圧成功】
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